第112話 上達



セイが冥王と闘い始めたてから、2週間がたった


セイは2週間の間、毎日朝から冥王に挑み続けた


最初の3日間は、攻撃を躱されたり、受け流されたりして、体勢を崩していたが、4日目からは、体幹が鍛えられたお陰で、体勢を崩す事が無くなった


1週間が立つ頃には、冥王の攻撃を受け流す事を出来る様になり、攻撃も簡単に躱される事も無くった


10日立つ頃には、互角に闘えるだけの技量を身に付ける事に成功した


そして2週間が立った日、漸く冥王から1勝する事が出来た


「…参った、負けたのぅ」


「…よっしゃぁ!勝った!」


「…本当にセイは恐ろしいのぅ、まさか2週間で、儂に勝つとは思わなんだ」


「ギリギリだったけどね!そうじゃ、あの約束はよろしくね!」


「仕方ないのぅ、勝ちは勝ちじゃ、あの約束は、儂に任せておけ…しかし、これでセイに剣で勝てる者は、数少いじゃろうな」


「なら、鬼王と地王に襲われても、何とかなるよね?」


「それは分からんのぅ、儂と剣で勝負出来る者は、剣王、龍王、夜王の3人じゃが、鬼王、獣王の2人は、格闘技で闘うからのぅ」


「…なら、地王は?」


「あやつは、槍術で闘うぞ」


「…他の王達は?」


「確か、竜王と海王も槍術じゃな、林王は弓術、魔王は魔法、雷王は戦斧を使うぞ」


「…狼王は?」


「あやつは知らん、まともに会ったことが無いからのぅ」


「あれ?魔獣の祖を倒す為に、魔獣の王達が、全員で協力したんじゃないの?」


「そうなんじゃが、狼王は魔獣の祖と闘う時に、ふらっとやって来て闘うだけじゃったからのぅ」


「でも、魔獣の祖を倒すのに、1万年闘ったんじゃないの?」


「ん?そう聞いておるのか?」


「神が、そう言っていたから、違うの?」


「違うぞ、1万年の間、ずっとは闘っておらん、1万年の間、何万回と魔獣の祖に挑んだだけじゃ」


「それはそれで、凄いね」


「魔獣の祖は、強いくせに不利になると、すぐに逃げるんじゃ、そのせいで倒すのに、1万年もかかったんじゃ」


「うわ~、凄い嫌な相手だね」


「じゃろ?」


「それで、狼王は、ふらっと来て闘い、逃げられたら、すぐに帰って行ったんだね?」


「そうじゃ、狼王は何かを探しているらしいから、余り時間を取られたくなかったのじゃろう」


「だから、余り知らないんだ」


「そうじゃ」


「なら、狼王はいいや、それより鬼王の格闘技と地王の槍術だよ、確か将軍達の中に、格闘技と槍術を使う人いたよね?」


「おるぞ、鬼王と地王程の技量はないが、あの2人と、少しは闘える技量を持つ者が」


「よし!なら、これから、その人達と稽古してくるよ!」


「そうか、頑張るんじゃぞ」


「うん!」


セイは、将軍を探すために、急いで城に戻って行った


冥王は、城に走って行くセイを見守りつつ、自分とセイの闘いを、城壁で見ていた、セバスとセナの下へ向かった


城壁に着いた冥王に、セバスが労いの言葉をかけた


「冥王様、お疲れ様でした」


「うむ、とうとう負けてしまったのぅ」


「セイは本当に凄いわね、2週間で冥王様に勝つなんて」


「いえ、寧ろよく2週間も、負けずに闘った冥王様が凄いですよ」


「そうなの?」


「セイ様の上達速度は、はっきり言って異常ですから」


「そうじゃな、早くても1ヶ月は掛かる所を、1週間で覚えておった」


「セイ様なら、剣王に負けない剣士に成れるかもしれませんね」


「剣王か…セイなら3年闘えば、勝負になるかも知れんのぅ」


「剣王様はそれ程まで強いの?」


「強い、剣においては、世界最強じゃ」


「冥王様が、断言する程強いのね」


「儂は、剣だけで魔獣の王に勝てる自信があるが、剣王だけは魔法を使わねば、絶対に勝てん」


「…セイの旅は大丈夫かしら?少し心配になってきたわ」


「大丈夫ですよ、いざとなった時は、逃げればいいのですから」


「そうじゃな、セイなら、逃げ切る事は、できるじゃろ」


「2人がそう言うなら、きっと大丈夫ね」


「ああ」「はい」







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