第101話 受け継ぐ覚悟
都市ロイの門の前に着いたセイ達は、セバスが用意した儀装馬車を見て絶句していた
「こちらが、ハーデス王家専用儀装馬車です」
「…俺、これに乗るの?」
「…王家の務めよ、諦めなさい」
「はぁ、馬車に乗る前から疲れてきたんだけど」
「それと衣装も、ご用意させていただきました」
「「えっ!」」
セバスが取り出した衣装は、黒の礼服に紅いのマントと紅いドレスだった
セイの衣装
黒の礼服はボタンや装飾には金色が使われており、紅いマントには黒色と金色で刺繍が施されていた
セナの衣装
紅いドレスに金色と黒色の刺繍が施されている
「全部に赤色、黒色、金色が使われてるわね」
「そうだね、この3色って何か意味があるの?」
「もちろんです、ハーデス家の血筋は黒髪に赤色の目を持って産まれてきます、金色は頂点と高貴の意味があり、この3色が昔からハーデス家の象徴の色なのです」
「つまり、民達の前に、ハーデス王家の象徴の服を着て、その姿を見せてやってくれってことだよね」
「そうね、ハーデス家の一族は滅びてないって、民に教えてあげたいのね」
「そうです、民達は冥王様がハーデス家最後の1人だと、ずっと思っていましたから、いきなりセイ様とセナ様が、ハーデス家の一族だと言われ困惑しているのです」
「でも、俺と母様は、それぞれハーデス家の証を持ってるから、衣装を着なくても子孫って分かるよね?」
「分かるとは思います、ですが…」
「ですが、少し分かり辛い?」
「はい、首飾りと魔剣を、見分ける事ができる民は少ないのです、そこでセイ様とセナ様には、王家の象徴の衣装を着て、魔剣ハーデスと首飾りに魔力を流した姿を、民に見せてほしいのです」
「「…そういう理由なら分かった」わ」
セイとセナは、人に見られないように、自分達の馬車で着替えをした
着替え終わった2人は、馬車から出て来た
馬車から出てきたセイには、気品と強さ、覇気が感じられ、セナからは優雅さと優しさを感じることが出来た
その姿を見たセバスと護衛達は、まだ人間だった頃に見た、冥王と今は亡きルイを重ね、静かに涙を流した
サラ達は、普段とは違う2人の姿に、驚きと感動を覚えていた
2人は、そのまま儀装馬車に乗り、これを見たセバスが、門を開ける指示を出した
セバスの指示で護衛達が、ゆっくり門を開け始めた
門が開いた先には、馬車が通る道以外は、全て魔獣達がおり、その中をセイ達は馬車で通り始めた
セイとセナは、それぞれが、魔剣ハーデスと首飾りに魔力を流しながら、それを魔獣達に見せて行った
その姿を見た魔獣達は、心からハーデス家が帰って来た事を理解し、歓声を上げた
セイとセナは、その姿を見て、自分達がハーデス家として背負う物の重さを理解した
「(これが歴代のハーデス王国国王が積み上げた信頼と尊敬、これを護り、次に引き継がなくちゃいけないんだな)」
「(民に、ここまで愛され続ける為に、努力した、歴代国王達に尊敬と畏怖を覚えるわ)」
「「(先祖達の偉大さがよく分かった)」」
「「(先祖達が努力して築いた王国を受け継ぐ為に、俺(私)も努力し続けなきゃいけない!)」」
セイとセナは、先祖達が残した国を受け継ぐ為の覚悟を固めた
城に付くまで、魔獣達の歓声が鳴り止むことはなく、その日は夜遅くまで祭が行われた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます