第138話 都市ディカン


ライカは、4時間の間、ハーデスの偉業を、ぶっ続けで聞かされていた


「…こうしてエルフは、ハーデス家を信頼、尊敬したのです」


「…凄いです」


(…不憫な)コンコン「ん?」


「ヒサカ様、都市ディカンに到着しました」


「あら、もう着いたの?…なら、このまま屋敷まで行って頂戴」


「了解です」


都市ディカンに到着したセイ達は、検問をしずに街に入って行った


「へぇ~結構栄えてるな…ここの領主が、ちゃんと統治をしている証拠だな」


「セイ様に、そう言っていただける事が、何よりの誉れでございます」


セイは、馬車の窓から街を見渡し、統治をしている者を褒めると、ヒサカは、感動しながら頭を下げた


「ん?そういえば、都市ディカンって言っていたな」


「はい、私の父が治めている都市です」


「そうか、なら、暫くは、俺がハーデスであることを隠しておけ」


「何故ですか?父に言えば、お喜びになると思いますが」


「まずは、ヒサカの父の人となりを見たいからだ」


「セイ様が、そう仰っしゃるなら、分かりました」


コンコン「ヒサカ様、屋敷の前に着きました」


馬車は、街を抜け、都市の真ん中にある屋敷の前で止まった


「分かりました…ではセイ様」


「ああ、ありがとう」


「いえ」


「「ヒサカ~!」」


セイが、ヒサカにエスコートされ馬車から降りると、屋敷の中から、2人の男が走って来て、ヒサカに抱きついた


「うっ…お父様、お兄様」


「ヒサカ!無事だったか!騎士から襲われたと聞いたぞ!」


「かすり傷の1つも付いてないだろうな!もしも付いてるのなら!」


「こちらの、セイ様に助けて頂いたので、大丈夫ですわ」


「「セイ様?」」


ヒサカの父と兄は、ヒサカに言われ、隣りにいるセイに目を向けた


「…貴方が妹を助けてくれたセイさんですね、私はヒサカの兄、アルフェス ディカンです」


「父のヒナイト ディカンだ、」


「俺はハンターのセイだ」


「…妹を助けてくれた事には感謝しよう、だが!何故同じ馬車から降りてきてた!もしや貴様、ヒサカを狙っているのか!」


「何!それは事実か!もし事実なら、生かしてはおかん!」


「お兄様!お父様!」


自己紹介が済むと、アルフェスとヒナイトは、いきなり豹変し、セイがヒサカを狙う敵と考え、戦う構えを取った


(うわぁっ、この2人、かなりのシスコンに親馬鹿だ)


「…何か勘違いしてるみたいだけど、別に狙ってないぞ」


「「嘘だな!」」


「嘘じゃありません!セイ様は助けてくれた方ですよ!私を狙う方が、助ける必要無いじゃないですか!」


(((ヒサカ…初心すぎるぞ)))


ヒサカは、セイを庇うように、アルフェスとヒナイトの前に出て説明した


「…はぁ、ヒサカ分かった、もう襲おうとはしないから」


「本当ですか?」


「ああ、彼はヒサカの恩人だ、何もしないとも、父様もそれでいいですね?」


「ああ、それでいい」


「では、ヒサカ、彼を客室まで案内して上げなさい」


「いえ、その前に、お話があります」


「「話?」」


「はい」


「…分かった、応対室で聞こう」


ヒナイトは、ヒサカの真剣な表情を見て、大事な話だと判断した


セイ、ヒサカ、アルフェスの3人は、ヒナイトの後に続き、応対室に入って行った


「…さて、ヒサカ、話とは何だ?」


4人が椅子に座ると、ヒナイトが、ヒサカに話を聞いた


「…お父様、お兄様、私は、この国を滅ぼす事にしました」


「「っ!何を!」」


アルフェスとヒナイトは、驚き立ち上がったが、ヒサカはそのまま話を続けた


「今日、セイ様に言われ気づきました、人類至上主義を無くすには、それしか無いと思います」


「貴様!娘に何を言った!」


「事実だ」


ヒナイトは、セイに掴み掛かったが、セイは淡々と答えって言った


「…ヒサカは、人生を懸けて王族と貴様の考えを変えると言ったが、無理だと教えただけだ」


「なっ!貴様!」


「ヒナイト、あんたも気づいてたんだろ?ヒサカが言っていたやり方では、絶対に無くすことが出来ないと」


「うっ、それは…」


「本気で無くしたいなら、滅ぼすしか道が無いことも」


「・・・・・・・・」


ヒナイトは、何も言えなくなり、崩れるように椅子に座った





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る