第168話 5人組の正体



「ちっ、来たか!」


蹴り飛ばされたセイは、地面に倒れる事なく、体を捻り綺麗に着地した


「セイ様!大丈夫ですか!?」


「ああ、大した威力じゃなかったから大丈夫だ」


「「(嘘だろ…普通の人なら即死の蹴りだったんだけど…)」」


蹴り飛ばされたセイの下へ、ヒナイトとディランが心配して駆け寄ったが、【魔装】で身体能力を上げていたセイは無傷で済んだ


セイの言葉に、ヒナイトとディランは、セイの頑丈さに、内心、少し引いていた


「ヒナイト、多分だが、あれがモンズを殺した5人組だ」


「っ!私もそう思います、服装は違いますが、あの時の5人組です!」


「っ!彼奴等が!あのモンズ兄様を!」


セイが、膝を着いている騎士と、それを護っている4人を見ながら言うと、ヒナイトは、モンズが殺された時に見た5人組だと答えた


ヒナイトの言葉に、ディランは怒りの籠もった目で、5人組を睨みつけた





「大丈夫か?ゴーシュ」


「リュークか、大丈夫だ、少し横腹を斬られただけだ」


セイを蹴り飛ばした、料理人の格好をしたリュークが、騎士の格好をしているゴーシュに手を貸し、立ち上がらせた



「しかし、国王が殺されるとは…」


「…あの男かなりの手練れだ」


文官の格好をしているヒューズが、困った様子で、亡くなった国王を見ていると、セイの剣を受け止めた、庭師の格好をしているチャートが、手の痺れを取るために、手を握っては開くを繰り返しながら、ヒューズの横まで来た



「死んだ国王は諦めろ、王子さえ無事なら、国はなんとでもなる」


「「「「…ああ、そうだな」」」」


執事の格好をしているボルドが、冷たい目で死んだ国王を見ながら言うと、ゴーシュ、リューク、ヒューズ、チャートの4人は、広間の壁際で、近衛騎士達に保護されている王子を見た



「王子も無事保護された、後は裏切り者の公爵家を討つだけだ」


「気を付けろ、あのセイって男、まだ本気を出してないぞ」


ボルドが、死んだ国王から、セイ達の方に目を向けながら言うと、ゴーシュが、斬られた横腹を押さえながら剣を構えた



「ゴーシュがそこまで言うなら、あのセイと呼ばれた男、かなり強いな」


「本気で殺らねば、こちらが殺られるな」


ゴーシュの言葉に、リュークとヒューズが、セイを警戒しながら剣を抜いた




「シッ!」


リュークとヒューズが剣を抜いた瞬間、セイは【魔装】を使い、ゴーシュに斬り掛かった


 キッーン「ちっ!舐めるな!」


「死ね!」


「おっと」


セイの攻撃を、ゴーシュも【魔装】を使い防ぎ、セイの動きが止まった瞬間を見逃さず、チャートも【魔装】を使い、セイ向かって剣を突き刺そうとした


セイはチャートの剣を避け、直ぐにヒナイトとディランが居る場所まで下がった



「避けたか…」


「(…この5人、本当に人間か?【魔装】を使ったとしても、あの魔力量で、この身体能力が異常だぞ)」


剣を避けられたチャートは、少し悔しそうに剣を構え直し、セイは、5人組に対し違和感を感じていた



「セイ様、何か気になることでも?」


「ああ、少しな(…聞いてみるか)」


セイが不思議そうに5人組を見ているのを見たディランは、5人組を警戒しながらセイに話し掛けた


セイは5人組から目を離さず、ディランに答えながら、剣を下ろした


「「セイ様!」」


いきなり剣を下ろしたセイを、ヒナイトとディランは驚き、直ぐにセイを護れるよう、【魔装】を使いながら拳を構えた




「貴様!なんのつもりだ!?」


「動くなゴーシュ」


「くっ」


いきなり剣を下ろしたセイに、馬鹿にされたと感じたゴーシュが、セイに向かって動こうとしたが、ボルドがゴーシュの肩に手を置き、動けない様押さえつけた



「お前らに、いくつか質問する、正直に話せ【魔威】」


「「「「「ちっ!【魔威】」」」」」


剣を下ろしたセイは、真っ直ぐ5人組を見ながら、【魔威】を使い脅したが、5人組も【魔威】を使い、セイの【魔威】を耐えた



「(…やっぱりな)」


セイは、自分の【魔威】に耐えるしか出来なかった5人組を見て、自分の考えが当たっていると確信した。



「…お前ら魔獣だな?」


「「「「「「「っ!」」」」」」」


セイの言葉に、5人組とヒナイト、ディランは目を見開き驚いた





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