第166話 パーティー開始
公爵達が馬車を降り、パーティーを行なう広間に入ると、既に居た貴族達に一斉に囲まれた。
公爵達を囲む貴族達の中には、何故今回のパーティーに、公爵家が勢揃いしているのか気になり話を聞きに来た者、普段から関わりがあり、ただ純粋に挨拶するだけの者、裏で敵対しているのに、公爵家を利用して何かを企んでいる者が居た。
囲まれた公爵達は、相手の考えを読み、時に言葉を濁し、揚げ足を取られないよう、一人一人に注意しながら話していた。
「国王陛下の御な~り!」
公爵達が、パーティーが始まるまでの間、貴族達の相手をしていると、近衛騎士の1人が広間全体に響く声で国王の到着を伝えた
公爵達と貴族達は、直ぐに静かになり、国王が通る道を開け、広間に入って来るのを待った
広間の中が静かになると、国王、王妃、側妃、王子の4人が、近衛騎士達に護られながら、広間に入って来た。
国王達は、広間の中央を通り、用意されていた椅子に座った。
国王達が椅子に座ると、近衛騎士達は、王族を護れるように、椅子の後ろと横に移動した
近衛騎士の移動が終わると、侍従からワインを受け取った国王が立ち上がり、貴族達を見ながらパーティーの始まりを告げた
「…この一年、特に問題も無く、平和に過ごす事が出来たことを嬉しく思う。今日のパーティーは、一年の平和を祝っての物だ!是非楽しんでいってくれ!…乾杯!」
「「「「「「「乾杯!」」」」」」」
国王の言葉に、公爵達や人類至上主義を嫌う貴族達は、内心苛立っていたが、顔に出す事なく笑顔でワインを飲んだ
パーティーが始まると、広間には音楽が流れ、給仕達が料理を運び込んだ
パーティーの最中、貴族達は、料理を食べる者、音楽に合わせて踊る者、仲の良い者達話す者、他者に気付かれないよう取引する者、自慢話をする者が居たが、公爵達は、表面上は他者に合わせながら、国王を護っているだろう5人組と、潜入しているセイを探していた
(小声)
「父様、見つかりませんね」
「そうだな、5人組は見つからなくても不思議ではないが、潜入しているセイが見つからんのは少し問題だな」
「そうですよ、セイ様のタイミングで始める事になっているんですから、せめてセイ様だけは見つけなくては」
「だが、私達だけでなく、ディランやサーチェ、アティアでも見つけてないのだぞ、本当にセイ様が潜入しているのか、確信が持てん」
アルフェスとヒナイトは、貴族達の相手をしながら、誰にも聞かれないぐらいの小声で話していた
公爵達が、セイを探している間も、パーティーは進んで行き、とうとう見つけられずにパーティーが終わろうとしていた
「皆、今日のパーティーは楽しかったぞ、だが楽しい時間はもうすぐ終わりだ」
「(不味い!そろそろ国王が広間から出て行ってしまう!)」
「(不味いわね!セイ様はいったい何処に居るの!?)」
国王が、貴族達に向けて話している間、公爵達は、凄く焦りながらセイを探していた
「では陛下そろそろ…」
「ああ、分かっている」
近衛騎士に言われ、国王が席を立ち、広間から出て行こうと歩き始めた
「「「「(本当に不味い!セイ様!いつ襲う気なんですか!?)」」」」
「ふふ、妃よ今日は良き…」
「「「「「「……えっ?」」」」」」
国王が王妃のヒサカに話し掛けながら、広間の中央を歩いていると、いきなり全身を黒い布で隠している男が、国王の首を断ち切った
「「「「「「「「っキャァァァァァァァァァ!!!!」」」」」」」」
「「「「「「「「っ陛下ァァァァァァァァァ!!!!」」」」」」」」
「「「「えぇ~~~~!!!」」」」
広間には、貴族夫人や令嬢の悲鳴、貴族当主と騎士達の叫び、公爵達の驚いた声が響き渡った
「嘘だろ!なんで!?てか5人組は何処だ!?」
広間を悲鳴や叫びが包んでいる中、全身を黒い布で隠しているセイは、あっさり国王の首を斬れてしまった事に、1人焦っていた
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