第160話 公爵家集合



サクアがクロスに説教している間、セイは食事を終え、ゆったりと食後のお茶を飲んでいた


「そろそろだな、サクア、説教はそこまでにしてくれ」


「…分かりました、クロス出かける準備しないさい」


「出かけるって何処にですか?」


「はぁ~本当に話を聞いてなかったのか…公爵の会合が有るから、お前もセイ様と共に行くって話だ」


サクアは、頭を押さえながら、クロスに話の内容を伝えた



「えっ!そうなんですか!」


「ああ、だから早く準備しろ」


「分かりました!直ぐに準備します!」  


「「はぁ~~~」」


説教から開放されたクロスは、足早に部屋を出て行った


そんなクロスを見て、セイとサクアは、大きなため息を吐いた



「…あれは反省してないな」


「私もそう思います」


「クロスは頭は良いが、宰相になる為に必要な腹黒さが全く無いな」


「そうですね…良い意味で純粋、悪い意味だと騙されやすい、宰相としては、騙されやすい事は、致命的でしょう」


「なら、何故クロスを次期宰相にする?民の為に働けるだけじゃ無いだろ?」


「セイ様はご存知無いかと思いますが、私の部下の殆どは、私腹を肥やすグズや、家柄だけのゴミだらけです。そんな中、クロスは私腹を肥やす事もなく、真面目に働いていたんです」


「成る程、つまり消去法だな…サクアの部下の中で、私腹を肥やさず、能力があり、真面目に働くのが、クロスだけだったと」


「お恥ずかし話、セイ様の仰言った通りです…部下の中には、真面目に働き、私腹を肥やさない者もいますが、クロス程の能力を持つ者が他にいないのです」


「それなら、次期宰相がクロスなのは、仕方ない事だな」


「はい…かなり不安を感じますが、それしか無いのです」


セイとサクアは、クロスの準備が終わる間、お茶を飲みながら、クロスについて話し合いをした



「セイさん!準備完了したぞ!何時でも行ける!」


「そうか、ならさっさと行くぞ、公爵達はもう集まってるだろう」


「セイ様、お気をつけて」


「ああ」


セイは、準備を終わらせたクロスを連れ、サクアに見送られながら、ディカン家に向かい始めた




~王都ディカン家屋敷~


「こうして集まるのは、久しぶりね」


「そうだな、何年ぶりだ?」


「多分、10年ぶりぐらいじゃないかしら」


「そんなことより、早く始めろ」


セイが宰相宅を出て、ディカン家に向かっている頃、ディカン家の屋敷には、アティア、ヒナイト、サーチェ、ディランの4人の当主が、テーブルを囲んで話していた



当主達の後ろでは、次期当主の4人が話していた


「久しぶりだなアルフェス」


「ん?デニスじゃないか、ディラン叔父様からは、家出して行方不明だと聞いていたが」


セイが王都に向かう途中、商人として出会ったデニスが、アルフェスに話しかけた



「むっ、何だまたデニスは家出したのか?」


「懲りない奴はだな、毎回直ぐにディラン叔父様に見つかって、怒られて家に戻る羽目になるのに」


「うるさいなぁ、今回は見つからない自信があったんだよ」


「だが、見つかったから、ここに居るんだろ?」


「それは、王都に来ないはずの父様が、アルフェスと共に王都に来たから見つかったんだ!」


「ふっ、デニスは運が無いな」


「本当だよ、なんで今回に限って、王都で当主が勢揃いするだよ!」


「何だ、デニスはディラン叔父様から聞いて無いのか?」


「ああ、見つかってからは説教しか受けてないからな」


「そうか、ならアルフェスから説明してもらえ」


「私が説明するのか?別にガイラからでもいいだろ」


「俺には無理だ、説明する自信が無い」


「先に言うが私も無いぞ」


「はぁ~仕方ない…」


アルフェスは、ヒサカが覆面の者達に襲われた事、それを助けたセイの事、セイがハーデス後継者だという事、セイと会う為に今回の会合が開かれた事をデニスに伝えた


「え~~~~~~~!」


「「「「デニス!うるさい!」」」」


「っ、ごめんなさい!」


アルフェスから説明を聞いたデニスは、大声で驚いてしまい、話し合っていた公爵当主4人から一斉に怒られた


「…アルフェス…その話本当なのか?」


「ああ、嘘偽りなく事実だ」


「なら、あの時の…」


「「「ん?」」」


デニスは、いきなり黙って考え始め、それを見たアルフェス、ガイラ、アルカの3人は、何故黙ったのか不思議に思った





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