第212話 冥王VS林王 4


「…今度はこっちの番じゃ!【火炎狼火】!」


つる薔薇を燃やし尽くした冥王は、【魔足】を使い、空から林王目掛けて【火炎狼火】を放った


【火炎狼火(かえんろうか)】は、炎で出来た狼を、生み出す魔法


冥王に生み出された【火炎狼火】は、空を走り、林王目掛けて襲い掛かった


「っ!【防風の鎧】!…【木剣ユグドラシル】!消えなさい!」


【火炎狼火】に襲われた林王は、【防風の鎧】を使い、素早く【火炎狼火】の攻撃を受け流し、【木剣ユグドラシル】を、手のひらから取り出し、そのまま柄を握り締め、【火炎狼火】目掛けて振り下ろし、【火炎狼火】を、消し飛ばした


【木剣ユグドラシル】は、林王本体を素材にして、作られた木剣

普段は、身体の中に収納している


「やるのぅ、じゃが、まだ終わりではないぞ!【狼火群狼】!行け!」


冥王は、【火炎狼火】を消し飛ばした林王を褒めた後、【狼火群狼】を生み出し、林王目掛けて放った


【狼火群狼(ろうかぐんろう)】は、【火炎狼火】より、少し弱い炎の狼を、大量に生み出す魔法


冥王に生み出された【狼火群狼】は、林王を囲み、一斉に林王目掛けて襲い掛かった


「(っ!数が多すぎる!)」


大量の、炎で出来た狼に襲われた林王は、襲い掛かって来る狼を、【木剣ユグドラシル】で倒していっていたが、大量の狼火に押され、所々軽い火傷をし始めた


「ほれ!もういっちょじゃ!【狼火群狼】!」


冥王は、数に押され始めた林王を見ながら、もう一度【狼火群狼】を、林王目掛けて放った


新たに冥王に生み出された【狼火群狼】は、林王に襲い掛かっている狼火に合流し、そのまま林王に襲い掛かった


「(数の暴力には、数の暴力です!)くっ!【木兵召喚】!」


狼火に襲われている林王は、火傷を負わされるのを我慢しながら、大量の魔力を込めた、【木剣ユグドラシル】を地面に突き刺し、【木兵召喚】を使った


【木兵召喚】は、植物を操り、地面から木の兵士を生み出す魔法

兵士の数は、魔力量で決まる


林王に生み出された木兵達は、林王に襲い掛かってくる狼火達に襲い掛かり、数を減らしながら、狼火を倒し始めた


「(やはり【狼火群狼】では、大した怪我はさせられんか…なら大技じゃ!)」


木兵によって、狼火が減っていくのを見ていた冥王は、林王を警戒しながら、大技を放つ為に、膨大な魔力を手のひらに集め始めた


「(っ!今のうちに!)【回樹】!」


冥王が、膨大な魔力を集め始めたのを、感知した林王は、冥王を警戒しながら、足を根っこに変え、地面に潜り込ませてから【回樹】を使った


【回樹】は、地面から栄養を吸収し、自身の怪我を治す魔法


【回樹】を使った林王は、身体に負った火傷を、猛スピードで治し始めた


「…その回復力は厄介じゃな…じゃが!この魔法の前では無意味じゃ!【死者の炎】!」


膨大な魔力を手のひらに集めていた冥王は、林王の回復力に驚きながらも、林王に向かって手のひらを向け、【死者の炎】を放った


【死者の炎】は、対象が死ぬか、冥王が消すまで、けっして消えない炎の魔法

炎の色は赤黒い


冥王の手のひらから放たれた【死者の炎】は、回復途中の林王目掛けて向かって行った


「(っ!逃げなくては!)【木球】!」


向かって来る【死者の炎】の危険度を感じ取った林王は、【木球】を使い、木で自身の身体を囲い、素早く地面に潜った




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る