第100話 フユウ家 儀装馬車



村人達に見送られながら、村を出たセイ達は都市ロイに向かって進んでいた


道をしばらく進んでいると、5人の魔獣達がセイ達を待っていた


「ん?あれって何してるの?」


「セイ様達を待っているんですよ」


「俺達を?なんのために?」


「私達を、都市ロイまで運ぶためですよ」


「ん?どうやって?」


「あの5人はフユウ家の一族なんです」


「フユウ家?まさか浮遊の魔法を使う一族なの?」


「そうです、ハーデス王国で魔法の名をそのまま名乗る事が、許された数少ない一族なんですよ」


「へぇ~そんな有名だったんだ」


「ええ、ハーデス王国のフユウ家は、他国から何度も引き抜きを受ける程、有名な一族だったんです」


セイ達が、5人の下に行くと、5人が一斉に跪き、セイに挨拶をし始めた


「セイ様ですね、お待ちしておりました、私はフユウ家当主トルネ フユウと申します」


「えっと、今日はよろしくね」


「はっ!都市ロイまで必ずお送りします!」


「…なら始めてくれる?」


「「「「「では【浮遊】!」」」」」


【浮遊】により、セイ達は徐々に地面から浮き始めた


馬達が少し暴れたが、しばらくすると危険が無いと分かり大人しくなった


30メートルぐらい浮くと、徐々に前に動き出し、5分もするとかなりのスピードで空を移動し始めた


セナ達は、馬車の窓から外を見て景色に感動し騒いでていたが、セイは前に見ていたため、都市ロイに付くまでセバスと話をしていた


3時間かけ都市ロイが見える所まで行き、そこからは道を進むことになった


「申し訳ありません、これ以上は魔力が保たないので、ここからは馬車でお願いします」


「ここまで充分だよ、ご苦労さま」


「そうよ、ありがとうね」


「いえ!セイ様達のお役に立てるなら、いつでもお運びします!」


「うん、またいつか頼むね」


「「「「はっ!」」」」


セイ達は5人と別れ、馬車を出発させた


移動中にセイは馬車の中に入りセナ達と話始めた


「はぁ」


「あら?ため息なんて吐いて、どうしたの?」


「母様は、ずっと馬車の中に居たから、分からなかったかもしれないけど、あの5人も、ずっと尊敬の目で見てくるんだよ」


「村人達も同じだったよね」


「それが、少し違うんだよ、あの5人は尊敬の目だけじゃなくて、何でも命令をしてくださいって、態度もあるんだよ」


「それって何が違うの?」


「多分母様は分かると思うけど、尊敬の目は照れるだけで済むけど、何でも命令してくださいって態度は、緊急時なら良いんだけど、常時それだと凄い頼みづらいんだよね」


「凄く分かるわ、緊迫した状況なら強く命令できるけど、普段から強く命令はできないわね」


「何となく私もわかります」


「マイカさんも?」


「敵襲の時なら、こう動けって!強く言えるんですけど、普段はそんな強く言えません」


「そんなに違うんですか?」


「「「全く違う!」」」


「うーん、簡単に言えば、怒る時とお願いする時は言葉遣いが変わるでしょ?」


「変わりますね」


「怒る時が緊迫した時で、お願いする時が普段の時って感じかな」


「なるほどね、でも冥王様の所に付いたら、同じ人が多いと思うけど」


「っ!それは嫌ね」


「俺はそれがずっと心配だよ」


セイとセナが、心配していると、セバスがセイとセナを外に呼んだ


コンコン「セイ様、セナ様」


「どうしたの?」


「出来れば、お2人はこちらで用意した馬車に乗ってもらいたく」


「まさか、俺と母様が乗る馬車って」


「はい、お2人の姿が民達に見えるように、儀装馬車に乗っていただきたく」


「「・・・・・・・・・・・・」」


「民達の為にお願い致します」


「…分かったわ」


「えっ!母様乗るの!?」


「ええ、これも王家の務めよ」


「…母様、…頑張ってね!応援するよ!」


「何言ってるの!セイも乗るのよ!」


「いや~俺は前に民に姿を見せたから、今回は遠慮しとくよ」


「なっ!」


「いえ、セイ様の姿を見たのは、一部の民だけなので、今回はあの時いなかった民が大勢来るので、どうかお願い致します」


「えっ、前より来てるの?」


「はい」


「でも…「諦めなさい!」はい…」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る