第90話 再会




門番が、セイに用件を聞こうとしていると、首都の中から1人の男が凄い勢いで走ってきた


「お前達下がりなさい!」


「「「「「セバス様!」」」」」


「セバスさん、久しぶり!元気そうだね」


「セイ様も、お元気なご様子でなによりです」


「セバス様、お知り合いですか?」


「はぁ~、貴方達!連絡を受けてないのですか!セイ様がそのうち来る事は、連絡してあるはずですよ!」


「セイ様?いえ、私は上司から何も聞いておりません」


「…他の者達もですか?」


「「「「っ、はい!私達も何も聞いておりません!」」」」


「はぁ~、セイ様、失礼しました、ここからは私めが案内させていただきます」


「分かった、よろしくね」


「はい、お任せを」


セバスはセイを都市の中に案内し、門番達に伝言を残した


「貴方達の上司に伝えときなさい、連絡を止めている馬鹿は、後で冥王様のお叱りを受けることになると」


「「「「はっ!絶対に伝えておきます!」」」」


「よろしい、もし貴方達の上司も連絡を受けてなかったら、上司にも上に伝えるように、言っておきなさい」


「「「「はっ!了解です!」」」」


「ではセイ様、私に付いてきてください、冥王様がお待ちです」


「分かったよ」


セイは、セバスの案内に付いていきながら、街の中を見回していた



冥王が治める首都ロイは、遥か昔からの伝統と威厳がある姿をしている

セイは、その街並みに懐かしさを感じ、故郷にいる感覚を感じていた


街にいる魔獣達も、セイを見て最初は驚いていたが、セイが街を歩く姿に、何処か懐かしさを感じていた


街には冥王の城で働く魔獣達もおり、その者達は、セイを見て涙を流し跪いた


街の魔獣達は、何故跪くのか理由を聞き、理由を教えられて、次々に涙を流し跪いていった


城までの距離が半分を過ぎた頃には、全ての魔獣が道の横で涙を流し跪き、それを見たセイは心から、ハーデス家の一族であることを、誇りに思った


セイが街を抜けて行った後も、跪いていた魔獣達はしばらく動くことが出来ず、静かに涙を流し続けた



セバスに案内され城に着いたセイは、そのまま冥王がいる謁見の間に通された


セバスが謁見の間のドアを開けると、王座に座っていた冥王が立ち上がり、セイを歓迎した


「セイ!よく来た!待っていたぞ!」


「冥王様、久しぶりです」


「そんな堅苦しくしなくてよい、お主は儂の一族なのだ」


「そうですか?なら普段通りで」


「それでよい、しかし今日は一人で来たのか?、セナはどうしたのだ?」


「母様達が、領域を越えるえられるか分からなかったから、先に下見をしに」


「ん?セナは魔法師になっておるのだろ?領域ぐらい大丈夫じゃろ」


「母様の魔法を聞いてないの?」


「そうじゃな、詳しくわ聞いておらん」


「冥王様、私はちゃんと言いました」


「いつじゃ?」


「私が、冥王様に連れ戻された日に、しっかり御報告致しました」


「…あの時か、覚えておらんの」


「はぁ~、セナ様の魔法は振動です」


「おお!儂のお祖父様が同じ魔法じゃったな、なら少し弱くないかの?」


「いえ、セナ様の魔法は強力な力を持っていますよ」


「何を言っておる、振動は揺らすことしかできぬであろう?」


「セナ様の振動は、大きく揺らすだけではなく、細かく早く揺らす事もできるのです」


「細かく早く揺らすと、強さが変わるのか?」


「かなり変わります、セイ様が教えになったのですが、振動が一定の強さを超えると、物が耐えれなくなり、木端微塵です」


「セイ、そうなのか?」


「簡単に言えば、全方向に同時に無理矢理動かす魔法って言えばいいかな?」


「つまり、全方向に引っ張られる感じかの?」


「詳しくは知らないけど、1秒に何万回も揺らされたら、どんな物も壊れるよ」


「それは怖いの」


「それにセナ様は、まだコントロールができておりません」


「それ程難しいのか」


「少しのミスが、破壊に繋がるので、かなり苦労されていました」


「ならば、セナ達には護衛をつけて、領域を抜けてもらうかの」


「ええ、その方がいいかと」


「俺も、それを頼みたかったんだよ」


「では、私が手配しておきます」


セバスは、セナの護衛を手配する為に、部屋を出ていった





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る