第42話 魔剣ハーデス



セイが剣を学び始めてから、3年の年月がたち、マイカやサラには2回に1度は勝てるようになったが、未だにセバスには1度も勝てない状況が、続いていた


「くそっ、セバスさん強すぎ」


「本当に強いよね」


「私も勝てません」


「身体能力は追いついたのに、勝てないのは単純な腕の差だよね」


「私は、人であった時から、今まで毎日剣の練習をしています、そんな私と戦える時点で、既に強者でしょう」


「でも、負け続けるは嫌だね」


「私も!」


「私は既にセイ様とサラさんに、追いつかれているのが、結構ショックです…」


「ふふ、セイ様とサラさんは身体能力が高いので、このまま成長すれば、私よりも強くなりますよ、マイカ殿は少し守りを鍛えれば、より強くなります」


「本当ですか!」


「ええ、マイカ殿は大剣使いです、一撃はお二人より強いので、セイ様達のようなスピードタイプの剣士と戦うなら、大剣でガードをしつつ、一撃を決めるタイミングさえ掴めば、より優れた剣士になりますよ」


「頑張ります」


「さてセイ様」


「なに?」


「セイ様は、そろそろ魔力のコントロールが出来るようにならなくては」


「感覚は掴んでるんだよ、でも少しのミスが、かなりの被害を出しちゃうから、慎重に進めないと」


「セイ様の魔法は、攻撃特化なので、被害が出ないようにするのは、かなり難しいと思います、ですが魔剣を使えば、より強力になってしまうので、魔力のコントロールは今以上に、できるようにならないと」


「「魔剣?」」


「お二人は知らないのですか?」


「魔剣って魔鉱石から作った武器のこと?」


「少し違い、魔鉱石から作られた武器の中で、魔力の伝導率、切れ味、耐久値、全てにおいて優れた物が、魔剣と呼ばれます」


「なら、普通の魔鉱石の武器は?」


「それは、魔器と呼ばれます」


「魔器を魔剣って言う人いないの?」


「魔器と魔剣では、見た目が違いますから」


「違いがあるの?」


「そうですね、セイ様にそろそろ冥王様からの魔剣を、渡そうと考えていたので、それを見ればよく分かるかと」


セバスは、そう言うと剣が保管させている部屋に行き、冥王から預かっていた箱を、セイ達の前に持ってきた


「この箱の中に入っているのは、ハーデス王家の者にしか使えない魔剣です」


「ハーデス王家だけ?」


「そうです、この魔剣は初代ハーデス国王から、国王になる者だけに、継承されてきたお陰で、王家の血を引く者だけが、触ることができるようになった魔剣です」


「なら今は、俺と冥王様、母様しか待つことができないと」


「そうです、さぁセイ様、箱を開け魔剣を出してみて下さい」


セイは箱を開け布に包まれた魔剣を出した


「これが魔剣…うっ(おいおいマジか)」


「どうなさいました」


「この魔剣、俺の魔力を吸収してる」


「それが魔剣の証拠でもあります」


「どういう事?」


「魔剣は、魔力の伝導率が高いので、持つだけで魔力を吸収するのです」


「(この魔剣どれだけ魔力持ってく気だ)」


魔剣はセイの魔力を吸収するにつれ、剣の色が変わり始めた、そして剣の色が完全に変わった時、吸収がおさまった


「この魔剣色が…」


「そうです、魔剣は色が普通の剣と違い、魔力が貯まれば色が、変わります」


「この魔剣、真っ黒だけど」


「それは、優れた魔剣の証です」


「どういう事だ?」


「魔剣の色は黒に近いほど、魔力の伝導率と耐久値が高い証なのです」


「なら、この魔剣はかなり優れた魔剣なんだな」


「その魔剣の名はハーデス、世界最強の魔剣の一本です」


「魔剣ハーデス…」




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