第158話 アティア リルカサ 2



「…アナベル、そろそろ、今日来た目的を話してくれる?」


「そうね、もう充分愚痴も話したし、そろそろ本題を話しましょうか」


2時間ほどお茶会を楽しんだアナベルは、アティアに聞かれ、ようやく本題を話し始めた


「今日、アティアに会いに来たのは、王家主催パーティーの前に、リルカサ家当主と次期当主の2人に、セイ様に会って欲しいのよ」


「…王家主催パーティーの前に?」


「ええ、王家主催パーティーの前に、公爵家当主全員で、セイ様と話し合いをしたいの」


「そのセイ様っていったい誰なの?」


「セイ フォン ハーデス様、これで分かるわよね?」


「「っ!ハーデス!」」


セイのフルネームを聞いた、アティアとアルカは、椅子から立ち上がり、信じられないという目で、アナベルを凝視した


「ふふ、2人が信じられないと思うのは無理ないわ…でも、セイ様は魔剣ハーデスを持ってたのよ」


「っ!それはヒナイトが、魔剣ハーデスを確認したってこと?」


「ええ、先祖の資料に書いてあった剣と、全く同じ剣だったわ」


「「・・・・・・・・・・・・」」


アティアとアルカは、静かに椅子に座り、アナベルが話した、セイについて聞き始めた


「…セイ様が、ハーデス王家の方なのは、一応信じるわ…でも、どうしてセイ様が、この国に居るの?」


「そうですね、ハーデス王家の方なら、冥王様の領域に居る筈です」


「それは、冥王様の命で、林王様に会いに行く途中だったみたいよ」


「「っ、林王様に!」」


「ええ、エルフの森に行く為に、トーカスを抜けて行く途中だったみたい」


「…なら、どうしてセイ様とディカン家が繋がったの?」


「それが、ヒサカが覆面の者達に襲われていたのを、セイ様に助けていただいたお陰で、知り合う事が出来たのよ」


「っ!ヒサカが襲われたのですか!」


「ヒサカちゃんが…(ヒサカちゃんを邪魔に感じている、確実に王宮の者達ね)」


ヒサカが襲われたと聞いて、アルカは驚き、アティアは、覆面の者達の背後にいる者達について考え始めた



「ええ、幸い、セイ様のお陰で、犠牲者は出なかったけど、絶対にヒサカを邪魔に感じている者達の襲撃ね」


「むぅ、ヒサカを邪魔に感じている者というと、王宮の貴族達ですかね?」


「あら、アルカにしては冴えてるわね、多分だけど、人類至上主義の連中よ」


「私もそう思うわ…あの連中なら、ヒサカの考えを、早めに潰したいと考えるでしょうから」


「…元公爵令嬢で現王妃を殺そうとする連中ですか…下手すれば王家も関わっていますね」


「ええ、私とヒナイトも同じ考えよ」


「なら、早めにヒサカちゃんを、保護した方がいいんじゃないかしら?」


「ふふ、それは大丈夫よ…王宮の者達は、ヒサカを殺すより、大変な事が待ってるもの」


「大変な事?」


「ええ、私達ディカン家が王家に反乱を起こすもの」


「「っ!」」


ドン「アナベル!貴方、自分が何を言っているか分かっているの!」


「そうです!下手すればディカン家対トーカス王家の全面戦争になりますよ!」


アナベルの言葉に驚いたアティアとアルカは、テーブルを叩きながら立ち上がり、アナベルを睨んだ



「誰よりも分かってるわ…王家との戦争なんて、ヒサカが王妃に成った日に、既に始まっていたことよ」


「「っ!それは…」」


2人に睨まれながら、アナベルは覚悟を決めた目で2人を見た。


アティアとアルカは、アナベルの覚悟を感じ、何も言えなくなった



「人類至上主義を変えたいと願い、ヒサカが王妃に成った時、私とヒナイトは、いずれヒサカが、王家の者達に殺されると分かっていたのよ」


「「・・・・・・・・・・・・」」


「その時から、私達ディカン家と、トーカス王家の争いは始まってるの」


「アナベル…貴方達は、もしヒサカが殺されたら、直ぐに戦争する気だったの?」


「少し違うわ、くだらない人類至上主義の為に、私達の大切な娘を殺される前に、戦争を起こす気だったわ」


「「・・・・・・・・・・・・」」


アティアとアルカは、アナベルの強い意思を感じ、何も言うことがが出来なかった



「でも、この前セイ様が、人類至上主義を滅ぼすと言って下さったのよ…全面戦争なんてしなくても、トーカス王家は近い内に滅びるわ」


そんな2人を見ながら、アナベルは考えが変わった事を2人に伝えた



「つまり、パーティーの前に、私達とセイ様を会わせるのは、トーカス王家を滅ぼす手伝いをさせたいのね?」


「そうよ、ハーデス王国次期国王であるセイ様が、トーカスを滅ぼす為に動くなら、ハーデス王家家臣である、私達公爵家が手伝うのは当たり前の事よね?」


「はぁ~そう言われたら、手伝うしかないじゃない…アルカ、王都に行く準備をしなさい!」


「はい!直ぐに準備します!」


アティアに言われ、アルカは直ぐに準備をする為に、屋敷の中に入っていた


「本当アナベルは、言い方がずるいのよ」


「ふふ、褒め言葉として受け取っとくわ」


「はぁ~暫く国が荒れるわね」




次からセイに戻ります!

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