第137話 ヒサカとライカ 5



「…元々トーカス王国は、ハーデス王国が魔獣の祖に滅ぼされた後、国民達を護る為に作られた国なのです」


ヒサカは、跪いたまま、セイにトーカス王国の成り立ちを説明し始めた


「…なるほど、つまりこの国は、呪われなかった者達の為に作られたんだな?」


「そうです、魔獣に成らずに済んだ者達の為に、国を作ったのです」


「それにしても、よく魔獣の祖の話を知っているな?」


「それは、公爵家に記録として残っているからです」


「そうか、なら、ヒサカは、それを教えられて育ったんだな」


「はい、我ら公爵家の者は、物心がつく頃から、ハーデス王国が滅んだ理由と、トーカス王国の成り立ちを教えられます」


「トーカス王国が作られた理由は分かった…それで、トーカス家の元の名はなんだ?」


「それが、分からないのです」


「…どういう事だ?」


「我ら公爵家が、ハーデス王国の貴族だった記録は有るのですが、トーカス家の記録は、国王以外見たことがないのです」


「…公爵家には、トーカス家についての記録は無いのか?」


「ありません、ただトーカス家と公爵家がハーデス王国の貴族だったとしか、記録に残っていないんです」


「ゔ~ん、それって可怪しくないか?普通結束を高める為に、元の名ぐらいは教えておくものだろ?」


「私達もそう思って、王家に頼んでみたのですが、教えてもらえないのです」


「…怪しいな」


「私達も、怪しいと思っているのですが、調べ様にも、王家の記録の場合が分からず、困っているのです」


「(…少し調べる必要があるな)…ヒサカ、お前達公爵家は、未だにハーデス家に忠誠を誓っているのか?」


「っ!はい!ディカン家、トルティ家、ローパ家、リルカサ家の四家は、国が滅ぼうともハーデスの家臣のままです!」


「(四家とも図書室で読んだ本に載ってたな)ではここに、ハーデス王国次期国王セイ フォン ハーデスの名の下に、ヒサカ ディカンに命を下す!」


「はっ!」


セイは立ち上がり、腰から魔剣抜き、跪いているヒサカの肩に置いた


「…トルティ家、リルカサ家、ローパ家、ディカン家の四家に、ハーデスの帰還を伝え、現当主を、余の前に集めよ!」


「はっ!全てはハーデスの為に」


「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」


黙って見ていた、ライカと騎士達は、セイが命じ、ヒサカが承諾する姿に感動し、静かに跪いた


「…では、トーカスの王都に向うか」


「はっ!貴方達!出発の準備を!」


「「「「「っ、はい!」」」」」


ライカと騎士達は、素早く準備完了させ、セイ、ヒサカ、ライカの3人が、1台の馬車に乗ると、騎士達は直ぐに王都に向けて出発した


馬車が出発して、しばらく経ってから、ライカは、ヒサカに、気になっていた事を聞いた


「あの、ヒサカ様、気になる事が」


「あら、何かしら?」


「先程の話で出た、ハーデス王国とは、一体何ですか?」


「そうね、セイ様、教えてもよろしいでしょうか?」


「別にいいぞ、隠すことでも無いしな」


「分かりました」


ヒサカは、セイの許可を取り、ライカに説明し始めた


「…ハーデス王国とは、始まりの国と言われる国よ」


「始まりの国…確か、陛下達が言っている、人類が作った世界で最初の国ですよね?」


「それは違うわ、ハーデス王国は他種族が協力して作った国よ、ただ王家が人類だっただけよ」


「っ!そうなのですか!」


「初代ハーデス王国国王様が、エルフやドワーフ、他種族に協力してもらい、国を作ったの」


「…初めて知りました」


「だから、ハーデス王国は他種族国家だった国なの」


「では、トーカス王家が、本当にハーデス王国の貴族だったなら、人類至上主義なんて…」


「そう、ハーデス王国の貴族の子孫が、そんな考えを持つこと事態、まずあり得ない事なの」


「…だから、公爵家は、王家を疑問に思っているのですね」


「そうよ」


ヒサカは、街に着くまでも間、ハーデス王国について、ライカに話続けた






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