第68話 ウルと話3



セイ達は、ウルと話を続けた


「それで、セイ達はこれから何処を旅するんだ?」


「最初はここに挨拶に行くってのは決めてたけど、次の後は決めてないかな」


「ん?次は決めてるのか?」


「次は冥王様に会いに行くんだよ」


「マジか…」


「まあね、色々やらなきゃいけないこともあるからね」


「セイ、私達も聞いてなかったけど」


「あれ?言ったと思ってたけど」


「「「「聞いてない」」です」」


「母様には言ったよね?」


「私は、聞いていたわ」


「セナ様だけが聞いていたみたいですね」


「それでセイ、冥王様に会いに行って、何にをするの?」


「挨拶とシスターの魔法の事で、少し用事があるだよ」


「そうなの、なら早めに行かなくちゃね」


「すげぇな、普通に冥王様の名前が出てるよ」


「それは会ったことがあるからだよ」


「会ったことあんのか!」


「王都に着いてすぐに会ったよ」


「さっきの話の、側妃達の件か?」


「それもあるけど、ただ俺と母様に会いたかったからだね」


「そんな理由でか」


「冥王様からすれば、母様に会うついでに、母様の命を脅かした、側妃達とその手先を皆殺しにしたってところかな?」


「どんだけセナ様に会いたかったんだよ、普通は側妃達の方がメインだろ」


「仕方ないね、冥王様にとっては何千年も諦めていた子孫の方が、大事だったから」


「何千年か…長い年月だな」


「「「「「・・・・・・・・」」」」」


「魔獣達は長い年月待ち続けてるんだよ、自分達が人に戻れる時を」


「そんなことできるのか?」


「可能性はあるんだよ」


「そうなのか!」


「ですがセイ様、何千年も出来なかった事を、本当にできるようになるのですか?」


「今は可能性があるだけだよ、それに魔獣達はもう待てなくなり始めてる」


「「「「「えっ!」」」」」


「セイ、待てなくなるとどうなるの?」


「心が死んでいくんだよ」


「なら、何故自害をしないのですか?」


「セバスさんが言うには、魔獣達は自害ができないらしい」


「なら、同じ魔獣に殺してもらうことは、できないのですか?」


「無理らしい、魔物は狩ることができるけど、何故か魔獣だけは殺せないって言ってたよ」


「なら、魔獣が死ぬ方法はないのですか?」


「…1つだけあるよ」


「あるのですか!」


「あるにはあるけど、俺はおすすめしないよ」


「…セイそれはどうやって?」


「人に殺されることだよ」


「「「「「えっ…」」」」」


「人に被害を与えた魔獣は、人の法で処刑される、それだけが魔獣達が死ぬ方法だよ」


「「「「「・・・・・・・・」」」」」


「だけどその為に、人を何人も殺さなくちゃいけない」


「「「「「それは…」」」」」


「極稀に人を襲う魔獣が出るけど、その魔獣はただ自身を殺してほしくて、人を襲うんだよ」


「なら魔獣達が人に戻ることを望むのは、死ぬことを望んで?」


「それもあるけど、人に戻るのは色々な目的のためだよ」


「目的があるの?」


「あるよ、恋がしたい、子供が欲しい、孫が欲しい、天寿を全うしたい、特に家族の願いが多くある」


「魔獣には子供ができないから、人に戻れれば出来ると思っているのね」


「そうだよ、その夢の為に魔獣の王達は、今も戻す方法を探しているんだよ」


「なら、セイが言っている可能性って何なの?」


「シスターだよ」


「「「「えっ!」」」」


「あら、知らなかったの?」


「セナ様は知っていたのですか?」


「私とサーシャは、冥王様とセイが話しているのを聞いたから、知っているわ」


「なら教えといてくださいよ」


「ごめんなさいね」


「…私が魔獣を元に?」


「そうよ、セイが言うにはマーサちゃんなら、魔獣達を人に戻せる可能性があるんだって」


「シスターすごい!」


「マーサの魔法なら戻せるのか!」


「今は可能性があるだけだよ」


「でも可能性があるだけでもすごいよ!」


「俺もそうおもうせ」


「…可能性がある…私頑張ります!」


「マーサちゃんなら、私も出来ると思ってるわ、頑張ってね」


「はい!」








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