第49話 懸賞金



 セイ達は荷車を押しながら王都に戻っていた


「セイ!これ凄く大変なんだけど!」


「車輪の大きさがバラバラだからだな」


「もっとしっかり作ってよ」


「仕方ないだろ初めて作ったんだから」


「左にすぐ行っちゃう」


「後少しなんだから文句言うなよ」


「分かってるけど、前大変なんだよね」


「後も大変なんだけど」


 セイとサラは文句を言いつつ王都に到着した


「着いた!」


「あぁ、やっとな」


「これからどうする?」


「まずは荷車を持ってこよう」


「そうだね、なら私が取ってくるよ」


「なら頼むよ、俺はサンダーホルスを見てる」


「なら行ってくるね」


 サラが荷車を取りに行っている間、セイは通行人にずっと見られ続けた


「セイ、持ってきたよ」


「ならこの荷車は壊そうか」


「ちょっとすみません」


「ん?何か用?」


「この荷車を壊すって聞こえたんですが」


「ええ、車輪もガタガタなので、必要ないかと」


「なら貰ってもよろしいですか?」


「いいですけど何に使うんですか?」


「孤児院の荷車しようかと」


「もしかして孤児院の関係者なんですか?」


「ええ孤児院の院長をしています」


「セイ、あげようよ」


「そうだな」


「いいんですか?」


「いいですよ」


「ありがとうございます」


「いえ、私達も元孤児なので、助けになるなら」


「そうなんですか、本当にありがとうございます」


 セイ達は院長と別れ、ハンターギルドに向った


「解体場を借りなきゃ」


「なら俺が受付に行ってくる」


「なら待っているね」


 セイはギルドに入って行った


「くっさ!昼前より臭い!」


「「「「はぁ?」」」」


「本当に職員が可哀想だな」


「坊主!喧嘩売ってんのか!」


「近づくな!汗と加齢臭が臭い!」


「このクソガキが!」


セイは殴りかかって来た男をカウンターで沈めた


「後何?ハンターの女性は平気なの?」


「「「「いや、我慢してるだけよ!」」」」


「「「「えっ…」」」」


「だろうね、よく我慢してるよ、俺なら近くに行くのも嫌だね」


「「「「分かる!近くに来てほしくない!」」」」


「「「「そんな…」」」」


「ちゃんと毎日体拭いてる?」


「「「拭いてる!」」」


「絶対に適当に拭いてるでしょ」


「「「そんな事は!」」」


「それに、女性からしたら、せめて2日に1回は大衆浴場で、石鹸を使って体洗ってほしいでしょ」


「「「「その通り!」」」」


「「「でも金が…」」」


「だからハンターの男は、結婚できないんだよ、エール2杯我慢すれば毎日入れるのに、それが出来ないから女に嫌われる」


「「「「分かる!いくら稼げても臭いとねぇ」」」」


「「「よし!今から風呂に行ってきます!」」」


ギルドから男のハンターがいなくなり、セイは空いた受付に向った


「あれ?マスターが受付してたの?」


「ああ、この時間は皆受付したくないって言うから、俺が代わりに」


「大変だね、まぁ風呂には入るみたいだから、これからは少しは大丈夫なんじゃない?」


「そうだといいが、それで何のようだ」


「解体場を借りたい」


「何だ今日狩りに行ったのか?」


「時間があったからね」


「それで何処に行った?」


「草原だよ」


「今、草原は魔物が少ないだろ」


「本当だよ、ブラックホルスしか見つからなかったけど、急にサンダーホルスに襲われて戦闘になるし」

 

「っ、倒したのか!」


「まあね、ちょっと手こずったけど倒してきたよ」


「本当か!よくやった!」


「褒められることしてないけど」


「いや、あそこのサンダーホルスが強すぎて、他の魔物が逃げてるんだよ」


「なら、戻ってくるかもね」


「ああ、それじゃ解体場の許可と一応強いサンダーホルスか確認するぞ」


「分かった」


セイはギルドマスターを連れて、サラの下に向った


「これが、倒したサンダーホルスだよ」


「やっぱりか!懸賞金出るぞ!」


「どういうこと?」


「このサンダーホルスは、強すぎて懸賞金が掛かってたんだ」


「「へぇ~」」


「反応が薄いな」


「いや、確かに強かったけど、懸賞金が出るほど強いとは思わなくて」


「それはお前らが強いからだよ!」


「懸賞金いくら?」


「確か、金貨150枚だったはずだ」


「何だそんなもんか」


「はぁ?金貨150枚だぞ!」


「いや、母様が普通にお小遣いで金貨10枚ぐらいくれるし」


「金持ちの家だからな!」


「そうか?」


「セイは、初めて貰ったお小遣いが、金貨10枚だったから」


「なら嬢ちゃんは?」


「私は、銅貨10枚だよ」


「なら金貨150枚は驚くよな!」


「驚くけど、セナさんと暮らし始めてから、私も金貨10枚貰ってるから」


「お前もか!」


「まあ、元王妃の家だし、そんなもんだよ」


「はぁ~、もういい、ならお前らは解体場に行ってろ、俺は懸賞金持ってくるから」


「「分かった」」



セイ達はそのまま解体場に向かい、マスターは金持ちの金銭感覚にショックを受けながら、懸賞金を取りに戻った




お金の価値

大金貨=十万円

金貨=一万円

銀貨=千円

銅貨=百円


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