第214話 冥王VS林王 6


「(…っ!引き摺り込んだ!このまま奥まで!!)」


冥王を地中に引き摺り込んだ林王は、冥王が逃げられないよう【木蔓】を操作し、地中奥深くまで引っ張り始めた


「(っ!不味い!このままでは負ける!!)」


林王に、地中奥深くまで引っ張られている冥王は、なんとか脱出しようと、身体を動かそうとしたが、地中に居るせいで全く身体を動かせずにいた


「(私の勝ちです!!)」


林王は、地中に居るせいで、全く身動きが出来なくなった冥王を感知し、勝利を確信した


「(仕方ない、あの力を使うしかないのぅ…林王、恨むなよ)【死(デス)】」


林王が勝利を確信した瞬間、冥王は地中から脱出する為に、嫌嫌【死(デス)】を使った


【死(デス)】は、名前の通り、この世に存在する全ての物質を滅ぼす魔法

魔法範囲は魔力を使った量で決まる

魔獣の祖の血を浴びた冥王が、魔獣になった時に手に入れた魔法


冥王が【死(デス)】を使うと、冥王を縛り付けている【木蔓】が枯れていき、塵に変わり、周りの土も砂に変わっていった


「(っ!【木蔓】が消えた!?)」


冥王が【死(デス)】を使った瞬間、林王は冥王を縛り付けた【木蔓】が消えたのを感じ取った


「(…まさかあの魔法を!?っ!止めなくては!!)」


冥王が何をしたか理解した林王は、慌てて冥王がいる場所に移動し始めた


「(ほっほっほっ、これなら簡単に地上に出られるのぅ)」


林王が冥王の下へ向かっている間、冥王は【火炎大蛇】を生み出し、【火炎大蛇】に捕まりながら、【死(デス)】によって砂になった地中を移動していた


「(っ!既にここまで!急がなくては!!)」


冥王の下へ向かっている林王は、砂になった地中を見て、移動スピードを上げた




「…よし!脱出じゃ!…【火炎大蛇】よ、ご苦労であった」


【火炎大蛇】に捕まって、地上に出た冥王は、地上まで運んでくれた【火炎大蛇】を撫でながら、魔法を解除した


「…やってくれましたね!冥王様!」


冥王が【火炎大蛇】を解除して直ぐ、林王は地中から飛び出し、冥王を睨み付けた


「ふっ、こうなったのは、儂を地中に閉じ込めようとした、お主が悪い」


林王に睨み付けられた冥王は、睨み付けてくる林王を鼻で笑い、広範囲が砂漠と化した大地を見ながら、砂漠になった原因は、林王にあると伝えた


「っ~!…はぁ~、どうしましょう…」


冥王の悪気の無い態度に、腹を立てた林王だが、直ぐに諦めた表情を浮かべた後、困った表情で砂漠と化した大地を見た


「そんな事より、儂との決着は付けんでいいのか?」


冥王は、困った表情で砂漠を見ている林王に、勝負の決着を付けなくてもいいのかと質問した


「っ!そんな事よりじゃ、ありません!どうするんですか!この砂漠!!」


冥王の質問を聞いた林王は、砂漠から目を逸らし、砂漠と化した大地を指差しながら、怒りの籠った目で、冥王を睨み付けた


「うっ…それは…っ!そうじゃ!お主なら元に戻せるじゃろ?」


怒りの籠った目で睨み付けられた冥王は、林王の怒りを感じ取り、少し申し訳無さそうにしたが、林王が使う植物の魔法なら、元に戻す事が出来るのではないかと思い、林王を見ながら質問した


「無理です…私の植物を操る力は、大地が生きていないと、使う事は出来ないのです」


冥王の質問に、林王は悲しい表情を浮かべながら答えた



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る