第148話 勘違い



「ほら、もう着くぞ」


「うっ、おえ」


王都の門前の列の近くに着いたセイはクロスを地面に降ろしたが、【魔装】を使ったスピードで、おんぶされていたクロスは、降ろされるなり吐いてしまった


「うわ!汚いな!」


「仕方ないだろ!何だよあのスピードは!死ぬかと思ったわ!」


「はぁ、よくそんな軟弱で山賊をやろうとしていたな」


「う、うるせぇ!あの時はやるしか生きる方法が無いと思ってたんだよ!」


「そんなことより、王都に入ったらまずは宰相に会いに行くぞ」



クロスは、恥ずかしさで顔を赤く染めながら言い返したが、セイは軽く無視して話をしだした


「そんなことよりって!」


「宰相に会う方法を知っているか?」


「無視かよ。はぁ、一応知っているが、宰相に会ってどうする気だ?」


「少し聞きたいことが有ってな」


「宰相にか?」


「ああ、宰相は何処まで王家について知っているか知っておく必要がある」


「なるほど、敵か味方かどっちか知っておきたいんだな?」


「そうだ、もし宰相が敵なら、王家の情報を吐かせる必要がある」


「っ!それは!」


「クロスにとっては、可愛がってくれた人なんだろうが、王家を滅ぼす為に絶対に必要な事だ」


「そんな事は分かってる!だが恩人なんだよ!あの人だけは裏切る事は出来ない!」


セイの話を聞いたクロスは、覚悟を決めた顔で、自身の思いをセイに伝えた


「はぁ?、クロスお前なに言っての?俺は一言も痛め付けるなんて言ってないだろ」


「へぇ?」


「もし敵なら、暫く動けないように監禁するだけだ」


「っ~なら最初からそう言ってくれよ!セイさんに殺される覚悟した俺が馬鹿みたいじゃねぇか!」



セイの言葉で、自身が凄い勘違いをしていた事を知ったクロスは、顔を真赤にして文句を言った


「どう考えても、勘違いをしたお前が悪いだろ」


「うっ、だが情報を吐かせるって言うから、俺はてっきり」


「拷問をするってか?そんな事する訳無いだろ、情報なんて物はな、痛め付けなくても、圧倒的恐怖を与えるだけで、殆どの人は話してしまう物なんだよ」


「痛め付けずに恐怖なんて、与える事が出来るのか?」


「なら試してみるか?」


「えっ?」


「【魔威】」


「ぐっ、なんだこれ、動けねぇ」


セイは、クロスに向かい【魔威】を使い押さえつけた。押さえつけられたクロスは、どうにか動こうと藻掻くが、全く動くことが出来なかった


「【魔威】に殺気を乗せると…」


「ひっ、やめてくれ、頼む」


「おっと、やりすぎたな」


【魔威】によって動くことが出来ないクロスは、セイから殺気を放たれ、恐怖で漏らしてしまった


それを見たセイは、直ぐ様【魔威】と殺気を解いた


「悪かったな、まさかこうなるとは」


「?なにを言って…うわぁぁぁぁ!」


「あっ!おい!」



【魔威】と殺気を解かれ、動けるようになったクロスは、最初は何故セイを謝ったのか理解出来なかったが、ふと股から感じた違和感に目を向けて、自身がお漏らしをした事を理解し、王都とに向かい走って行った


「あいつ、川を目指すならまだしも、なんで王都に走って行くんだよ、仕方ない追いかけるか」


セイは、文句を言いながら、クロスを追いかけて行った

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