第173話 首都ロイに帰還



「…ボルド、もうすぐ着くぞ」


「・・・・・・・・・・・・」


セイは2日かけ、寝ずに【魔足】を使い、冥王が住む首都ロイまで来ていた


ボルドは、最初の1日の間、何度も逃げようと暴れたが、その度にセイに気絶されられ、首都ロイに着く頃には大人しくなっていた



「あっ!」


セイは、【魔足】を使ったまま、城にある訓練場に向かった


訓練場では、冥王とマーサが魔獣を人に戻しており、近くにはサラとマイカがマーサを護衛していた



「到着!久しぶり!」


「「「「セイ!」」」様!」


セイが訓練場に降りると、マーサとサラ、マイカの3人が、セイに駆け寄った



「セイ、怪我はしてない?」


「してないよ」


マーサは、セイの身体を触りながら、怪我をしてないかを確認し


「旅はどうだった?何か面白い事あった?」


「色々あったけど、サラが求める様な面白い事は無かったね」


サラは、旅の話をセイに聞き始め


「セイ様、戻ったなら、お早めにセナ様に会いに行ってあげて下さい」


「分かってるよ」


マイカは、セナに会いに行くようセイに伝えた


セイは、3人に一斉に話し掛けられ、対応に困りながら返事をした




「よし、終わったな…セイ、林王には会えたか?」


セイがマーサ達と話していると、黒い獣を倒し終えた冥王がセイの下へ歩いて来た



「いや~それが林王に会いに行く途中、トーカスでやる事が出来たから、まだ会いに行ってないんだよね」


冥王の言葉に、セイは少し申し訳なさそうに答えた



「ん?それは、そこの魔獣が原因か?」


「っ!カチッカチッカチッカチッ」


冥王は、鎖で雁字搦めにされているボルドを見ながら質問した


冥王に見られたボルドは、恐怖から全身を震わせていた



「そうなんだよ、トーカスの裏で色々やってたみたいなんだけど、全く吐いてくれないから、仕方ないからここに連れて来た」


「そうか、なら儂の部下に尋問させるとしよう」


「本当!助かるよ!」


冥王は、セイからボルドを受け取り、引きずりながら城の中へ入って行った



「レイって今何処にいるの?」


冥王がボルドを連れて行くのを見送ったセイは、マーサ達にレイの居場所を聞いた


「レイなら、テラスでセナ様とサーシャさんが見てるわ」


「分かった!」


マーサが答えると、セイは直ぐにテラスに向かって走り出した


「「ちょっと、セイ!…はぁ~」」


マーサとサラは、走り出したセイを止めようとしたが、止めることが出来ず、ため息を吐いた




セイが城の廊下を走って移動していると、メイドや文官、廊下にいた者達は驚きながらも頭を下げた



「レイ~!父様が帰ってきたよ~!」


「「「セイ!?」様!?」」


セイはテラスに着くと直ぐ、レイの下へ向かって行き、テラスに居たセナとサーシャ、セバスの3人は、いきなりテラスに現れたセイに驚きの声を上げた



「あぅ~あ~あー!」


「お~元気にしていたか?」


セイは、椅子に座っていたレイを抱っこし始め、レイはセイの顔を触りながら笑っていた



「セイ、あなたいつ帰ってきたの?」


「ん~今さっき帰った所だよ」


レイを抱っこしているセイに、セナが声を掛けたが、セイはレイを見ながら答えた



「はぁ~それで林王様とは上手く話が纏まったのね?」


セナは、レイに集中しているセイに呆れながら、旅の目的だった、林王との話し合いについて聞いた



「それがのぅ、林王に会う前に、トーカスでやる事が出来たせいで、林王の下へは行ってないらしい」


「「「冥王様」」」


セイが答えるより前に、テラスにやって来た冥王が先に答えた



「あれ?もうボルドはどうしたの?」


セイは、テラスにやって来た冥王を不思議に思い、尋問する為に連れて行ったボルドについて聞いた



「あやつは、ちゃんと部下に預けておいた、直ぐに情報を吐くじゃろう」


「そう、なら出来るだけ早く吐かせてね」


「うむ、急ぐ様伝えておく…それより、トーカスで何があった教えてくれ」


「そうだね、始まりは…」


セイはトーカスに着くと直ぐ、ヒサカを助けた事、助けたヒサカがハーデス王国の貴族の子孫だと知り、ヒサカの実家に向かった事、トーカス王国が、魔獣に成らなかったハーデス王国の民の為に、ディカン家、リルカサ家、ローパ家、トルティ家、トーカス王家が協力して作った国である事、人類至上主義をトーカス王家が言い始めた事、全て冥王に伝えた



「そうか…まだ儂らハーデスに仕える家臣が居たのか…なのに家臣を助ける事が出来なかったのか…」


冥王は、セイの話を聞き、驚きながらも未だにディカン家、リルカサ家、ローパ家、トルティ家が、ハーデスに忠誠を誓っている事に喜びを感じ、忠誠を誓っている者達が、大変な目に合っていた事を知らなかった自身に怒りを感じていた



「セバス!今すぐ尋問室に行き、どんな手を使ってでも、情報を聞き出すよう尋問官に伝えよ!」


「分かりました!」


冥王に命じられたセバスは、急いで尋問室に向かった





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