第139話 王家の戦力


「…分かっていたさ、ヒサカが人類至上主義を無くすために、王妃になる事を承諾した時からな…」


「お「父様…」」


崩れるように椅子に座ったヒナイトは、弱々しい声で、悔いる様に答えた


「人類至上主義は200年以上続いた、この国の膿だ。今まで、何人の者達が、変えようとし、無くそうとしたが、王家によって、全員が闇に葬られてきた」


「父様、王家にそこまでの力があるんですか?」


「王家は、我ら公爵ですら潰す、戦力を隠し持っている」


「「そんな…」」


(王家が、そんな戦力を持っているなら、何故隠す必要がある?堂々と見せつけていた方が抑止力になるはず、何か理由が有るはずだ)


ヒサカとアルフェスは、ヒナイトの話を聞き、困惑していたが、セイは、トーカス家の戦力の秘密を考えていた


「ヒサカ、私は諦めろとは言わん、だが、お前が進む道は、確実に死が待っている」


「お父様…私は…」


ヒサカは、ヒナイトの想いを聞いて、どうすればいいか悩み始めた


「ヒサカ、何を悩む必要がある、王家の戦力の戦力恐れる必要は無いだろ」


「…セイ様」


「俺が居るんだ、王家が隠している戦力なんて、無いに等しいだろ」


「セイさん!貴方は、王家の戦力がどれ程の戦力を持っているか、何も分かってない!」


セイが、ヒサカを励ましていると、ヒナイトが、セイの言葉を否定した


「ヒナイト、あんたは知っているのか?」


「うっ…それは…」


「お「父様?」」


「ヒサカ…アルフェス…」 


「お父様、知っているなら教えて下さい、お願いします」


「…分かった…教えよう、私が知る王家の戦力について」


「本当ですかお父様!」


「ああ」


ヒサカに、深く頭を下げられたヒナイトは、王家の戦力について話始めた


「ヒサカ、ヒナイト、私には兄が居たのを知っているな?」


「確か、30年前、国を襲った、変異種のブラウンホルスを倒し、トーカスの英雄と呼ばれた、モンズ叔父様ですよね」


「そうだ、そして英雄と呼ばれた兄を殺したのが、王家が隠している戦力だ」


「モンズ叔父様は、病死と聞いていましたが、違ったのですね」


「ああ、王家の命令で、病死と発表するしかなかったのだ」


「それで、モンズ叔父様は、何故殺されることに?」


「…王家は、兄の名声と人気が、自分達を脅かすと判断したんだ、いずれ自分達を滅ぼすとな」


「「そんな…」」


「そして、30年前のあの日…兄は私の目の前で殺された!」


「「っ!」」


「あの日、私と兄は、外で2稽古をしていた、そんな中、5人組の者達がやって来て、私と兄襲いかかった…兄は私を護りながら闘ったが、力及ばず無残に殺された…その時、襲撃者の1人が私に言ったのだ、王家の命令で兄を殺したとな、そして、もし私が王家に逆らったら、一族を滅ぼすとな」


「お「父様…」」


「…セイさん、英雄と呼ばれた兄ですら、軽い傷しか付けられない者が、5人も居るのだ、誰も王家には反乱などできぬよ」


「セイ様…」


「…1つ聞くが、そのモンズって人は、ブラウンホルスの変異種を1人で倒したのか?」


黙って話を聞いていたセイは、1つだけ気になる事を、ヒナイトに聞いた


「ああ、そうだ、傷を負いながら、1人でブラウンホルスの変異種を倒した」


「そうか…(ブラウンホルスの変異種を倒すのに、傷を負うってことは、モンズって人は、人としては強いが、セバスさんより弱いな…そしてモンズを殺した5人組は、軽い傷を付けられた…)よし、余裕だな」


「セイ様、何が余裕何でしょうか?」


「王家の戦力を倒すことに決まってるだろ」


「っ!セイさん!私の話を聞いてなかったんですか!」


「聞いてたよ、聞いた上で、余裕だと判断しただけだ」


「「なっ!」」


「セイ様、本当ですか!?」


「ん?ああ、余裕だぞ」


「貴様!父様の話を聞いて何が余裕だ!傲るのも大概にしろ!」


「別に傲ってないぞ、ただ事実を言っただけだ」


「貴様ぁ」


「…セイさん、どうしてそう判断したのか、理由を教えて下さい」


「いいぞ」


セイは、ヒサカ、アルフェス、ヒナイトの3人に、説明をし始めた





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