第116話 黒い獣

 


診察室に戻ってきたグリモアとトゥデイは、冥王の命で、言い合いをしている、グロリアとセバスを止めに行った


「グロリア、その辺にした方が、儂はいいと思うのじゃが」


「セバス、お前も其の辺にしておけ」


「なんだい!グリモアはセバスの肩を持つのかい!」


「トゥデイ!貴方も私がどういう目にあったか、ご存知でしょう!」


「違うぞ!ただ何万年前の話しで、言い合いをするのは、止めた方がいいと、儂は思うじゃ」


「あれは酷い罰だったが、グリモア様の言う通り、何万年前の事じゃないか」


「「ぐっ、しかし!」」


「はぁ、グロリア、セバス、昔の事より、今やるべき事があるじゃろ?」


「…分かったよ、仕方ないね、今日はここまでにしておくよ」


「…仕方ありません、一時休戦です」


「「…まだ、言い合う気か」」


「止まったか、ではそろそろ始めようかのぅ」


グロリアとセバスの、言い合いが終わったのを、見計らい冥王が指示を出し始めた


「グリモア、連れて来た2人を、診察台に乗せよ」


「言われなくとも分かっとる、セバス、トゥデイ手伝え」


「「分かりました」」


グリモアは、セバスとトゥデイと協力して、2人を診察台に乗せた


2人が診察台に乗せられると、マーサがセイに支えられながら、診察台の前に立った


「冥王様、何か有ったらすぐに動く準備をしといてね」


「心得ておる」


「じゃぁ、シスターやってみて」


「分かったわ…スーハァー【治癒】!」


「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」


マーサが、男の魔獣に向かって、魔法を発動すると、最初は何も起こらなかったが、徐々に、魔獣の身体から黒い煙が出始めた


「「「「「…これは」」」」」


「まさか、魔獣の祖の呪いか?」


黒い煙は、徐々に出る量が増えていき、5分もすると、黒い煙が出なくなり、男の身体は、魔獣だった時にあった牙が無くなっていた


「…成功か?」


「…多分だけど」


「なら儂が確認…「ガッルルルル」」


「「「「っ!」」」」


「セイ!」


「分かってる!」


獣の叫び声が聞こえた瞬間、セイはマーサ、グロリア、グリモアを、冥王はセバス、トゥデイ、女の魔獣を護る為に、3人を抱えて扉を壊しながら、廊下に避難した


「ありがとうセイ」


「「セイ様ありがとう」」


「「冥王様ありがとうございます」」


「それより、シスターを連れて、今すぐここを離れて」


「そうじゃな、セバスとトゥデイで、マーサを護衛しながら、セナと合流せよ」


「「「「「…分かったわ」よ」りました」」」


セバスとトゥデイは護衛をしながら、グリモアは女の魔獣を抱えながら、グロリアはマーサを支えられながら、素早くその場を離れた


5人が素早く動いている間も、セイと冥王は、球体になった黒い煙から、一切目を離すことが出来なかった


「さっきの声って、あの球体になった煙から聞こえたよね?」


「儂も、あれから聞こえたのぅ」


「なら、生き物が出てくるよね?」


「…そうじゃな」


ピキッパキッ「「っ!」」


セイと冥王が、球体になった煙について話していると、球体にヒビが入り始めた


「…セイ」


「…うん、嫌な予感がする」


「グッガッァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」


「「…虎?」」


球体からは、虎に似た黒い獣が出てきた


「ガッア!」


「ちっ!【風斬】!」


虎に似た黒い獣は、セイにいきなり襲い掛かり、セイは避けながら魔法を放った


「なんじゃと!」「嘘でしょ!」


セイが放った魔法は、虎に似た黒い獣を通り抜け、廊下の壁に当たった


「ガッア!」


「次は儂か!」


「ガッア!」


「ちっ、またか…冥王様、どうすれば倒せる?」


「ガッア!」


「おっと…分からんのぅ」


虎に似た黒い獣は、次に冥王に襲い掛かり、冥王が避けると、直ぐにセイに襲い掛かった


虎に似た黒い獣の攻撃を躱しながら、セイと冥王は、どう倒せばいいか考え始めた





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