第140話 余裕の理由



「…まず、トーカスの英雄と言われたモンズは、人としては強いが、俺が知っている人よりは弱い」


「「「なっ!」」」


「ふざけるな!叔父様を馬鹿にしているのか!」


「うるさいな、少し黙って話を聞け!」


 ボスッ「ぐっ…貴様ぁ」


「アルフェス!セイさん!何故殴る必要があったんですか!」


 セイの言葉に怒ったアルフェスは、立ち上がりセイに掴み掛かったが、セイに鳩尾を殴られ、その場に鳩尾を押さえ座り込んだ


 ヒナイトは、アルフェスに駆け寄り、セイに殴った理由を聞いた


「…人が説明しているのに、横から文句をつけるからだ」


「しかし、先に兄を侮辱したのは、セイさんではないですか!」


「はぁ、俺は別に侮辱してないだろ、ただモンズより強い人を知っていると言っただけだ」


「それが信じられないのです!兄より強い人を、私は見たことがありません」


「それなら、モンズを殺した5人組はどうなんだ?モンズより強いだろ」


「それは違います!一対一なら兄が勝っていました!」


「それは実際に戦わないと、分からない事だろ」


「では!セイさんが言う、兄より強い人も、実際に戦わないと分からない話じゃないですか!」


「いや、絶対にモンズでは勝てないと、断言する」


「なっ!そんことは…「お父様!セイ様の言っていることは本当です!」…ヒサカ?」


 ヒサカは、感情的になっている、ヒナイトの言葉を遮り、セイの言葉を認めた


「…お父様は、モンズ叔父様の事を、最強だと思い込んでいるだけです」


「…そんな事は無いぞ」


「いえ、お父様はお酒に酔うと、いつもモンズ叔父様の話をしています、『兄は天才だった、兄は最強だった、兄に勝てる者など居なかった』と酔う度に、私とお兄様に言っていました」


「それは、事実だったんだから、別にいい事だろ」


「いえ、モンズ叔父様より強い人は、必ずいたと思います」


「…どうして、そう言い切れる?」


「多分ですが、セイさんは、モンズ叔父様より、圧倒的に強いからです」


「「っ!あり得ない!」」


「私がセイ様に助けて頂いた時、セイ様は、本気を出さずに20人の襲撃者を、一方的に倒しています」


「「…一方的に」」


「そんなセイ様が、王家の隠された戦力を余裕で倒せると言っているのです、まずは文句を言わずに、話を聞くべきです」


「「・・・・・・・・」」


「セイ様、話の続きをお願いします」


 アルフェスとヒナイトが、静かになったのを確認したヒサカに促され、セイは話の続きを話始めた


「…次は、ちゃんと最後まで聞いてから、文句を言えよ?」


「「…分かった」りました」


「…俺が余裕だと判断した理由は、モンズがブラウンホルスの変異種を倒す時に、傷を負ったと聞いたのと、モンズを殺した5人組が、モンズに軽くだが傷を付けられたと聞いたからだ」


「それだけで、どうして余裕だと、判断できるんですか?」


「そうだな…簡単に言えば、モンズと5人組には、圧倒的差が無かった、ここまでは分かるな?」


「「「はい」」」


「なら、ブラウンホルスの変異種を、無傷で倒せると者と、モンズなら、どっちが強い?」


「…それは、兄より前者の方が強いかと」


「そうだろ?なら、ブラウンホルスの変異種を無傷で倒せる者を余裕で倒せる者と、モンズを殺した5人組、どっちが強い?」


「…それは多分、後者ですが、そんな人が居るのですか?」


「俺が知る限りでも、50人以上いるな」


「「なっ!5、50人以上…」」


「勿論、俺もその1人だ」


「…本当にセイさんは、兄より強いのですか?」


「そうだな…レッドベアの変異種を一撃で倒せると言えばいいか?」


「「「レッドベアの変異種!」」」


「…流石セイ様です!それでこそ、ハーデス家の後継者!」


「あっ!おい!」


「…ん?ハーデス家の後継者?」


「あっ」「はぁ」


「ヒサカ、どういう事だ?」


「えっと…その…」


「説明してくれるよね?」


「はい…」


ヒサカは、興奮のあまり口を滑らせ、ヒナイトに説明する事になった



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