第117話 喜びの涙



セイと冥王は、虎に似た黒い獣の攻撃を躱しながら、色々な攻撃を試していた


「ガッア!」


「よっと、喰らえ【黒炎】!」


「ガッア!」


「っと、ならこれで【氷斬】!」


「ガッア!」


「うむ、駄目じゃな」


「ガッア!」


「う~ん、物理攻撃も効かないし、やっぱり聖属性じゃないと、駄目なんじゃない?」


「ガッア!」


「聖属性か、セイは使えるのか?」


「ガッア!」


「使えるけど、あんまり使わないんだよね」


「ガッア!」


「なんでじゃ?」


「ガッア!」


「前に聖属性を使った時、攻撃力が全く無かったから、「ガッア!」戦いに使えないと思って、あんまり練習しなかったんだよ」


「ガッア!」


「なるほどのぅ、聖属性は浄化じゃからな、攻撃には使えんか」


「ガッア!」


「それも、服の汚れも落ちない程度の浄化だしね」


「ガッア!」


「そうじゃな、泥水に使っても、腹を壊さなくなるだけで、泥水のままじゃからな」


「ガッア!」


「多分、身体に害がある物だけを、浄化するんだと思うよ」


「ガッア!」


「「鬱陶しいわ!」」


「ガッァ!」


「さて、こやつには効くかの【聖火】」


「グガッァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」


「効いたみたいじゃな」


「冥王様も、聖属性を使えるんだ」


「まあの、儂の魔法は特殊系の燃やすじゃからな、火、闇、聖、3属性の炎を使う事ができるじゃ」


「へぇ~それは強…「ガッアァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」…生きてたか」


「そうみたいじゃな、じゃが、身体が少し小さくなったぞ」


「ガッア!」


「っと、なら、聖属性で攻撃し続ければ、いずれ死ぬよね?」


「そうじゃろうな」


「じゃあ、【聖剣一聖】!」


「グッガッァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」


「儂も【聖火】!」


「グガッァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」


セイと冥王は、虎に似た黒い獣が消滅するまで、聖属性の魔法で攻撃し続けた


「ガッァ…」


「うむ、消えたな」


「結構時間掛かったね」


「そうじゃな、20分は掛かったのぅ」


「他の魔獣も同じぐらい掛かるんだだったら、少しやり方を考えないと」


「それに、マーサが危険な目に遭う可能性もあるしのぅ」


「う~ん、ここは?」


「「っ!」」


「起きたか!」


「…冥王様?」


「グリモアさんを呼んでくるよ!」


「急ぎで頼むぞ」


セイと冥王が話していると、寝ていた男が目を覚ました


セイは直ぐにグリモアを呼びに行き、その間に、冥王は起きた男に話を聞き始めた


「お主、体調はどうじゃ?」


「…あれ?牙がない…それにずっとあった違和感が無くなった」


「…そうか…違和感が無くなったか…本当に…本当によかったのぅ」


「…冥王様、何故お泣きに」


冥王は男の肩に手を置き、涙を流し続けた


それを見た男は、何故冥王が泣いているのか、困惑した表情で見ている事しか出来なかった


冥王が泣き止んだ頃に、セイがグリモアを担いで戻って来た


「ん?なんかあった?」


「いや、何もないぞ」


「そう、ならグリモアさん、この人がちゃんと戻っているか、確認をお願いね」


「分かった」


グリモアは、男の身体を隅々まで調べてから、いつくかの確認をした


「…坊ちゃん、成功しておるぞ」


「本当か!」


「前まであった魔獣を殺そうとすると起きる、身体の硬直が起きておらん、それに自殺をしようとすると起きた身体の不調も起きてない、間違えなく戻っておる」


「おお!これで皆を、元に戻す事が出来るのだな?」


「ああ、確実にのぅ」


「あの~どういうことですか?」


「ん?何じゃ気づいておらんのか?」


「えっと…はい」


「お主、人に戻っておるんじゃぞ?」


「えっ…本当ですか?…嘘じゃないですよね?」


「本当じゃ、嘘を言う意味がないのぅ」


「…人に戻った…やっと戻れた…ゔっぅ゙ぅ゙ゔっぅ゙ぅ゙」


セイ、冥王、グリモアは、男が泣き止むまで静かに見守った





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