第152話 サクア



宰相の種族を言い当てたセイは、宰相とダグラに、分かった理由を聞かれ、魔力の流れでと答えた


「魔力の流れだと…そんな事あり得ない!人類は【魔技】が使えないはずだ!」


「ん?前にそんな事をルージュも言っていたが、それは間違えだぞ」


「なっ!ルージュだと!」


「ハンター都市メイトのギルドマスターのルージュだ、知っているのか?」


「当たり前だ!ルージュ様はエルフの王族の姫君だぞ!」


「へぇ~そうなんだ、結構大物だったんだな」


「あの~俺にも、ちゃんと説明して欲しいんですけど」


セイと宰相が話していると、横からクロスが、恐る恐る説明を求めた


「何だクロス、理解出来てないのか?」


「えっと…はい…」


「なら、俺と宰相の話の内容を読み取れば、なんとなく分かるだろ?」


「セイさんと宰相様の話・・・・ん?」


「「はぁ~」」


「クロス様、セイ様は最初、何と言いましたか?」


「えっと確か、セイさんはエルフって言って、それを宰相様とダグラが、何故分かったのかと聞いた…っ!まさか嘘だろ!宰相様はエルフなのか!?」


「「「はぁ~やっとか」」ですか」


クロスは、ダグラに促され、セイと宰相の話を最初から思い出していき、ようやく宰相がエルフだと理解した


「だってこのトーカスに、エルフが居ると思わないじゃないですか!」


「まぁ、普通は居ないよな」


「だろ!人類至上主義国家の宰相がエルフだなんて、誰も考えねぇよ!」


「クロス、誰も考えないからこそ、私は宰相になったんだ」


「っ!」


「なるほどなぁ、国を動かすナンバー2の位置に居れば、怪しまれずに行動出来るって事だな」


宰相が宰相になった理由に、クロスはただ驚き、セイは感心した



「さて、私の話はもういいでしょう、それより、【魔威】、ルージュ様を知る貴方は、何者ですか?ただのハンターじゃないですよね?」


「「っ!」」


「へぇ~ならこっちも【魔威】」


「「「っ!」」」


自身の話を切り上げた宰相は、【魔威】を使い、セイに質問した


クロスとダグラは、宰相の【魔威】により、動くことが出来なくなり、セイは、宰相の【魔威】に対抗して【魔威】を使った


「やはり【魔技】を…」


「さて、【魔威】が拮抗した所で、質問に答えよう、俺はハーデス王国後継者、セイ フォン ハーデスだ、よろしくな」


「っ!あり得ない!ハーデス家を名乗れる者は、あのお方ただ1人だ!」


「何だルージュから聞いてないのかよ、仕方ない、これが証拠だ」


「この剣は…」


セイの名前を聞いて、取り乱した宰相の前に、セイは魔剣ハーデスを出した


「魔剣ハーデスだ、俺達一族しか持つ事が出来ない魔剣、これなら証拠になるだろ?」


「…確かに、昔母が見せてくれた本に載っていた、魔剣ハーデスだ、では貴方様は、本当にハーデス王国の後継者なのですか?」


「そうだ、俺が冥王様の後を継ぐ、セイ フォン ハーデスだ」


「「っ!宰相様いきなり何を…」」


魔剣ハーデスを見た宰相は、【魔威】を解き、セイの前に行き跪いた。

それを見たクロスとダグラは、いきなりの行動に驚き、宰相に声を掛けたが、宰相はそれを無視して、セイに挨拶をした


「ハーデス家の帰還、心よりお喜び申し上げます、私は、林王よりこの国を調べる命を受けている、サクアと申します」


「「サクア?」」


「ん?サクアは本名か?」


セイは、クロスとダグラが、サクアの名前を聞いて、首を傾げていたのを見て疑問に思い、サクアが本名かを聞いた


「はい、この国の宰相としては、ダンザ ズバカと名乗っていました」


「…嘘だろ、ダンザ ズバカは、偽名だったのか…」


「私も、てっきり本名だと…」


クロスとダグラは、ダンザ ズバカが本名だと思っており、かなりのショックを受けていた


「当たり前だろ、ダンザ ズバカなんて名前が本名だったら、ダサ過ぎて自殺しているわ!」


「ちっ!くっそ!なら、これから宰相様を馬鹿に出来てるとこが、全く無いじゃないですか!」


「そうですよ!今まで宰相様に無茶言われても、ダンザ ズバカって名前が有ったから許せていたのに!」


「お前ら何を言って…」


「何がサクアだ!綺麗な名前を隠しやがって!ふざけんな!」


「そうだそうだ!何がサクアだ、ふざけないで下さい!最も馬鹿に出来てる名前に変えるべきです!」


「好き勝手言うな!」


ゴン「ぐっ」ゴン「ゔっ」


クロスとダグラは、宰相の本名に逆ギレを起こし、宰相は好き勝手言う2人を殴って黙らせた




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