第106話 グロリアとグリモア




マーサの妊娠を知り、セバスは医者と助産師を拉致するように担いで戻ってきた


「冥王様!連れてまいりました!」


「「この馬鹿たれが!」」ゴン


セバスに連れてこられた、医者と助産師は、地面に降ろされるなり、セバスを拳骨で殴り倒した


「久しぶりだね、坊」


「いきなり呼びつけよってからに、坊ちゃんは昔から人使いが荒いのぅ」


「「「「「(…この人達、冥王様を坊ちゃんって呼んだ?)」」」」」


「すまぬな、それと坊ちゃんはいい加減にやめてくれ」


「それで要件はなんだい、私の仕事はもう無い筈だよ」


「そうじゃの、儂の仕事も今は少ないのぅ」


「(坊ちゃん呼びの話は無視するのか)それがな、マーサが妊娠しているのだ」


「それがどうしたんだい、わざわざ私を呼ぶ必要はないだろ」


「儂も呼ばれる必要ないのぅ」


「マーサ様のお腹の子は、セイ様の子供なのです」


「ん?セイって確か、ルイ坊の子孫って言われている子だね?」


「言われている、ではなく、本当に子孫なんですよ」


「私は、自分で確認した事しか、信じない質だからね」


「…グロリア、本当のようじゃ」


「グリモア、あんた何言って…」


2人は、連れてこられてから、冥王とセバスしか見ておらず、冥王の奥にいるセイとセナを見つけ絶句した


「…あの首飾りはルイ坊が持っていた物だね」


「…剣も魔剣ハーデスじゃのぅ」


「「…本当に子孫なんだね」じゃな」


「だから、お二人を呼んだのです」


「ハーデス家に新たな子供が産まれるんだね、私を呼んで正解だよ」


「儂を呼んだのもな」


「では、見てくれるか?」


「「当たり前だね」じゃのぅ」


冥王は、セイ達の下に2人を連れていき、紹介をした


「この2人は、昔からハーデス家に仕えているグロリアとグリモアじゃ」


「私が、王家専属助産師筆頭グロリアだ、よろしくね」


「儂は、王家専属医師筆頭グリモアじゃ、よろしく頼むのぅ」


「俺は、セイ フォン ハーデスだ、よろしく頼む」


「私は、セナ フォン ハーデスよ、よろしくね」


「私は、サラ ガーデンです」


「私は、セナ様専属護衛のマイカです、よろしくお願いします」


「私は、セナ様専属メイドのサーシャです、よろしくお願いします」


「私は、シスターのマーサです、よろしくお願いします」


「坊、マーサ様は儂とグロリアが連れて行くぞ?」


「ああ、頼んだぞ」


「任せな、マーサ様は私とグリモアでしっかり診察しておくから」


「えっ?あの何の話を?」


「マーサ様は気にしなくていいよ、さぁ行くよ!」


「えっちょっ」


2人は、困惑するマーサを連れテラスを出て行った


マーサが連れて行かれ、セイ達はどうすればいいか分からなくなった


「冥王様、シスターはどこに?」


「診察じゃ、お腹の子がどれぐらい育っておるから調べに行った」


「あら、私もそこに、付き添いたいわ」


「では、私が案内をします」


「セバスさん、よろしくね」


「こちらです」


「「私もついて行くね!」行きます」


セナはセバスの案内で、マーサの下に向かい、それにサラとマイカが付いて行った


「…はぁ」


「なんじゃセイ、溜め息なんて吐いて」


「いきなり親になるって言われて、どうすればいいか分からない」


「そうじゃのぅ、特にセイには夢があるからのぅ」


「夢かぁ、諦めるしかないな」


「諦める必要は無いですよ?」


「「ん?」」


「多分ですが、セナ様が無理矢理にでも、旅に行かせると思います」


「いや、母様は『子供を護るために近くにいなさい』って、言うと思うけど」


「いえ、前にセナ様が話してくれたのですが、『もし、旅の途中でセイに子供ができたら、私がセイの代わりに、その子供を育てたいわね』と、おっしゃってました」


「「???」」


「多分ですが、セナ様はセイ様を護るために手放したのを、後悔しているのだと思います」


「いや、あれは仕方なかった事だよ」


「そうじゃのぅ、そうしなければ、セイは殺されておったはずじゃ」


「それでも、セイ様を育てる事が出来なかったので、できればお孫様を育てたいのですよ」


「なら、俺と一緒に子育てすればいいことだよね?」


「それだと、マーサさんセイ様セナ様の3人で育てる事になりますから、自分が育てる時間が減ると考えているかと」


「「あり得るな」のぅ」


「はぁ、母様と話して来るよ」


「そうしてください」


セイは、セナと話す為に、マーサ達の下に向った




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