くっついたらすぐ離す!

 この後、トンボとキキは会うのですが、その出会い方も色々あると思います。


<ひっぺがし>

 トンボがいつものように店に遊びに来る


 これでも悪くないのですが、ちょっとこれでは能天気過ぎます。トンボ側としても勇気を出して招待したのに、それを完全に拒否されたらさすがにショックだし、また顔を出しにくい可能性があります。かといってキキからトンボにアクセスする方法もない。この2人がどちらも近づけない状況になってしまったら、どうやったら2人を引き合わせることができるのでしょうか。


 方法としては、偶然街で会う、でも悪くないのかもしれませんが、これもまた、おそらく多くの人が忘れられないだろう、あの名シーンが待っています。


【他人が引き合わせる】

 おソノさんがキキに配達の依頼をします。送り先はコポリという知らない人です。行ってみるとそこに待っていたのは……。

 そうです、コポリとはトンボのことだったのです。おソノさんは近づきたくても近づけなかった2人を近づけるために、敢えて演技をしたのです。


※ここに手紙を読むシーンがありますが、その内容は明かされていません。

ここの方が考察されていますが、自分もまさにそうだと思います。

https://super-naoko.com/sonos-letter/


 ここでおソノさんの粋な計らいによって、2人は打ち解けることができました。


 しかし、これで終わってはいけないのです。起きてほしくないことを起こす、2人の関係は行ったり来たり。敢えてまた2人の距離を離していくのです。


 トンボの友人が飛行船の中を見せてくれるといって、キキも誘いますが、キキはそのメンバーの中にあの嫌いな孫がいるのを見てしまいます。嫌な思い出が蘇ってきたキキは怒って帰ります。


【観ている人だけがわかるジレンマ】

 トンボはなぜ怒っているかわからない、でも視聴者は知っている。このジレンマが観ている人を惹きつけるんですよね。

 「2人の関係を、くっついたり離れたりしろ」と言われても、ただの気持ちの問題でくっついたり離れたりしてしまうと「気持ちが揺らぐ不安定な人だな」と思われてしまいますが、別の理由を持ってくることにより、このくっついたり離れたりがスムーズにできます。


 せっかくトンボと仲良くなれたと思ったら、離れ、それどころか、ここで最大の試練が訪れます。それはキキの存在意義を否定しかねない、とてつもない事件です。いよいよクライマックスにむけての助走が始まっていきます。

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