第93話 汚された怒り



セイの【魔威】により、ギルドにいた、ほとんどのハンター達が膝を着く事になった


「へぇ~何人かは耐えれてるね、それでもうごけないみたいだけど」


「ぐっ、何故関係ない者達を巻き込む」


「モーリスだっけ?別に俺は巻き込むつもりはなかったんだぞ?」


「…どういう意味だ」


「お前が邪魔したから、他の奴に邪魔されないよう、動けなくしただけだ」


「だが!たかがゲロを剣に吐かれただけで、人を殺すのは間違っている!」


「たかが?」


「ぐっぁ゙」


セイはモーリスの言葉に反応して、【魔威】の威力をあげた


「先にお前から、ハンターを引退させてやる」


「ぐっぁ゙、やめ、がっぁ゙」


モーリスはセイの【魔威】により、徐々に体を押し潰され始めた


「そこまでにしてくれ!」


「ちっ、【魔威】か」


「っ、はぁ、はぁ、はぁ、ルーナ」


その時、モーリスの仲間のルーナが、セイを止めるために、【魔威】を使った


セイとルーナの【魔威】がぶつかり、押さえ潰そうとしていた力が弱まった瞬間、モーリスはセイの【魔威】から逃げる事ができた


モーリスが逃げたことで、セイは【魔威】を解いたが、ハンター達は動く事ができなかった


「モーリス!大丈夫か!」


「はぁ、はぁ、なんとかな、はぁ、はぁ、だが、はぁ、はぁ、後少し遅かったら、はぁ、はぁ、2度と、ゔっ、はぁ、動けない身体になっていた、はぁ、はぁ」


「っ、何故モーリスに!ここまでする必要があった!」


「なぁ?お前エルフだろ?」


「それがどうした!」


「なら聞くが、俺の魔剣ハーデスに、ゲロをつけた者を殺しては駄目なのか?」


「魔剣ハーデスだと…」


「その事を、たかがと言った奴を、潰しちゃ駄目なのか?」


「・・・・・・・・・・・・」


「おい!ルーナ!何故黙ってる!」


「っ、それが事実なら、私がモーリスを半殺しにします」


「「「「「「「っ、!」」」」」」」


「ルーナ!どういう事だ!」


ルーナの言葉に、ハンター達は驚いたが、エルフ達は深く頷いた


「魔剣ハーデスを汚した奴を守った、モーリスが悪かった、モーリスに代わり謝罪します、本当に申し訳ありません」


ルーナは跪き、セイに謝罪をした


「ルーナ!お前が謝ることは何も無いだろ!たかが剣で人を殺そうとした、あいつが悪いんだろうが!」


「黙れモーリス!口を閉じろ!」


「っ、ルーナ?何故だ」


「貴方がセイ様ですね、ルージュから話は聞いております、モーリスとそこの酔っ払いは、私達エルフが教育をしておくので、セイ様はご自身の用事を済ませてください」


「そうだな、俺は一刻も早く魔剣を綺麗にしたいから、任せるよ」


「「「「はっ」」」」


セイはエルフ達に、後を託して受付で解体場の許可をもらい、ギルドを出て行った



~ルーナ~


セイがギルドを出て行ってから、ルーナは椅子に座りモーリスに説教をし始めた


「…モーリス、お前の優しさは分かるが、今回の件は、優しさが仇になったな」


「ルーナ、何であいつを庇うんだ?」


「私がエルフだからだ」


「意味わかんねぇよ、剣が汚れただけだぞ?それで人を殺していい理由には、ならないはずだ」


「確かに、ただの剣ならそうだな、だがあの剣は違うんだ」


「確か魔剣って言ってたな」


「ああ、それも世界最強クラスの魔剣だ」


「っ、そんな強い魔剣なのか?」


「それだけじゃない、あの魔剣はある一族だけが使えるんだ」


「そんな魔剣、聞いたことがないぞ」


「もう何万年も、滅んだと思っていた一族だからな」


「なら、あいつはその一族の生き残りなのか?」


「そうだ、そしてあの魔剣は一族の大切な家宝なんだ、それを汚されたら誰でも怒るだろ?」


「家宝か…誰にも汚されたくないよな」


「分かったか?セイ様からしたら、大切な家宝にゲロをかけられたんだ」


「…俺でも怒るな、はぁ~、俺でも殺しはしなくても、2度とハンターをできない体にはしたかもな」


「まあ、あの魔剣はセイ様だけじゃなく、エルフからしても、大切な物だからな、あれを見てみろ」


「ん?げっ!」


モーリスが見た先には、ゲロを吐いたハンターが、エルフ達に縛られ、動けなくされた状態で、リンチを受けていた


「私が助けなかったら、お前もあのハンターと同じくリンチされていたな」


「…ルーナ、助けてくれて、本当にありがとう」


「気にするな、仲間だからな」


「ああ、本当にありが…ん?何でルーナはセイ様って呼ぶんだ?」


「ふふ、秘密だ」






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