第109話 マーサの意見
診察室を出た、セイとセナは、マイカと共に、マーサがいる部屋に向かった
コンコン「入るよ」
「セイ様、どうしたんだい?」
「ちょっと、シスターの意見を聞きたくて」
「私の意見?」
「実は先程…」
マイカは、ベットで休んでいるマーサに、セナが、子育てをしたいと言っていたこと、セイが、夢を諦めて子育てをすると言っていたことを、マーサに説明した
「…私の意見は、セナ様と一緒に子供を育てる事です」
「マーサちゃん!」「シスター!」
「セイが夢を諦めてまで、子育てする事には、絶対に反対よ」
「なんで!理由を教えてよ!」
「はぁ、セイに子育ては無理よ」
「そんな事は、やってみないと、分からないでしょ!」
「分かるわ、何年セイと一緒にいたと思ってるのよ」
「でも!親になれば変わるよ!」
「変わらないわよ、だってセイは、心のままに生きているんだから」
「…それは」
「セイ、諦めなさい」
「…母様、その満面の笑顔、凄いむかつくんだけど」
「ふふ、つい嬉しくて」
「私はセイの将来の為に、旅に出た方がいいと思うわ」
「「将来の為?」」
「将来、ハーデス王国を、また人が住む国にするんでしょ?」
「まあ、そのつもりだけど」
「なら、国の場所や、他国との関係を持つために、セイは旅をして人脈を作るべきよ」
「そうね、エルフ達は歓迎するけど、他の種族が反対する可能性もあるもの」
「…子供がある程度、育ってからじゃ駄目なの?」
「それでもいいと思うけど、旅に出る時に別れるのが辛くなるよ?」
「子供も悲しむから、旅に出るのが嫌になる可能性があるわね」
「…それは」
「ふふ、諦めて、旅に出なさい」
「くっ、母様は願い通りになって、良かったね!」
「ふふ、孫が産まれるのが楽しみだわ」
「あ~もう!分かったよ!俺は旅に出ればいいんでしょ!」
「それでいいのよ、世界を旅するのは、セイの夢でもあるんだから」
「はぁ、俺は冥王様と旅について話してくるから、皆で子育ての相談でもしててよ」
「ふふ、分かったわ」
セイは冥王と話す為に、部屋を出て行った
セイが部屋を出た後、セナ達はこれからの事について話し合いをし始めた
「ふふ、かなり拗ねていたわね」
「仕方ないですよ、セイ様は自身の父親の様になりたくないのでしょう」
「そうね、でもセイは、あの人とは状況が違うわ」
「ですが、少しでも似た状況になるのが嫌なんでしょう」
「セイは、嫌いになったら、徹底的に嫌いますからね」
「それは、ハーデスの血筋だからだよ」
「「「グロリア」さん?」」
「余り、口を挟むのつもりは無かったけど、話を聞いて、セイ様がハーデス家の血を色濃く受け継いでるのが分かるね」
「ハーデス家の血ですか?」
「ハーデス家の血を引く方達は、全員が家族を、何よりも大切にするんだよ」
「ですが、セイ様は実の父を殺したい程、嫌っていますよ?」
「どうせ、その父親がセナ様を、傷付けたんだろ?」
「それは、そうですが」
「ハーデス家にとって、家族を傷付ける者は、実の親でも敵になるんだよ」
「そうなのですか?」
「稀にハーデス家にも、クズでクソみたいな奴が生まれる事があったけど、その全員が兄弟か親に殺されてるんだよ」
「…それは、王位を争ったからではなく、家族を傷付けたから殺されたってこと?」
「そうだよ、元々ハーデス家では、王位継承争いは起きないんだよ」
「「「えっ…」」」
「ハーデス家の方達は、王位よりも、自身の好きな事をって、思う人達だからね、坊ちゃんが、王位を継ぐ時なんて、逃げる坊を一族総出で捕まえて、無理矢理に国王にしたからね」
「…冥王様が、王位を継ぐのを嫌がってたなんて」
「分かるわ、国王なんて面倒くさいだけよ、私でも逃げるわ」
「はぁ、私の子供もそうなると思うと、不安になってきました」
「大丈夫よ、ちゃんと教育していけば」
「そうですよね!」
「「・・・・(いや、確実に王位を嫌がる子供が産まれるね)」(ます)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます