第136話 ヒサカとライカ 4


~ヒサカ、ライカ視点~


セイからの条件を聞き、ヒサカ達は少し離れた場合で相談を始めた


「…ヒサカ様、あの者の条件を呑むつもりですか?」


「正直、迷っています…1つ目の条件は、呑んでもいいと思いますが、2つ目の条件は、国交を結ぶ相手の国が、何処か分からない限り、呑む事は出来ません…3つ目の条件は、手伝う内容によると思います」


「ライカ、貴方はどう思いますか?」


「…第2近衛騎士団長としては同意見ですが、私個人としては、条件を呑んでもいいと思っています」


「っ!それは…」


「国に仕える身としては、どうなるか分からない、2つ目と3つ目の条件を、呑む事は出来ませんが、私個人としては、あの者が悪者には見えません」


「私も、あの方が悪者には見えません、ですが、あの方を見ていると、少し不安に思う事があるのです」


「不安ですか?」


「ええ、あの方は、ハービス王国元王妃セナ フォン ハービス様に、よく似ているのです」


「「「「「「っ!」」」」」」


「…ですが、セナ様に御子息がいるなど、聞いたことがないですよ」


「ええ、私も聞いたことがないです」


「では、他人の空似では?」


「そうだと、いいのですが、もしセナ様の御子息なら、1つ目の条件も呑む事が出来ません」


「どうしてですか?」


「セナ様は、王太妃時代に、他国との外交で、未だに回復できない程の傷を、与えた方ですよ?」


「…父から聞いています、あれ程恐ろしい外交は無いと」


「そんな方の御子息が、普通のやり方で、手伝ってくださるとは思えません」


「…あの者に確認をしてみますか?」


「ライカ…お願いできますか?」


ライカが、チラッと部下達の方を見ると、部下達は、上や下を見て、ライカと絶対に目を合わせまいとした


「…はぁ、分かりました」


ライカは1人、ヒサカが言っていた、セナと親子かを、確認しに向かった


~セイ視点~


ヒサカ達が相談している間、セイは森の中で野鳥を狩り、串焼きにして食べていた


「すまないが、1つ貴殿に聞きたいことがあるんだが」


「む?ゴックンなんだ?」


「もしかしてだが、貴殿はハービス王国元王妃セナ様の御子息か?」


「へぇ~やっぱ分かるんだ」


「っ!では!」


「そうだ、俺はセナ フォン ハーデスの息子、セイ フォン ハーデスだ」


「…ハーデス?ハービスではなく?」


「ハーデスだぞ、母様の一族の名前だ」


「そうなのか、ではヒサカ様と相談して来る!」


ライカは、一刻も早くヒサカに伝える為に、走って戻って行った


~ヒサカ、ライカ~


「ヒサカ様!」


「そんなに急ぐって事は、セナ様の御子息だったのね?」


「はい、セナ様の御子息か聞いた所、セナ フォン ハーデスの息子、セイ フォン ハーデスだと」


「ハーデス?本当にハーデスって言ったの!?」


「はい、ハービスではなくハーデスだと言って下りましたが」


ハーデスの名前を聞いたヒサカは、急いで立ち上がりライカに詰め寄った


ライカは、何処か焦った様子のヒサカに困惑しつつ、セイの言われた事実を伝えた


「…急いでセイ様の下に行くわよ!」


「「「「「「…ヒサカ様?」」」」」」


「急いで!」


「「「「「「はい!」」」」」」


騎士達は、ヒサカの様子に困惑しつつ、セイの下に向かった


ヒサカは、セイの下まで走り、串焼きを食べているセイの前で跪いた


「む?ムグムグゴックンなんのつもりだ?」


「「「「「「ヒサカ様!」」」」」」


いきなり跪いたヒサカを、ライカと騎士達が起こそうとするが、ヒサカの真剣な表情と、全く動こうとしない意志を感じ取り、何も言えなくなった


「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」


ヒサカは、ライカと騎士達が何も言わなくなってから、セイに跪いたまま話をし始めた


「ディカンの子孫族が、偉大なるハーデスに、挨拶させていただきます」


「…ディカン…確か伯爵に居たはず」


「はい、ハーデス王国ディカン伯爵の子孫でございます」


「そうなのか!へぇ~まだ覚えている一族がいるんだな」


「もちろんです、この国の王家と公爵家は、全てハーデス王国の貴族の子孫です」


「そうなのか?トーカスなんて貴族いなかったはずだが?」


「それには、この国の成り立ちが、関係しています」


「成り立ち?」


「はい、元々トーカス王国は…」







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