第151話 宰相宅



「さて、お説教はここまでにして、屋敷の中に入りましょう」


「やっとか!」


「あっ!馬鹿!」


「クロス様、貴方様は全く反省してないのですね!」


「い、いえ!反省しています!だからもう勘弁してください!」


「…まぁいいでしょう、お説教の続きは夜にでも」


「よし!ん?続き?夜?えっ?」


3時間にも及ぶ、ダグラのお説教がようやく終わる事に、喜びの声を出してしまったクロスは、夜にもう一度お説教が待っている事に固まってしまった



そんなクロスを横目に、ダグラはセイを屋敷の中へ案内した


「では、セイ様、中へご案内します」


「ああ、ありがとう」


セイが、ダグラの案内で屋敷に入る寸前、ダグラは、門前で固まっているクロスに声を掛けた


「クロス様、早く来ないと、夜のお説教が長くなりますよ?」


「っ!は、はい!直ぐに行きます!」


(クロス哀れな奴…)



ダグラの案内で、屋敷の中に入ったセイとクロスは、客室に通された


「セイ様、クロス様、宰相閣下は夕方に帰ると連絡が有ったので、それまでは、お食事とお風呂にお入りください」


「なら、先にお風呂だな」


「えっ、風呂より先に、食事の方が良くないか?」


「クロスお前、漏らしたんだから、どう考えても先にお風呂だろ」


「うっ、それもそうだな」


「…クロス様、漏らしたのですか?」


「ち、違うぞ!あれはセイさんが!」


「俺のせいにするなよ、あのぐらいの殺気で漏らしたクロスが悪い」


「うっ」


「まさか大の大人が、あれぐらいの殺気で漏らすとは思いもしなかった」


「ぐっ」


「ですがクロス様、恐怖で漏らすのは仕方のない事ですよ?」


「ぐぅっ!ダグラ!俺を慰めるな!そっちの方が心にくるんだよ!」


「「あっはっはっはっはっ!」」


「くっそ~笑うな!」


「はぁはぁはぁ、悪かったな」


「はぁはぁはぁ、クロス様すみません」


「「ぶっはっはっはっはっ!」」


「もういい!先に風呂に行くからな!」


ダグラとセイに、笑われたクロスは、恥ずかしさと怒りで、顔を赤く染めなながら、部屋を出て行った


「待てよクロス、笑って悪かった」


「すみませんクロス様、つい笑ってしまって」


「知るか!」


セイとダグラは、クロスに謝りながら後を追った



風呂場に着いたセイとクロスは、服を脱ぎ風呂に入り、ダグラは服を使用人達に預け、代わりの服を取りに向かった



暫くして、セイとクロスが風呂を上がると、直ぐ様、使用人達が服を着させ、セイとクロスを客室に案内した


2人が使用人達の案内で客室に入ると、そこには、ダグラと中年の男性が待っていた


「っ!宰相様…」


「この人が宰相(っ!この男、人類じゃないな、魔法か何かで姿を変えてる)」


「クロス!ダグラから聞いたぞ!お前山賊なんかになろうとしたらしいな!」


「えっと…あの…はい…」


「はぁ~お前という奴は、私の話も忘れ、そのような真似をするとは」


「…すみませんでした、あの時はあのクソ野郎に腹が立っていたので、他のことを考える余裕が無くて」


「私は前から言っていただろ、そういう時こそ冷静になれと」


「はい」


「なのに結果は山賊か?」


「はい、すみません」


(…獣人?ドラグニュート?違うな…この感じは…)


セイは、宰相がクロスを説教している間、宰相を見ながら、どの種族かを考えていた


「…エルフか」


「「っ!」」「???」


「ん?まさか言葉に…「何故分かった!」…正解だったか」


セイの言葉に反応した宰相は、セイの方を向き大声で質問した


「答えろ!何故貴様が私の種族を知っている!」


「セイ様!お応えください!」


「魔力の流れで魔法を使っているのが分かったからだ」


「「っ!」」


セイは、話の内容が理解出来ていないクロスを横目に、宰相とダグラに説明した




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