第89話 王家の誇り
時間が立ち、村人が泣き止んだの確認したセイは、村長に何故そこまで泣くのかを確認した
「村長、なんでお前達はそれ程泣いたんだ?」
「この村の村人は、元ハーデス王国の国民なのです、それもルイ様と御一緒に他国に亡命をしに向った者達なのです」
「ルイ様…つまり冥王様の息子だな」
「はい、私達は亡命途中に、魔獣の祖に襲われ、死ぬしかなかった所を、ルイ様に救われ魔獣になった者達です」
「なら何故、領域の外れに住んでいる、元ハーデス国民なら、冥王様の近くに住みたいだろ」
「…無理ですよ、私達を護るためにルイ様は亡くなったですから」
「冥王様はそんなこと気にしないと思うが」
「冥王様は、私達を一切責めたりしません、ですが私達が自身を許せないのです!あの時ルイ様だけなら、逃げる事が出来たはず!なのに私達を助ける為、逃がす為に魔獣の祖と戦い命を落とした、今でもあの時事を、私達は悔やんでいるのです!」
「…それが王族の務めだ!民を護る事に命を懸けそれを全うする!王家の誇りだ!それを悔やむなど、それこそ命を懸けお前達を護った、ルイ様の誇りを侮辱する行為だ!恥をしれ!」
「「「「「「っ!」」」」」」
「…やはりハーデス家の一族ですな、貴方様の言葉からは、冥王様やルイ様と同じ雰囲気を感じます」
「子孫だからな、お前達が先祖を尊敬していたのはよく分かるが、ならばこそお前達は、ルイ様に助けられた事を誇りに思わなくてはいけないんだよ」
「…誇りですか?」
「当たり前だろ、王族が命を懸け護る価値がお前達にはあるから、ルイ様はお前達を助けたんだろ、護る価値のない者の為に、王族は命を懸けん!」
「っ、その言葉だけで、儂らは救われます、ありがとうございます、ゔぅ゙っ」
「「「「「「「ゔぅ゙っ、ありがとうございます、本当にありがとうございます、ゔぅ゙…ゔっ…ぅ゙っ…ぅ゙っ」」」」」」」
「気にするな、冥王様でも同じ事を言っただろう、これからは後悔じゃなく、誇りとして生きて行くんだぞ」
「「「「「「っ、ばい!」」」」」」
また泣き出した村人が泣き止むまで、セイは待ち続け、泣き止んだ村長から冥王がいる方向を聞き、また走り出した
村人達は、セイが見えなくなるまで見送り続け、その後セイの言葉を心に刻み仕事に励みだした
村長から、冥王が住む方角を聞いたセイは、【魔装】と【魔足】を使い、空から冥王が住む城に向った
途中で、魔獣達が住む村や町を見つけながら、馬車で1ヶ月はかかる距離にある、冥王の城がある都市に2時間で到着した
「あれが、首都ロイだな、このまま上から行ったら、問題になりそうだから門から入るか」
都市の門の前に空から降りて来たセイを、驚いた門番達が一斉に取り囲んだ
「っ、貴様何者だ!どうやって空から降りてきた!」
「普通に【魔足】を使って、空を走って来たんだけど」
「そんな訳無いだろ!普通【魔足】は2、3歩しか使えないはずだぞ!」
「いや、【魔装】と【魔足】を使えば、長距離を移動できるだろ」
「【魔技】を2つも同時に使ったら、魔力が持つわけ無いだろ!」
「俺は、余裕で持つんだよ」
「くっ、それが事実なら、どれ程の魔力を持っているのだ!」
「え~と、分からん!多分歴代で1番ぐらいじゃない?」
「そんな人物が、何の用でここに来た!」
「また~、勘弁しろよ」
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