第134話 ヒサカとライカ 2
「待って下さい!」
「ちょっ」
「「「「ヒサカ様!」」」」
「お願いです!話だけでも聞いて下ださい!」
ヒサカは、離れて行こうとしているセイの腕に抱きつき、話を聞いてくれるように頼んだ
「…はぁ、分かったよ、話は聞くから、腕から離れてくれ」
「本当ですか!離した瞬間、逃げたりしませんか?」
「しないから、早く離れてくれ、俺の腕があんたの胸に挟まってるんだよ」
「え…キャァ!」
「「「「「ヒサカ様!」」」」」
ヒサカは、セイに言われ見てみると、腕に抱きついた結果、胸でセイの腕を挟んでしまっていることに気付き、顔を赤く染めて、セイから慌てて離れた
護衛達は、ヒサカに駆け寄り、セイを睨みつけた
「…勘弁してくれ、そんなに睨まれたら、俺が悪者みたいだろ」
「すみません!貴方達!睨むのを辞めさない!」
「しかし、ヒサカ様、もし、この者に胸を触られたなど、他の者に知られたら」
「…胸を触られた…」
「ヒサカ様!お気を確かに!」
「…マジか、どんだけ初心なんだよ」
ヒサカは、ライカに言われ、腕を胸を挟んでいた所を思い出してしまい、顔を真っ赤に染めて倒れてしまった
「あっ!ヒサカ様、ようやく目が覚めたのですね!」
「…ライカ…あっ!あの方は!」
暫くして、目を覚ましたヒサカは、周りを見渡し、セイを探していると、森の中からセイが現れた
「…いるよ」
「よかった!」
「埋葬は終わったのか?」
「ああ、ちゃんと埋めてきた」
「ライカ、どういう事?」
「実は…」
ライカは、ヒサカが倒れてから、目を覚ます間に、セイが覆面の者達を埋葬していた事を教えた
「…まぁ!優しいお方なのですね!」
「そんな事より、話があるんだろ?」
「そうでした」
ヒサカとセイは、護衛達が出した椅子に座り、話を始めた
「…自己紹介から始めましょう…私の名はヒサカ フォン トーカスこの国の王妃です…そしてこちらが」
「第2近衛騎士団長、ライカ ヘモンだ」
(…ちっ、王妃とその護衛かよ、マジで関わりたくないな)
「…俺は、ただの通りすがりのハンターだ、名前は無い以上だ」
「貴様!ふざけているのか!」
ライカは、腰から剣を抜き、セイに剣を向けた
「…別にふざけてないから」
「ならば何故、名を明かさぬ!」
「…分かれよ、王妃とその護衛に関わりたくないんだよ」
「っ、何故ですか?」
「はぁ、人類至上主義を掲げる国の王妃だぞ?誰がそんな奴と関わりたいと思うんだよ」
「貴様!」
「…確かに、私でも関わりたいと思いませんね…ですが、恥を忍んでお願いします、私達を助けて下さい」
(ちっ!こいつ!)
「ヒサカ様!頭をお上げ下さい!」
ライカが剣を振り上げると、ヒサカがセイの意見を認め、それでもと、頭を深く下げ、セイに頼んだ
ライカは慌ててヒサカの横に行き、頭を上げるように頼んだ
(…この女、かなり頭が良い、王妃が頭を下げてまで頼んだ頼みを断ったと、もし国王に知られたら、国の威信にかけて、必ず俺を殺しに来ると分かってやってるな)
「…一国の王妃が、見ず知らずのハンターに、頭を下げるとは…ヒサカ、お前は俺に何をさせる気だ?」
セイは殺気を出しながら、ライカに質問した
「貴様!どうい…」
「・・・・・・・」
ライカは、どういう意味かを聞こうとしたが、セイの殺気を感じ、恐怖で何も言えなくなった
ヒサカは、セイに見られているだけで、全身から汗を出し、震える事しか出来ずにいた
護衛達は、その場から動く事が出来ず、ただ見ている事しか出来ずにいた
それを見たセイは、殺気を消し、ヒサカに目的を聞いた
「ヒサカ、お前の目的は何だ?俺を利用して何をする気でいる?」
「っ、私は、利用しようなど」
「惚けるな、頭を下げる瞬間、お前の眼は、慈悲を乞う眼じゃなく、権力者がよく見せる打算的考えがある眼だった」
「「「「「「っ!」」」」」」
「よく分かりましたね?これでも隠し切れる自信はあったんですが」
「そうですね、私もバレない自信があったんですが」
ヒサカとライカは、立ち上がりながら、セイを利用しようとした事を認めた
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