第133話 ヒサカとライカ



セイと覆面の者達が戦い始め、それを見ていた強い護衛の女性は、セイの動きを集中して見ていた


(何者だ、あの男は…私達を追い詰めていた、襲撃者を一方的に倒している)


(もしあの者が、私達を襲って来たら、私達では、どう足掻いても太刀打ちできない)


「…ライカ、どうなりましたか?」


「ヒサカ様、危険ですので、馬車にお戻り下さい」


セイの事を、ライカと呼ばれた女性が、警戒していると、馬車の中から、1人の女性が降りてきた


「…ライカ、もしあの方が、私達を襲う気なら、馬車の中に居ても危険でしょ」


「っ、それはそうですが」


「なら、襲われない様に、直ぐに感謝を伝えられる様にしていた方が安全よ」


「…分かりました」


馬車から降りてきた、ヒサカと呼ばれた女性は、ライカの横に立ち、セイと覆面の者達の戦いを見ていた



覆面の者達と戦っているセイは、魔法を使わず剣だけで戦っていた


セイは、護衛達を追い詰めていた連携を逆手に取り、覆面の者が危ない判断して下がる時に、カバーに入る瞬間に出来る隙を突き倒していった


「くっ!お前達下がるな!カバーに入る時の隙を狙われている!」


「気付くのが遅かったな、4人も殺られてからじゃ遅いだろ…後4人なら、隙を突かなくても、倒せるぞ」


「くそっ!一斉に行くぞ!」


「「「はっ!」」」


「甘いなぁ~【風剣断風】!」


上下左右から、一斉に襲い掛かった覆面の者達は、セイの【風剣断風】により、一振りで絶命した


「そういう攻撃は、前だけじゃなく、後ろからも攻撃しなきゃ、意味が無いぞ…まぁ、もう聞こえてないか」


「それで、そっちは大丈夫だった?怪我してない?」


「はい、こちらは大丈夫です…助けて頂いて感謝します」


覆面の者達を倒したセイは、ライカとヒサカの方に振り向きながら、怪我をしたか確認した


ヒサカは、セイに感謝を伝えながら、セイの顔を不思議そうに見ていた


「ん?俺の顔がどうかしたのか?」


「いえ、幼い頃に見た方に、貴方様と同じ目と髪をしていたので」


「ふ~ん、そうなのか…まぁ、珍しい目と髪をしてるから印象に残ってるんだな」

(…まずいな、母様に会ったことある人か、かなり偉い立場の人だな)


「それで、助けて頂いて心苦しいのですが、私達を護衛して頂けないでしょか」


「「「「「なっ!ヒサカ様」」」」」


ヒサカの突然の申し出に、護衛をしている女性達は驚きの声をあげた


「ヒサカ様、正体不明の者に護衛を頼むは、私は反対です」


「ライカ、貴方は今回の襲撃が、仕組まれた物だと気づいてますね」


「それは…」


「いつ、また襲撃があるか分かりません、ならば、この方に護衛をしてもらえば、今よりも安全でしょう?」


「…ですが、この者が襲撃者の仲間である可能性も」


「それは大丈夫よ、襲撃者の仲間なら、今頃私達は、殺されている筈よ」


「それは…はぁ、仕方ありませんね」


「ふふ、納得してくれたみたいね…じゃあ、護衛をお願いしますね」


「いや、普通に嫌だけど」


「「「「「なっ!」」」」」


「いや、何で驚くんだよ」


「貴様!やはり襲撃者の仲間か!」


「え~っ」


ヒサカは、反対していたライカを説得して、セイに護衛を頼んだが、セイがそれを断ると、護衛達が一斉に剣を構え、セイを取り囲んだ


「…あのさぁ、退いてくれない?」


「無理だな、貴様が襲撃者の仲間である可能性がある限り、ここを退くわけにはいかん」


「…もしかして、お前等って馬鹿なのか?」


「「「「「「なっ!」」」」」」


「普通に考えて、襲撃者の仲間がお前達を助ける訳無いだろ」


「「「「「「うっ」」」」」」


「それに、襲撃される可能性がある人の護衛を、普通は引き受けないと思うけど」


「「「「「「うっ」」」」」」


「後、こんな襲撃を受ける人って、かなりの権力を持つ貴族か、王族の1人だよね」


「「「「「「うっ」」」」」」


「そんな人に関わると、権力争いに巻き込まれる可能性が高い、だから断る」


「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」


「じゃあ、そういう事で」


セイの言い分を聞き、護衛の女性達は何も言えなくなり、それを確認したセイはその場から離れ始めた






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