第108話 マーサの不安とセナの考え
セイが、セナと話す為に、診察室に行くと、一致団結して子供を育てる雰囲気がしていた
「え~と、何この雰囲気」
「あら、セイ来たの?」
「えっうん、気になるからね」
「ふふ、マーサちゃんは妊娠6ヶ月よ」
「それは知ってるよ」
「「えっ!」」
「どうやって知ったの!」
「いや、関係を持った日が俺の誕生日だよ?そこから半年経ったんだから、妊娠6ヶ月でしょ」
「そうね、考えれば当たり前の事よね」
「それで、子供の性別は?」
「あっ!私も気になるわ」
「マーサ様はどうかのぅ?」
「…私も気になります」
「子供の性別は男の子でしたぞ」
「男の子なのね!凄く楽しみだわ」
「絶対、セイにそっくりな子供が産まれるね」
「セイにそっくりな子供…」
マーサは、サラに言われ、赤ん坊の頃からのセイを思い出し、子供の将来が凄く不安になった
「何か、俺にそっくりな子供を考えたのか、凄い顔色が悪くなったんだけど」
「あれ?セイって赤ん坊の頃は、大人しい子供だったよね?」
「私も、マーサちゃんから、そう聞いているわ」
「俺も、そう聞いているから、不安に思う事なんて無いはずだ」
「あの~多分ですけど、マーサさんは、セイ様やセナ様の様に、心のままに生きた時の事を、考えているんだと思います」
「「「えっ!そうなの?」」」
「はい…」
「「あっはっはははは」」
「確かに、ハーデス家の子供は、心のままに生きるからね、不安に思って当たり前だよ」
「そうじゃな、坊もルイ坊も、心のままに生きたからのぅ」
「シスター、大丈夫だよ、ハーデス家の子供なんだから、心のままに生きていけるだけの、力を持って産まれるよ」
「そうね、魔法師になれる子供なんだから、不安に思う事はないわよ」
「…力を持って産まれる…魔法師になれる子供」
マーサは、セイとセナの言葉で、より不安が大きくなり、顔色がより悪くなってしまった
「あら?逆効果だったみたいね」
「う~ん、これは何言っても、逆効果になるね」
「しばらく時間が必要ですね」
「なら、私が部屋に連れて行くよ」
「グロリア、お願いね」
「任せときな!私はこういう経験が多いから、しっかり安心させてあげるよ!」
グロリアは、マーサを支えながら、診察室を出て行った
2人が出て行ってから、セイはセナに話を、聞き始めた
「それで、母様に聞きたいことがあるんだけどさ」
「何かしら」
「まさかだけど、孫を育てたいから、俺は旅に行けって言わないよね?」
「っ、何を言ってるの?」
「いや、サーシャさんが言ってたんだけど、母様は俺の代わりに、親として子供を育てたいって言ってたんでしょ?」
「ちっ、サーシャ話したわね」
「「「セナ様?」」」
「そうよ!私は、孫を育てたいの!」
「「「えっ!」」」
「なら、俺と一緒に育てればいいことだよね」
「それだと、私が面倒を見る時間が減るじゃない!」
「はぁ、やっぱりか」
「私が、マーサちゃんと子育てするから、セイは旅を続けなさい!」
「あの~セナ様、この城で育てるなら、セナ様が育てる時間はあまりないかと」
「うっ、でも一緒に散歩にしたり、お茶を飲んだり、遊んだりはできるわ!セイがいたら、3回に1回しかできないでしょ!私は孫に愛される祖母になりたいのよ!」
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
セナの言い分に、その場にいた、セイ以外の3人は、絶句していた
「それなら俺も、息子と遊んだりしたいし、愛される父になりたい!」
「でも、セイには夢があるでしょ!その夢を諦めるのは駄目よ!」
「なんで!子供が産まれるんだから、夢は諦めるしかないでしょ!」
「駄目よ!子供が大きくなった時に、父親が自分の為に、夢を諦めたんて知ったら、子供がショックを受けるでしょ!」
「逆に子供の為に夢を諦める程、父親に愛されていると思うかもしれないでしょ!」
「セイ様!セナ様!」
「「何、マイカ!」さん!」
「はぁ、マーサさんの意見を聞いてから決めてはいかがです?」
「っ、そうね、そうしましょう」
「はぁ、その方がいいよな」
セイとセナは、無言で睨み合いながら、マーサの意見を聞く為に、診察室を出て行った
「セイ様もセナ様も、似た者親子じゃな、2人共が似た事を考えておるのぅ」
「そうなの、2人が言い合う時は、自分がやりたくない事を、相手に押し付けるか、自分がやりたい事を、相手から奪う為に言い合いになるんだよ」
「そういえば、昔から、ハーデス家の者が言い合いになる時は、決まってお主が言った通りの時じゃな」
「「はぁ、困った一族」」
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