第145話 山賊?



セイが王都に向けて出発してから、1週間が経った


セイは、デニスと別れてからは、何事も無く進み、王都の近くまで来ていた


(この道を真っすぐ進めば、昼前には王都に着くな)


「と、止まれ!」


「ん?」


セイが道を走っていると、痩せこけた1人の男が、道を通れない様に立っていた


「どうした、何か用でもあるのか?」


「か、か、金目の物を置いていけ!」


セイは、走るスピードを落とし、その男の前で止まると、男は身体を震わせながら、剣を構えた


「何だ、山賊か?やめとけ、身体震えてるぞ」


「う、うるせぇ!命が惜しければ金目の物を置いていけ!」


「はぁ、お前、こういう事するの、初めてだろ?」


「な、何言ってやがる!は、初めてな訳ないだろ!」


「いや、そんなに緊張していたら、誰でも分かるぞ」


「うるせぇ!くらえ!」


「ぐっ、ぼっ、がっ」


「はぁ、アホらし」


セイは、斬り掛かってきた男の剣を避け、横腹、鳩尾、顎の順番に、一発ずつ殴り気絶させた。


セイは、気絶した男の首根っこを掴み、木の根元にまで連れて行った


「おい!起きろ!」


「ん゙っ、いったい何が?」


「起きたか」


「っ!お前は!」


「立とうとするな、そのまま座ってろ」


「ゔっ、分かったから、肩から手を離してくれ」


起こされた男は、目の前にいるセイから逃げようとしたが、肩を押さえられ、渋々、木の根元に座った


「それで、お前はどうして、山賊何かをやろうとしたんだ?」


「それは…」


「まぁ、大体は予想出来るが、お前の口から聞きたくてな」


「俺は、元々王城で働いてたんだ」


「そうなのか!てっきり近くの村から追い出されたのかと!」


「違うに決まってるだろ!全く予想出来てねぇじゃねぇか!」


「いや、普通山賊になる奴って、暴れん坊の馬鹿か、口減らしで村に居ることが出来なくなった奴ぐらいだろ?」


「それはそうだが」


「それに、お前凄い痩せてるから、普通絶対に口減らしだと考えるだろ」


「痩せてるのは仕方ねぇだろ!もう4日も何も食べてないんだぞ!」


「それにしては元気だな」


「空元気だよ!」


「仕方ない、ほら、俺のパンやるよ」


「っ!いいのか?俺何も持って無いぞ」


「遠慮するな、早く食え」


「ならありがとう、っ!うっ、うっ、うめぇ、うっ、うっ、本当にうめぇ、うっ、うっ」


セイにパンを貰った男は、泣きながらパンを食べた



男がパンを食べ終わると、セイは山賊になった理由を聞いた


「それで、王城で働いていたお前が、どうして山賊をやろうとしたんだ?」


「俺は、宰相直属の部下の文官として働いていたんだ」


「それって結構上の役職だろ?」


「ああ、宰相に何かあった場合、代わりを務めることが出来る役職だ」


「なら余計に不思議だな、お前何かやらかしたのか?」


「やらかしてねぇよ!第1近衛騎士団長にハメられただけだ!」


「ん?第1近衛騎士団長にハメられたのか?」


「ああ!あのクソ野郎、自分の失敗を俺に擦り付けやがって!」


「そうかそうか、それは無念だろ(この男使えるな)」


「当たり前だろ!こっちは死ぬ程勉強して文官になったのに、家柄だけで近衛騎士団長になったクソ野郎にハメられたんだからな!」


「なら、復讐するか?今なら手伝ってやるぞ?」


「はぁ?何言ってやがる!そんなの無理に決まってるだろ!」


「それがそうでも無いんだよな」


「どういう事だ?」


「あのな…」


セイは、近い内に、公爵家が人類至上主義を滅ぼす為に、王家に闘いを挑む事を教えた


「嘘だな!そんな事、絶対に起きるはずがねぇ!」


セイの話に驚いた男は、立ち上がりながら、セイの話を否定した



「いや、必ず起きるぞ、なんたって俺が作戦を考えているんだからな」


「お前、何者だよ」


「そうだな、四家の公爵家当主が、跪く立場にいる人間だ」


「あり得ねぇ、王家にも跪かない公爵達だぞ、そんな人間居る筈がない」


「それが居るんだよ」


セイの表情を見た男は、その言葉に嘘がないことを読み取り、額から汗を流した


ゴック「もし、お前に付いていけば、あのクソ野郎を絶望させることが出来るのか?」


「出来るぞ、それどころか、お前が優秀なら、文官として、また働くことも出来る」


「本当だな?嘘だったら一生掛けて償わせるぞ」


「いいだろう、その代わり、死ぬ気で手伝えよ?」


「分かった、あのクソ野郎に絶望を味合わせる為に、お前に付いていく」


「よし、決まりだな、それでお前の名前は?」


「俺はクロス、よろしく頼む、えっと」


「俺はセイ フォン ハーデスだ」


「セイさん、よろしく頼む」


「ああ、任せておけ」







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