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旅を拒み排尿音に耳塞ぐ


方位なしと決めつけられて

女の夢


鯖たぶん青くて惨澹たる久遠


革命は呪えぬ希望鳥帰る


ウラジカフカス遠くの方に伸びる腕


友だちをやめるカラオケバーの朝(※)


夢の雲吸ったわたしも桜かな


夜桜を弔辞のごとく胸に秘す


電柱の雨に濡れていない部分


葉桜を虚空に添えて安楽死


(※)・・・例えばこの句の成り立ちはこうである。大宮の繁華街を歩いていたら、2人組の女子の片方が何かの会話の中で「友だちをやめる」と言ったのをすれ違いざまに聞いた。これは面白い言葉だと思った。8語だが、そのまま冒頭に置いた。そのまま歩き続けると、若い客引きの男が「カラオケバー」がどうたらこうたら言っているのが耳に入ってきた。これもそのまま取り入れた。残り3文字。カラオケバーで友だちと朝まで過ごして、それまでの間に何かが起きて、それで「友だちをやめる」ことにした。そんなシチュエーションの一句になりそうだと思ったので、「の朝」とした。道を歩いているだけで作れるので、俳句(無季だが)は手軽で面白い。

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