弱点は蜜の味!

【キャラクター作りの基本:弱点を作れ!】

 無事旅立ったキキは途中で先輩魔女と出会います。そしてこんな事を言われます。


「私の修行はもう終わる。私は占いもできたからなんとかなったわ」


 先輩の魔女は占いができて、もう修行も終わる。でも自分は飛ぶ事しかできない……。


 なんでもできてしまう人と、なかなかうまく行かない人。

 応援したくなるのはどっちでしょうか?


 今回は「成長物語」なので、最初はある程度「うまく行かない人」の方が成長具合がよくわかります。

 そこでキキには飛ぶことしか能がない、という設定にしているのです。もちろんこのせいでいずれキキは大きな壁にぶちあたることになります。


【心理的な距離感を利用する】

 この後、遠い街に来た、と印象付けるためとある工夫をしています。それは一体なんでしょうか。


<ひっぺがし>

 キキがひたすら長く飛んで、いつかたどり着く。


<正解>

 雨に打たれて貨物列車に雨宿りする。気づいたら眠っていて起きたら、知らない街に着いていた。


 自分で飛んでひたすら行くだけなら、距離はたかが知れていますが、列車に乗っていくとどこか知らないところまで行っている可能性もありますよね。心理的な距離感を作り出すみごとな演出と言えるでしょう。


【街に到着、実はこの一言が深い!】

 街について、まず最初に時計台のおじいさんが言うセリフがあります。覚えていますでしょうか。


おじさん「魔女とはめずらしいな」


 この一言はたくさんの意味を持ちます。

 まず、魔女は受け入れられているということ、そしてしょっちゅういるわけではないこと。


 もしキキが「この街にする」と降りたってすぐ、


「きゃあ魔女だわ、すごいすごい」と人気者として受け入れられたらどうでしょうか。あまり面白くありません。今回はあくまで「成長物語」。試練を与え続ける必要があるのです。


「このあと大丈夫だろうか?」と視聴者に思わせることが大事です。


 ここで本作はどのような演出にしたでしょうか。


<正解>

 街は発展していて、人々は魔女にはそんなに興味はない。それどころかおまわりさんに捕まりそうになる。


 街の人には全然受け入れられていない、この状態がキキを過酷な環境に陥れることになり、視聴者の興味をそそるのです。


【キーパーソンとの絶妙な距離感の作り方】

 ここで、超重要人物であるトンボとの出会いがあります。この出会わせ方も絶妙です。トンボが「どろぼー!」と嘘をつくことでおまわりさんをまきます。

「うまく行ったろ?」とトンボはキキにいいます。そこで、


<ひっぺがし>普通なら……。

キキ「あら、あなたが助けてくれの? ありがとう。おかげで助かったわ」

トンボ「そうだよ、きみ飛べるんだ、すごいね。仲良くしようよ」

キキ「はい、ありがとう」


 これは普通の流れで一見悪いようには見えません。

 では実際はどうだったでしょうか。


<正解>

 ふん、と突き放すキキ。


 ここにも2人の人間関係を形作る際において重要なポイントがあるのです。


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