第225話 正体不明の生き物
王都を出発したゴル達は、エルフ達が住む森の近くまで来ていた
「…暇じゃのぅ、なんか起きないかのぅ」
「はぁ~、ゴル様、もう何度同じ事を言うのですか」
馬に乗ったゴルは、つまらなそうに周りを見渡し、ゴルの言葉を聞いたセバスは、うんざりした様子で馬に乗っていた
「仕方ないじゃろ!もう何日馬で移動するだけの日々を送っておると思うんじゃ!流石に嫌になるわい!」
「私だってもう嫌ですよ!ですが!馬を使わないと!大軍は動かせないんですよ!」
ゴルとセバスは、馬を操りながら、苛立った様子で、大声で口喧嘩を始めた
「ならば!少数精鋭の魔法師だけで来れば良かったであろう!」
「そう思うなら!出発の前に言ってくださいよ!今更言ったって!どうしようもないでしょ!」
「儂が準備したわけではない!ゾルの奴が準備したんじゃ!儂ならこんな大軍は用意しん!」
「陛下が大軍を用意するのら当たり前でしょう!ルイ様の初陣なんですよ!」
「ゾルの心配も分かるが!少数精鋭でも!ルイは守れた!」
「それだと!ルイ様の成長に繋がらないじゃないですか!」
「じゃが!少数精鋭なら!こんなに暇な時間が出来る事は無かった!」
「だから!暇なのは!仕方ない事なんですよ!」
「っ~!この「っ!敵襲!敵襲!前方から正体不明の生き物が来ます!!」
ゴルとセバスが口喧嘩をしていると、前方を見張っていた兵士が、軍全体に聞こえる大声で叫んだ
「「っ!」」
兵士の声を聞いたゴルとセバスは、口喧嘩を止め、素早く警戒態勢を取った
「セバス、儂が先に行くぞ?」
「駄目ですよ、敵は正体不明の生き物なのです、ゴル様に何か有っては私がエリーゼ様に怒られます、ここは私が行きます」
警戒態勢を取ったゴルが、馬を操り前方に出ようとすると、セバスはゴルを止め、馬を操りゴルの前に出た
「おい!エリーゼの名前を出すのはせこいぞ!」
「仕方ありません、事実なのですから…では!」
エリーゼの名前を聞いたゴルは、怒った様子でセバスに文句を言ったが、セバスはゴルを微笑みながら見た後、馬を操り、前方に向かって走り出した
「仕方ない…おい!ルイを呼べ」
ゴルは、前方に向かうセバスを、悔しそうに見た後、近くに居る騎士に、ルイを呼ぶよう声を掛けた
「はっ!」
声を掛けられた騎士は、馬を操り、急いでルイを呼びに向った
「なんですか、あれは…あんな大きいヘビは、初めてです」
馬を操り、前方に向かっていたセバスは、初めて見た生き物に驚き表情を浮かべた
セバスが見ている先では、一匹の巨大なヘビが、何人もの兵士と騎士を捕まえ、力強く締め付けており、周りにいる兵士と騎士が、捕まった兵士達を助けようと、巨大なヘビに向かって攻撃を仕様ととしていた
「なっ!あれは魔法!」
兵士と騎士が、巨大なヘビに向かって攻撃を仕様ととした瞬間、巨大なヘビは地面から何本もの土で出来た槍を生やし、周りにいる兵士と騎士を串刺しにした
「全員!今すぐ下がりなさい!」
巨大なヘビが、魔法を使ったのを、驚いた表情で見ていたセバスは、大声で下がる様に命令した
セバスの声を聞いた兵士と騎士達は、素早く巨大なヘビから離れ始めた
「馬が居ては勝てませんね…貴方はここで止まっていなさい…【魔装】!」
兵士と騎士達が、離れていくのを見たセバスは、馬の首を優しく撫でた後、【魔装】を使い、馬から降り、そのまま巨大なヘビに向かって走り出した
「ふっん!死になさい!」
巨大なヘビに近付いたセバスは、地面を力強く蹴り、巨大なヘビの首目掛けて、魔力を纏わせた剣を振り下ろした
「シャァァァァァァァ!!」
「なっ!」
セバスが剣を振り下ろした瞬間、巨大なヘビは、全身に岩を纏い、セバスの剣を弾き返した
「シャァァァァ!!!」
「しまっ…ぐっは!」
剣を弾き返した巨大なヘビは、空中に居るセバスに向かって、岩を纏った尻尾を振り、セバスを吹き飛ばした
「…ぐっ…うっ…がっ…ぐっ…がっ…」
巨大なヘビの攻撃を受けたセバスは、地面に何度も当たりながら、ゴルの前まで吹き飛ばされた
「っ!セバス!大丈夫か!?」
「…うっぅ…ごほっ…」
「不味い!直ぐに軍医を呼べ!」
吹き飛ばされて来たセバスを見たゴルは、慌てて馬から降り、セバスに近付いたが、セバスは口から血を吐き、それを見たゴルは、近くにいる者達に軍医を呼ぶよう命令した
「…ゴル様…ごほっ、ごほっ…」
「っ!セバス!喋るな!今は大人しくしろ!」
「…あ゙れ゙は…魔法を゙…使い゙ま゙す…お゙気を゙付けて…」
血を吐いたセバスは、ゴルの服を掴み、ゴルに喋るなと言われながらも、力を振り絞り、巨大なヘビが魔法を使う事を伝え、そのまま気絶した
「おい!!セバス!しっかりしろ!っ~、軍医はまだか!早く連れて来い!!このままでは!セバスが死ぬ!!」
ゴルは気絶したセバスを地面に寝かせ、大声で軍医を呼んだ
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