第67話 ウルと話2



ウルはセイから、話を聞き思考が停止していた


「…ありえねぇ」


「あっ戻ってきた」


「冥王様が身内ってありえねぇだろ」


「そんなことないよ」


「いやありえねぇって、魔獣は子孫を残せないはずだぞ」


「それ知ってるんだ」


「まあな、昔魔獣に聞いたからな」


「なら、魔獣は人が呪いで変化した者ってのは聞いてないの?」


「…はぁ?本当か?」


「本当だよ」


「なら冥王様が人だった時の子孫ってことか?」


「そうだよ、母様がその子孫なんだよ」


「なるほどな、そりゃ国王陛下に何言っても、許されるな」


「でしょ!」


「もしかしてだけど、側妃達と王子が流行り病で亡くなったのは」


「ああ、そうなってたんだ」


「それはそうよ、多分宰相あたりが、流行り病にしたんじゃない」


「まあ、そうなるよね」


「ええ、変に貴族達の耳に入れば、王家に反乱を起こす間抜けが出てくるから」


「貴族には本当に馬鹿な奴が多いからね、そんなんで反乱した所で、勝てるわけないのに」


「ふふ、そうね、殺されたのは一部の人だけなんだから、少し戦力が落ちただけで、貴族達が勝てる戦力じゃないのに」


「まあ、あの無能の騎士団に勝てない貴族も、無能ってことだよ」


「仕方ないわよ、自分達は強く気高い一族だと、心から思ってるんだもの」


「魔法師として生まれただけの、弱者なのにね、本当の強者なら権力に興味ないのに、それを知らないから威張れるんだよ」


「そうね、セイやサラちゃんは権力に全く興味ないものね」


「当たり前だよ、権力なんて命を護るのに、弱者にしか効力がないんだから」


「ふふ、そうよね、冥王様がしたよう一族郎党皆殺しにしたら、結局何もできなくなるんだから」


「まあ、だから王家や貴族は力を求めるんだけどね」


「それでも、本当の強者は力を貸さないと思うわ」


「だって、態々苦労する必要がないからね」


「権力を無視できる人からしたら、馬鹿な貴族達の顔色を伺う必要がないもの」


「結局、王族や貴族は自分が特別だと思いこんでいるだけで、本当は強者に見逃されてるって知らないんだよ」


「それを知っていれば、少しは馬鹿な貴族が減るのにね」


「仕方ないよ、知ろうとしないから、無能のままなんだよ」


「いや!怖いから!」


「あらウルさん、何処が怖いの?」


「普通に不敬罪に取られて処刑される話じゃないですか!」


「そんなことにはならないよ」


「それは!セイと元王妃様だけだよ!」


「そんなことはないですよ、私とセイだけじゃなくて、強者は不敬罪で殺されないもの」


「それができる強者は中々いませんよ」


「そうかな?魔獣の王達はその強者に入ると思うけど」


「それでも13人しかいないだろ!」


「いや、魔獣の王達の配下にも、国を滅ぼせる強者がいっぱい居るよ」


「はぁ?嘘だろ!」


「いや当たり前だよ、魔獣達の中には人の頃から騎士団長クラスの強さを持っていたのに、魔獣になってより強くなったんだから」


「それでも、国を滅ぼせるほどじゃ…」


「それに、魔獣になってからも、鍛錬を続けてるんだよ?そんな相手にウルさん勝てる?」


「…無理だな、技量が違いすぎる」


「だから、世界には国を滅ぼせる強者がいっぱいいるの」


「セイなら勝てるのか?」


「魔剣と魔法ありなら勝てるけど、剣だけなら無理だね」


「断言できるのか」


「できるよ」


「ですがセイ様はセバス様に剣だけで勝ってるではないですか?」


「それは、執事に剣で勝っただけだよ、元剣士の魔獣と戦えば、結果は違うよ」


「そうだな、ある程度は戦えるだろうが、最後は無駄がない奴が勝つな」


「そうなんだよね、俺は無駄をなくしきれてないから、勝てない」


「セイなら、そのうち勝てるようになると私は思うけどね」


「まあ、頑張るよ」






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