第196話 気絶したリント



「っ!おい!嘘だろ!?冥王様の子孫なのか!」


ルーファに、セイが冥王の子孫と聞き、固まっていたリントは、正気に戻ると、ルーファの胸ぐらを掴んでいた手を離した後、セイの肩を掴み、驚いた顔を近づけた


「…近い!」


急に顔を近づけられた事に、セイは苛立ち、思いっ切りリントの頬を殴り飛ばした


「ぐぅ!…ごほっ!」


殴り飛ばされたリントは、殴られた勢いのまま、近くの木にぶつかり止まった


「すぅ~ゴホッゴホッ!はぁはぁ…いきなり何するんだよ!」


背中から木にぶつかったリントは、肺の空気を吐き出してしまい、咳き込んだ後、息を整えてから、セイに文句を言った


「いや~、いきなり顔を近づけて来たから、ついイラッと来て、悪かったな」


リントの文句を聞いたセイは、悪びれる様子も無く、笑顔で謝った


「なっ!この!」


悪びれる様子も無く、笑顔で謝られたリントは、立ち上がりながら、セイに向かって殴りかかった


「喰らうか!ふん!」


セイは、リントのパンチを躱しながら、カウンターを決めた


「ぐっ!クソっ!」


カウンターを喰らったリントは、よろめきながらも、セイに向かってもう一度、パンチを放った


「甘いな!シッ!」


セイは、もう一度来たパンチを躱し、リントの横腹に、ボディブローを打ち込んだ


「ぐふっ!」


ボディブローを喰らったリントは、横腹を押さえ、その場で止まってしまった


「チャンス!これで終わりだ!」


リントが止まったのを見たセイは、リントの顎目掛けて、アッパーカットを打ち込んだ


「がっ!」


セイのアッパーカットを喰らったリントは、そのまま気絶し地面に倒れ込んだ


「ふぅ~…よし!」


セイは、気絶し動かなくなったリントを見て、小さくガッツポーズを取った



「セイ様…魔王様の部下を、気絶させても、よろしかったのですか?」


セイが、リントを気絶させた後、ルーファは、セイに近づき、恐る恐る質問した


「(う~ん、下手すれば魔王と争いになるか?…)…まっ、大丈夫だろ」


ルーファの質問に、セイは少し考えた後、平然とした態度で答えた


「しかし…」


ルーファは、不安そうな顔で、セイを見た


「そんなに心配なら、こいつを起こして聞いてみたら?」


ルーファの不安そうな顔を見たセイは、地面に倒れて、気絶しているリントを、指を差して伝えた


「…そうですね、そうしてみます」


ルーファは、少し考えた後、リントを起こし始めた


「あの、起きてください」


「・・・・・・・・・・・・」


ルーファは、地面に倒れているリントを座らせ、優しく肩を揺らし、起こそうとしたが、リントは、気絶したまま全く起きる気配が無かった


「…あの!起きて下さい!」


「・・・・・・・・・・・」


優しく揺らしても起きないリントに、ルーファは、強めに揺らしながら、大きめの声で起こそうとしたが、リントは、気絶したまま、全く起きる気配が無かった


「…おい!起きろ!」


「ぶぅ゙っ」


全く起きないリントに、苛立ちを募らせたルーファは、リントの頬をビンタした


「おいおい、それじゃ本末転倒だろ」


ルーファが、リントをビンタしたのを見たセイは、少し呆れた様子で、ルーファを見た


「あっすみません」


「・・・・・・・・・・・・」


セイの声が聞こえたルーファは、慌ててリントに謝ったが、リントは、未だに気絶したままだった


「う~ん、これは起きるまで放置するしかないな」


セイは、ビンタされても気絶したままのリントに近づき、まぶたを上げて、リントの目を確認しながら、放置する事に決めた


「では起きるのを待ちましょう…全員その場で待機!」


「「「「「「はっ!」」」」」」


立ち上がったルーファは、森の中に居るエルフ達に、大声で命令した






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