第84話 親子の口論



セナが、ルージュに頼まれ、首飾りに魔力を流し、首飾りが光った


首飾りの光を見たルージュは、静かに涙を流した


       (小声)

「(セイ!)」


「(何?)」


「(どうして、ルージュさんは涙を流してるの?)」


「(さっき、ルージュから聞いたんだけど、全てのエルフは昔から、ハーデス王家を敬愛し信頼してるんだって!)」


「(始めて聞いたわ!)」


「(遥か昔に、エルフが絶滅しかけた時に、先祖がエルフを助けて、ハーデス王国が続く限りエルフを護るって誓ったんだって!)」


「(でも、それだけで、ここまで感激するものなの?)」


「(なんか、その時にエルフを助ける為だけに、ハーデス王国は、3カ国を滅ぼしたらしいよ!それから、エルフに何かあるたびに、無償で助け続けたんだって!)」


「(そうなのね、ならルージュさんが泣いてるのは、ハーデス王家の一族が生きてたから?)」


「(そうだよ、エルフはハーデス王国を、もう一度建国したいんだって!)」


「(そんなにも、ハーデス家はエルフに愛されているのね)」


「(俺も、ルージュにハーデス家の血筋って言ったら、あり得ないって否定されて、ハーデス家を穢すなって、すごい怒ってたんだよ)」


「(それほどまでに、エルフにとって、ハーデス家は大切なのね)」


セイとセナが話している間に、ルージュは涙を拭き、セイとセナの前で跪いた


「「「えっ!」」」


「セイ様、セナ様、今一度挨拶させて頂きます、私の名前はルージュユルト、全てのエルフに変わり、心よりハーデス家の帰還をお慶び申し上げます」


「…エルフが長い間、我らハーデス家を待ち続けたのは、分かりました、その思いにハーデス家の子孫として、心より感謝をします、ですが今は平民です、跪かなくてもいいのですよ」


「いえ、全てのエルフにとって、ハーデス家は大恩ある一族です、エルフにとって王国が無くなろうとも、ハーデス家は永遠に王族の一族です」


「…ですが」


「母様、諦めたほうがいいよ」


「でもね」


「エルフにとって、ハーデス家はそれ程までに、大切な一族なんだよ」


「でも、私達は国が滅んでから、ずっと平民だったのよ?」


「ルージュも言ってたけど、エルフからしたら、ハーデス家は永遠に王族なんだよ」


「はぁ、仕方ないわね」


「まあ、いつか俺の子孫が国を、建国するかもしれないから、良いんじゃない?」


「何言ってるの!」


「「えっ…」」


「子孫じゃなくて、セイが生きている間に、建国するのよ!」


「は?絶対に嫌だよ!俺は世界を旅するんだから!」


「その旅が終わったら、建国するのよ!」


「なんで俺なの!俺の子供か子孫でいいでしょ!」


「駄目よ!孫や子孫に苦労はかけさせたくないもの!」


「でも俺が苦労するじゃないか!」


「セイは、良いのよ!強いから!」


「子孫も強いかもしれないだろ!」


「それは分からないじゃない!」


「いや!絶対に強いね!母様も魔法を覚えてから強くなったもん!」


「でもセイほどじゃないわ!だからセイが生きている間に建国するのよ!」


「ハーデス家は、絶対に特殊系の魔法を覚えるから、強くなるって、前にセバスさんが言ってた!」


「でも!セバスさんは、セイはハーデス家の歴史の中でも、歴代最強クラスの強さって言ってたわ!」


「そうかもしれないけど!セバスさんは、ハーデス家の魔法師は、その時代のトップクラスに必ずいたって言ってた!」


「時代のトップクラスじゃ駄目なのよ!時代のトップじゃないと!セイは時代だけじゃなくて、歴代最強クラスでしょ!」


「確かにセバスさんに、俺の魔法と魔剣を両方使えば、歴代最強の強さって言われたよ!でも!国を作るのは強さだけじゃ駄目でしょ!人が多く必要でしょ!」


「そんなの、冥王様に言えば、すぐ集まるわよ!」


「だけど!国を建国する場所は無いでしょ!」


「大丈夫よ!王族と貴族が腐ってる国が何カ国かあるから、その国を滅ぼせばいいのよ!」


「でも!味方に被害が出るから、俺は嫌だね!」


「何言ってるの!セイの魔法で一撃で、倒せるわよ!」


「無理だよ!それを出来る魔法を使ったら、余波で酷い事になるよ!」


「そんなこと気にしてたら、建国なんて出来ないでしょ!」


「だから!俺じゃなくて、子孫の中で建国したい子が、やればいいでしょ!」


「そのほうが、味方に被害がでるわ!そんなことは、子孫にさせたくないのよ!」


「それが、子孫が選んだ道でしょ!」


「その道を選ばせない為に、セイが建国するのよ!」



2人の言い合いは、ルージュ達には止めることができず、サラ達がお風呂から上がり、マイカとマーサが止めるまで続いた



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