第52話 セイのプレゼントと国王の死



バーベキューを楽しんだ次の日、セイは財布を売っている店に向かった


「いらしゃいませ」


「すみません、聞きたいことがあるんですが」


「何でしょう?」


「皮財布を作れる職人を教えてほしいんですけど」


「なぜでしょうか?」


「財布を作ってもらいたくて」


「それなら当店にある財布でいかがでしょう」


「いえ、ハンターになって初めて倒した魔物の皮で作ってもらいたくて」


「でしたら、当店の方から頼みましょうか?」


「いいんですか?」


「はい、職人の中には気難し方もいるので」


「ならお願いします」


「分かりました、では皮の種類を教えていただけますか?」


「サンダーホルスの皮です」


「っ本当ですか!」


「ええ、昨日倒したので」

 

「昨日…なら近いうちに皮が競売に出る、なら早いうちに資金を集めしなきゃ、」


「っすみません、大きさはどれくらいですか?」


「確か横50に縦100ぐらいですね」


「それだと財布が4つほどできますが」


「なら財布1つと女性用の鞄を1つ出来ます?」


「出来ます」


「ならそうしてほしいです」


「分かりました」


「では、今から皮を取ってきますね」


「はいお待ちしています」


セイは店を出てすぐに家に帰り、すぐに皮を取り店に戻った


「いらしゃいませ、あ!先程の」


「これでお願いします」


「これは…かなり状態がいいですね」


「それでいくらかかりますか?」


「皮の持ち込みなので、金貨25枚ですね」


「分かりました、ではこれで」


「確かに受け取りました」


「どれぐらいで出来ますか?」


「4日程で、完成すると思います」


「なら5日後に取りに来ます」


「分かりました」



セイはそのまま家に帰り、4日間の間はサラ達と模擬戦をし続けた、そして5日後セイは店に財布と鞄を取りに向かった


「いらしゃいませ」


「財布と鞄を取りに来たんですけど」


「昨日の内に届いています、今裏から取ってきますね」


店主が裏から財布と鞄を持ってきた


「こちらが、頼まれていた品です」


「ありがとうございます」


セイは財布と鞄を受け取り、すぐに店を出て家に帰った


「ただいま」


「あらセイ、おかえりなさい、早かったわね」


「まあね、これ母様にプレゼント」


「鞄をくれるの?」


「俺の財布を作ってもらいたくて店に行ったら、皮が大きいから財布と鞄を作れるって言われたから」


「ありがとうセイ!、大切にするわ!」


「じゃぁ俺は庭で魔法の練習してくるから」


「分かったわ!頑張ってね!」


セイが庭で魔法の練習をしている頃、国王の執務室では


コンコン「陛下ギルドマスターがお見えです」


「分かった、通せ」


「失礼します」


「どうした、お前が来るなど珍しい」


「いえ、陛下の御子息のセイ様がハンターギルドに登録したので」


「っセイが!」


「はい、一週間程前に登録しました」


「私は聞いてないぞ!」


「父上、セナ様が知らせる訳ないでしょう」


「しかし!私は一応は父親だぞ!息子がハンターになったことぐらい、教えてくれても!」


コンコン「陛下、私です」


「マイカか!入れ!」


「失礼します、やはりギルドマスターが来ていましたか」


「マイカ!何故セイがハンターになったことを、私に言わなかった!」


「はぁ~セナ様からは「貴方に知らせる必要がないので」だそうです」


「だが!父親として心配ぐらいさせてくれてもいいだろ!」


「それも「貴方に心配される必要がないので」だそうです」


「ふざけるな!セナがそうしたいだけだろ!」


「それも「セイは貴方のことを、興味ないのですよ」だそうです」


「っだか!私の息子には変わりないだろ!」


「それも「セイはハーデスの名を継いでいます、貴方如きが関わっていい存在ではないのです」だそうです」


「ぐっ、どうしてそこまで私を苦しめる?側妃達の件だけではないだろう」


「それも「貴方は私との誓いも守れず、私を苦しめた、だけど1番貴方に失望したのは、1度も私に謝らなかったこと、私はセイがハンターになるまでに、貴方が自ら謝りに来れば許す気持ちがあったのに、貴方は来なかった、今日マイカをそちらに行かせたのは、決別を伝える為です、もう2度と私達にかかわらないで下さい、さようなら昔愛した人」だそうです」


「私は間違えたのか…国の為、民の為と自身を殺し努力してきたが、たった1人愛した人を裏切り続けたのか…何が国王だ!何が名君だ!私の人生は何だったのだ!」


「「「陛下…」」」「父上」


「「お前の絶望は、お前が原因から始まった物だ、貴族との関係を保つ為に側妃を迎え入れ、愛する人を全く見ず、ただ分かってくれる、支えてくれると甘えた考えで、母様の心に深い傷を残し、それでも許してくれると自分勝手な思いを抱き、それが叶わなくなったとたんに絶望する、俺はお前が父であることが心の底から嫌悪する、お前を愛していたから嫌いになりきれず、苦しみ、涙を流した母様に比べれば、お前の苦しみなどどうでもいいことだ」セイ様から陛下に伝えるように言われておりました」


「…私はそこまで息子に嫌われていたのだな」


「「「陛下…」」」


「マイカ、何故弟は父上を嫌う」


「セイ様は「親ってのは心の底から子を思う者だと俺は思うんだ、子の幸せを願い子の安全を願う、母様は俺の安全と幸せを願って俺を手放した、それはどんなことより苦しくて悲しい覚悟だと思う、だけど俺の父親は冥王様の後始末の後、すぐに会いに来れるのに来なかった、知らなかったとはいえ息子が危険な目にあったのに、心配をしていない、そんな人を父親だと思えるか?母様は優しいから許そうとしてるけど、俺は母様の優しさも裏切られると思うと殺したくなる」それがセイ様の思いなのです」


「それは…」


「本当は今日セイ様は陛下を殺そうと思っていたのです」


「「「「なっ!」」」」


「セイ様は、セナ様の感情を感じ取ってしまうのです、だから誰よりもセナ様の苦しみ、悲しみも分かってしまう」


「魔素の奇跡と呪い…」


「ギルドマスター知っているのですか?」


「昔から魔素の浸透率が高い者におきることです、血縁者の心の底の感情を感じ取り共感してしまう奇跡であり呪い」


「そうです、セイ様はセナ様の心の底の感情を1番理解している方なのです」


「だから父上を嫌っているのか」


「はい、母親を苦しめるだけの父親などいらないと」


「「「「・・・・・・・・」」」」


「それと私から一言、もう2度とセナ様に関わらないで下さい、あの方を不幸にする事しかできないのですから」


マイカはそのまま部屋を出て行き、部屋には全てに絶望し心が死んでしまった国王と、どうする事もできない4人が残った




追伸

国王をもっと出そうかなと思ったんですが、なんか幸せになるのは違うかなと思い、ここでリタイアさせます!



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