第161話 会合の始まり



「セイ様、お待ちしておりました」


「アナベル…まさか貴方が屋敷の前で待っていたとは」


クロスと共に、王都のディカン家の屋敷に着いたセイは、屋敷の前で待っていたアナベルに驚いた



「ハーデス王家の方が来るのです、最低でも公爵夫人の私が御迎えをしなくては」


「あ~成る程…今日はハーデス王家の者として来たからか(ミスったな…ハーデス王家の正装で来ないと駄目だったな)」


アナベルが屋敷の前で待っていた理由を聞いたセイは、正装で来なかった事を少し後悔した



「あの…セイ様、一つ聞きたいのですが」


「ん?ああ、クロスの事か」


「はい、どうして宰相直属の文官であるクロスと一緒に来たのですか?」


セイが自身のミスについて考えている間、アナベルは、セイの後ろにいるクロスを見つけ、一緒に来た理由をセイに聞いた



「そういえば、クロスは宰相直属だったな…クロス、お前から説明した方が良いだろう」


「それもそうだな」


アナベルに理由を聞かれたセイは、後ろに振り向き、クロスに、自分でアナベルに説明するように言った


セイに言われ、クロスはアナベルに説明する為に、セイの横まで進み、説明をし始めた



「…アナベル殿、安心してくれ、俺は元文官だ、クソ野郎にハメられたせいで、仕事をクビになってる」


「貴方がハメられた?何を言ってるの、宰相直属の文官をハメる人なんて居る訳が無いでしょ」


クロスがハメられてクビになったと聞いたアナベルは、不信感を抱き、信じられないという顔でクロスを見た



「ちょ!嘘じゃないぞ!本当にハメられたんだよ!セイさんからも、本当だって言ってくれよ!」


「あっはっはっはっはっはっ」


アナベルに怪しまれていると感じたクロスは、慌ててセイに助けを求めた


セイは、アナベルに怪しまれ、慌てているクロスの顔に笑っていた



「セイさん!笑ってないで、アナベル殿に説明してくれ!」


「あ~ごめんごめん、お前の慌てた顔が面白くて」


「そんなことより、早くアナベル殿説明してくれ!だんだん不審者を見る目に変わってきてるから!」


「アナベル、クロスの言っている事は、本当だぞ、王都に着いてから、宰相に確認しに行ったからな」


「…そうですか、宰相がそう言ったなら、一応信用します」


((その目…絶対信用して無いだろ))


セイに宰相に確認したと言われ、アナベルは、セイの手前一応信用したと言ったが、それでも信用していないと分かる目でクロスを見ていた



「それよりセイ様、当主達が首を長くて待っているので、そろそろ行きましょう」


「分かった、案内を頼む」


「では、ついて来て下さい」


セイとクロスは、アナベルの案内で屋敷の中に入っていた



セイとクロスが、暫くアナベルについて行くと、対応室の前で止まり、アナベルが部屋のドアをノックした


コンコン「貴方、セイ様を連れて来ました、入りますよ」


「「「「っ!」」」」


「分かった!」


アナベルが声を掛けると、部屋の中から慌てる物音が聞こえ、その後すぐにヒナイトが返事をした


ガチャ「セイ様、どうぞ」


「ありがとう」


アナベルがドアを開け、セイは感謝を伝えながら、部屋に入って行った



バッ「「「「「「「セイ様!ようこそおいで下さいました!」」」」」」」


「(げっ!まさかお硬い感じで話し合うのか、はぁ~)皆ご苦労さま」


「「「「「「「「いえ!」」」」」」」」


セイが部屋に入ると、部屋の中にいた全員が立ち上がり、お辞儀をしながらセイを迎え入れた


「(この席が俺のだな)あ~…皆もよく集まってくれた、とりあえず座ってくれ」


「「「「「「「「はい!失礼します!」」」」」」」」


その様子に、セイは戸惑いながら、とりあえず空いている上席に座り、全員に座るように伝えた


「ん?(あいつ商人って言っていたよな?やっぱり貴族だったか)」


ビック!「あの…セイ様、私に何か?(まずい!やっぱりあの時の旅人がセイ様だったんだ!アナベルからセイ様の名前を聞いた時から嫌な予感してたんだよ!)」


セイに言われ、全員が席に座り始めた時、セイは、ディラン ローパの横に座ろうとしていたデニスを見つけた


セイに見られたと気づいたデニスは、緊張で汗を流しながら、セイに自分を見る理由を聞いた



「いや、なんでもない、とりあえず自己紹介から始めよう」


「「「「「「「「「分かりました!」」」」」」」」」


「俺は、ハーデス王家子孫であり、冥王様の跡をつぎ次期ハーデス王家後継者、セイ フォン ハーデスだ」


バッ「「「「「「「「「っ!ハーデス王家の帰還を心よりお待ちしておりました!セイ様!」」」」」」」」」


セイは、魔剣ハーデスを全員が見えるよに出し、自己紹介をした


セイの自己紹介を聞いた、セイとクロス以外は、一斉に立ち上がり、手を胸に当てながらお辞儀をした


(まさかこの会合、この感じのまま最後まで進むのか?…勘弁してくれ…)






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