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ビオラ咲く悪意の埋め尽くす空に


おだまきや自分の話ばかりして


今日何度わたしと言った青嵐


電柱は立っているもの青嵐


汨羅に浮くや何者となき身にて


飛べずとも君にあの空青嵐


ひなげしや誰も駈けない滅亡後


夭逝未遂殊に五月雨降る朝は


暗黒はおおむね無色仕置き部屋


ぬいぐるむ 腎臓とか そのしゅうへんを


夜遊びの群衆一人だけを消す


あの海市ぐるんぐるんと無言劇


国境の辺りに遊ぶ蜃気楼


わが胸に抱けば温し春の海

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