第135話 ヒサカとライカ 3


「お前達の目的は何だ?」


セイを利用しようとした事を、認めたヒサカとライカは、利用しようとした理由を語り始めた


「私達は…この国のから、人類至上主義を無くしたいのです」


(はぁ?無理だろ、それをするには、人類至上主義の王族や貴族を根絶やしにする必要があるんだぞ)


「お前…それが何を意味してるか、ちゃんと理解して、それをする覚悟があるから言ってるんだよな?」


「…はい、人類至上主義の王族や貴族の考えを変える必要があり、それために人生を捧げる覚悟も決めています!」


(ちっ、全く理解してない!)


「違う!俺が言ってるのは、人類至上主義の王族や貴族を、根絶やしにする覚悟が有るのかって聞いてるんだ!」


「「「「「「っ!」」」」」」


「…貴方は、何を言っているのですか?…王族や貴族を根絶やしにする必要が、何処にあるんですか!」


「お前のその考えは甘いんだよ!一度、思想が固まった人間が、簡単に変わると思っているのか!」


「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」


セイの言葉に、ヒサカ達は、何も言い返す事が出来ずにいた


それを見たセイは…


(これぐらいの言葉で、何も言えなくなるぐらいの覚悟なんて、何の意味もないだろ)


「…この国は、200年以上、人類至上主義を掲げているんだぞ?今まで、お前等と同じ考えの者が絶対に居たはずだ…なのに、この国は変わってないんだよ、ヒサカ、何でか分かるか?」


「…分かりません」


「人の思想を変えるって事は、人の本質を変えるに事に、等しいしい事なんだよ、お前も王妃なら分るだろ、表面上は変わったように見せても、必ず裏で、人類至上主義を、子供に教える者が出てくる、それじゃぁ意味ないだろ」


「…はい」


「本気でこの国から、人類至上主義を無くしたいのなら、根絶やしにする覚悟が必要だ、今のお前達にはそれがない」


「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」


セイの話を聞き、ヒサカ達は、自身の考えの甘さと覚悟の無さを痛感した


「…本気で無くしたいと思うなら、この国を滅ぼす覚悟を決めろ、人類至上主義に染まった王族と貴族を滅ぼし、新しい国を作る覚悟をな」


「…国を滅ぼして、新しい国を作る…」


ヒサカは、セイに言われ、悩み始めた


「…ヒサカ様、私は貴方がどのような選択をしようとも、一緒に行く覚悟があります」


「「「「「「私もです!」」」」」」


ライカと騎士達は、悩んでいるヒサカの後押しをする為に、自身の覚悟を語った


「ライカ…皆…っ、」


「…決めました!この国を、一度滅ぼします!…ライカ、皆、私を手伝って下さいね」


「「「「「「っ!はっ!」」」」」」


ヒサカは、ライカや騎士達が、自分を信頼する顔を見て、その信頼に応えるため覚悟を決めた


「…滅ぼす方にしたのか」


「はい!貴方も手伝って下さいね!」


「…(これ、俺が焚き付けたんだし、嫌って言えない状況だろ…でもなぁ、林王に早く会いに行かないと行けないし)…」


「あの~聞いてます?」


「…(マジでどうしよう、人類至上主義が無くなれば、将来的には有り難いんだけど、俺の目的の方が重要なんだよなぁ)…」


「まさか、貴様、断る気か!」


「ん?なんだよ、今考えてるんだから邪魔するな」


「なっ!」


ライカがセイに詰め寄ったが、セイは軽く流し、どうすればいいか考え続けた


「仕方ありません、ライカ、少し待ちましょう」


「ヒサカ様がそう仰っしゃるなら」


ヒサカ達は、セイの考えが纏まるまで、静かに待ち続けた


(…う~ん、気持ち的には手伝ってやりたいけど、魔獣達の事も考えると、早く林王に会いに行って、聖属性の魔法師を、冥王様の領域に連れていきたいし、マジで悩むなぁ)


(…ヒサカ達に手を貸すメリットは、母様が言っていた、他国との繋がりぐらいか?林王に会うメリットはいっぱいあるから、林王を優先するか?でもなぁ…)


(…ああもう!仕方ない!悩むぐらいなら、気持ちを優先させる!)


「…仕方ない、手伝ってやる」


「本当ですか!」


「ああ、その代わり条件がある」


「何でしょうか?」


セイは、悩んだ末にヒサカ達を手伝う事にし、条件を話し始めた


「…まず1つ目は、俺のやり方に文句をつけない事、2つ目は、終わり次第、ある国と国交を結ぶ事、3つ目は、俺の目的を手伝う事、以上だ」


「…少しライカ達と相談させて下さい」





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