第143話 セイの目的


騎士達に稽古をつけた次の日、朝食を食べているセイは、ヒサカ達、ディカン家の者達に、王都に向かう為、今日、都市ディカンを出発する事を伝えた


「…セイ様、今日、出発してしまうのですか?」


「ああ、出来れば、早めに作戦を終わらせたいからな」


「ですが、1週間程なら、遅れても」


「いや、俺の目的が、どれだけ時間が掛かるのか分からないから、トーカスの問題は、早めに終わらせたいんだ」


「セイ様の目的とは?」


「言ってなかったか?冥王様の命令で、林王に会いに行くだよ」


「「「「「えっえぇーー!」」」」」


「っ…驚き過ぎだ」


セイの目的を聞いた、ディカン家の者達は、大声で驚いてしまい、セイは耳を押さえながら、文句を言った


「っと、すみません、冥王様の命を受けているとは思わなくて」


「私もです、てっきり、旅をしているだけかと」


「いや、ヒサカには言っただろ、目的を手伝ってくれって」


「ヒサカ、そうなのか?」


「…目的を手伝って欲しいとは言われてましたけど、冥王様の命で林王様に会いに行くとは、聞いていませんでした」


「そうだったか?」


「はい」


「なら、ついでに、目的について話しておくか、ヒサカ達にも関係あることだし」


「私達に関係ある事ですか?」


「ああ、ディカン家に関係する事だ」


「それはいったい?」


「ハーデス王国の復活だ」


「「「「っ!ハーデス王国の復活!」」」」


セイは、エルフ達に頼まれ、ハーデス王国を復活させる事を、伝えた


「セイ様!本当ですか!?」


「ああ、母様がやる気になったからな」


「いったい何処を国土に?」


「とりあえず、冥王様の領域を国土にして復活される」


「なるほど、冥王様の領域を…しかし、魔獣達がいては、エルフ達を呼ぶことは…」


「それは大丈夫だ、魔獣を人に戻す方法は見つけてある」


「本当ですか!」


「ああ、既に戻っている者もいる」


「それは喜ばしい限りです…私達も、魔獣を人に戻す方法を探してはいたのですが、全く見つける事が出来なくて」


「そうなのか!それは大変だっただろう」


「いえ、他の公爵家も一緒に、調べていた事なので」


「そうか、なら、その事を、しっかり冥王様に伝えておく、よく調べ続けてくれた」


「いえ、私達は、先祖より託された使命を全うしただけです」


セイは、ヒナイトの話を聞き、未だに、魔獣を人に戻そうとしていた者が居たことに、心から喜びを感じていた


「…さて、そろそろ行くか」


「では、都市の門まで送ります」


「そうか、なら頼む」


「はい!」


朝食を食べ終えたセイが、王都に向けて出発しようとすると、ヒナイト達が、馬車で都市の門まで送って行った


「なら、俺は先に王都にいるから、ヒナイト達は、作戦通りに動いてくれ」


「お任せください、必ず成功させます」


「頼んだぞ」


「「「「はい!」」」」


「じゃぁ王都で会おう!【魔装】!」


「「「「っ!セイ様!…居ない」」」」


セイは、【魔装】を使い、王都に向けて走り出した


~ヒナイト、ヒサカ

アルフェス、アナベル~


ヒナイト達は、いきなりセイが、【魔装】を使い走り出した事に驚き声をかけたが、セイは既に居なくなっていた


「…今のはセイ様の魔法でしょうか?」


「違うぞ、今のは【魔装】だ」


「【魔装】?初めて聞きました」


「そうね、私も初めて聞いたわ」


「アナベルとヒサカは、魔法が使えないから、知らなくて当たり前だ」


「それで、【魔装】とはいったい何ですか?」


「魔法師には、魔力を使った【魔技】と呼ばれる技が、いくつかあるんだ、【魔装】はその中の1つだ」


「【魔技】…お父様も使う事が、出来るのですか?」


「私は、【魔装】と【魔威】なら使えるぞ」


「なら、アナベルは?」


「っ!それは…えっと…その…」


「まさか使えないの?」


「…アナベル、アルフェスはまだ習得できておらん」


「あら、どうして?セイ様や貴方は習得できてるんでしょ?」


「アルフェスは、【魔技】の練習をサボっているからな!」


「なっ!父様!」


「アルフェス!」


「っ、はい!」


「ここでは、人目があります、今すぐ屋敷に帰りますよ…帰り次第分かっていますね?」


「っ、はい…」


アルフェスは、サボっている事を、ヒナイトにバラされ、アナベルに連れられ屋敷に戻って行った


「あれは、長くなるな」


「そうですね」








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