第121話 魔法師の子供
セナは、セイに弱音を吐いた事で、張り詰めていた精神状態が切れてしまい、精神的に弱ってしまった
最初の1週間は、部屋から出る事が出来ない程、精神的に弱っていたが、サーシャとマイカが、毎日傍に居続けたお陰で、部屋から出て来ることが、出来る様になった
それからは、セイと一緒に街に買い物をしに出掛けたり、冥王と一緒にゆったりと過ごす事で、1ヶ月経つ頃には、本来の精神状態に戻っていた
その日も、冥王、セナ、セイの3人で、テラスでゆったりと過ごしていると、グリモアが慌てた様子でやって来た
「坊ちゃん!セイ様!」
「そんなに慌ててどうしたのじゃ」
「完成したんじゃ!〈魔法薬〉が!」
「おお!そうか!よくやったぞ!」
「早速マーサ様にお願いをして、検証してみようと思っておるのじゃが」
「そうじゃな、早く検証した方がよいな」
「いや無理でしょ」
「「どうしてじゃ?」」
「シスターは、後2ヶ月もしない内に出産だよ?…グロリアさんが許可するとは到底思えないんだけど」
「それはそうじゃが」
「それに、また黒い獣が出るんだから、グロリアさんは、絶対に許可しないわね」
「…そうじゃな、グロリアは絶対に反対すのぅ、グリモア、諦めるしかない」
「仕方ないのぅ、諦めるか」
「出来る様になるのは、子供が産まれてから、1ヶ月は後だね」
「そうね、最低でも産後1ヶ月は安静にしてなきゃいけないわね」
「後3ヶ月か、少し長いのぅ」
「なら、魔獣から人に戻った男を調べてみれば?」
「そうじゃな、何か分かるかもしれんからのぅ」
「あの男なら、もう調べ終わっておる」
「あら、何か分かったの?」
「それがのぅ、どれだけ調べても、普通の人間じゃったんじゃ」
「それは、魔獣だった痕跡が無かったって事?」
「そうなんじゃ、全く痕跡が無くてのぅ、本当に魔獣じゃったか?と思う程、普通の人間なんじゃ」
「それは喜ばしい事じゃが、何も分からないのは少し困るのぅ」
「セイ!セナ様!大変!」
セイ達が話していると、サラが慌てた様子で走って来た
「そんなに慌てて、どうしたんだ?」
「シスターが産気付いた!」
「「「「えっ?」」」」
「…何言っての?産まれるのは、2ヶ月後だろ?」
「本当ならそうなんだけど!グロリアさんが言うには、産まれてくる子供が、魔法師の子供だから、普通より早く産まれてくるんだって!」
「「あっ!」」
「忘れておった!…そうか、セイの子供なら、これぐらいの早さになるのか!」
「どういう事?」
「魔法師の子供は、ある時期を過ぎると、急激に成長するんじゃ」
「特に魔素の浸透率が高い親の子供は、普通の魔素の浸透率の親の子供より、より早く産まれてくるんじゃ」
「つまり、魔素の浸透率が高い俺の子供は、妊娠8ヶ月で産まれてくると」
「「そうじゃ」」
「そんな話は、後でいいわ!急いでマーサちゃんの所に行くわよ!」
「あっはい!」
セイ達は、急ぎマーサの部屋に向った
「シスター!入るよ!」
「入ってくるんじゃないよ!」
「えっ」
セイは部屋に入ろうと、扉を開けようとしたが、グロリアに言われ扉の前で固まっていた
「女性だけ入ってきな!」
「分かったわ!サラちゃん行くわよ」
「はい!」
セナとサラが部屋に入って行き、廊下にはグリモア、冥王、セイの3人が取り残された
「仕方ないのぅ、出産に男は関われんからのぅ」
「そうなの?俺が子供の頃は、町で子供が産まれる時に、何回か手伝いをしてたよ?」
「それは子供じゃからじゃな」
「どういう事?」
「大人の男が、出産を手伝う事は、昔から禁止されておるんじゃが、もし周りに女性がおらん時の為に、出産が出来る様に、男は子供の時に手伝いをして、いざって時に子供を取り上げる事が出来る様にするんじゃ」
「成る程ね、今の俺は大人の男だし、今は女性がいるから、俺は部屋にも入れてもらえないと」
「そういう事じゃ」
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