第172話 パーティーが終わって
「さて、いい加減答えろ」
「・・・・・・・・・・・・」
パーティーの3日後、セイは朝から地下牢に行き、鎖で雁字搦めにされているボルドに会いに来ていた
3日前、ボルドを気絶させたセイは、その後ヒナイト達と合流し、ボルドを地下室に連れて行き、後の事をヒナイトに任せ、その日は宰相宅に戻って行った
ヒナイト達は、保護していた貴様達と協力し、残っていた人類至上主義の者や、近衛騎士に保護されていた王子を捕まえる為に、寝ずに働き続けた
翌朝、セイが宰相宅で寝ている間に、王都ではセイに斬られた王宮を見た住民達が騒ぎ出したが、直ぐにサクアの部下やヒナイト達が動き、住民達の混乱を最小限で治めた
住民達の混乱を治めたヒナイト達は、王家を嫌いパーティーに出席していなかった貴族達に、パーティーで起きた事を書いた手紙を出し、人類至上主義の者達の一族を捕まえる為に協力を申請した
手紙を受け取った貴族達は、直ぐに近くに居る、人類至上主義の者達を捕まえる為に動き出し、たった2日で国中の人類至上主義の者達が牢屋に入る事になった
人類至上主義の者達が、捕まった知らせを聞いたヒナイト達は、ふらふらになりながら屋敷に戻り寝始めた
ヒナイト達が働いている間、やる事がなく暇を持て余していたセイは、人類至上主義の者達が捕まったと聞き、ボルドに会いに行った
ボルドは頑なに何も話そうとせず、最初の1日は、何も聞き出す事が出来ずに終わった
「はぁ~まさか今日も何も話さないつもりか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「拷問は余り好きじゃないから、何もしない内に話してくれない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なぁ、お前らはこの国で何がしたかったんだ?ただ国が欲しいだけじゃなかったよな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「人類至上主義って思想を、王家や貴族に植え付けた理由は何だ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
セイが何を聞こうとも、ボルドは何も答えず、ただセイを睨み続けた
「ちっ」
何も言わず睨んでくるボルドに、苛立ってきたセイは、舌打ちをしながら、地下牢から出て行った
地下牢から出たセイは、ボロボロの王宮を歩きながら、ヒナイトが会議をしている部屋に向かった
「入るぞ」
「「「「「「セイ様!」」」」」」
セイが部屋に入ると、ヒナイト達とサクア、それに側妃と人類至上主義を嫌う貴族達が話し合いをしていた
「会議中悪いな…少しの間、この国を離れるから後はよろしくな」
「「「「「「「ちょっ!セイ様!?お待ちを!」」」」」」」
セイは、要件だけ言い、さっさと部屋を出ようとしたが、ヒナイト達に捕まり、椅子に座ることになった
「セイ様!この国を離れるとは、いったいどういう事ですか!?」
椅子に座ったセイに、ヒナイトが慌てた様子で質問した
「いや~ボルドの奴が何も言わないから、あいつを冥王様の下へ連れて行こうかと思ってな」
「「「「「「「っ!」」」」」」」
セイの言葉に、部屋に居た全員が絶句してしまった
「魔獣なら、冥王様には逆らえないと思うから、会わせればすんなり話してくれると思うんだよ」
「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」
「じゃ、2週間以内には帰って来るから、その間に、人類至上主義の連中をどうするか決めといてね」
絶句して何も言えないヒナイト達を尻目に、セイはさっさと部屋を出て行った
セイが部屋を出て行った後、ヒナイト達は慌ててセイを追い掛けたが、セイは【魔装】を使い、地下牢に居たボルドを連れ出し、【魔足】を使い冥王の下へ向かい始めた
「「「「「セイ様~!!」」」」」
庭に出たヒナイト達は、凄い勢いで空を移動し始めたセイを見ていることしか出来なかった
「これは一体何のつもりだ!」
「さて、急ぐぞ!」
連れ出されたボルドは、大声を出し暴れようとしたが、鎖のせいで暴れることが出来ず、そんなボルドを無視して、セイは移動し始めた
「「「「「「はぁ~」」」」」」
セイが見えなくなり、ヒナイト達はため息を吐きながら部屋に戻り、会議を再開させた
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