第2面 魅力

 ときどき、どうしても聴きたくなる「Get Wild」。その魅力とは何であろうか。

 まず、イントロからもう美しい。イントロのメロディーはサビの、変奏である。

 しかし、何気なく聴いていると、それに気づくことができないと思う。サビのメロディーの最初の二音(一音?)が欠けたものであるからだ。

 たぶん、この最初が欠けていることは、この曲の魅力を解読する鍵である。

 イントロでこれを提示された上で、後にサビを聴かされると既に耳に馴染んだ感じを覚えながら、新しい感じをも覚えることになるのではないか。また、再度、始めからこの曲を聴いた時には、欠けているが故に、いきなりまたサビを聴かされるという感じ、飽きる感じがしないで済むし、欠けた感じを無意識にも覚えて、それを補完したいと先へさきへと聴きたくなる。

 そして、ベース・パートである。その音色(おんしょく)とリフが、この曲の個性を印象づけている。ボーカルと同じくらいに強い主張をしている。

 マッシュ・アップという手法がある。元々は異なる二つ以上の音楽作品を重ねる手法だ。

 イントロで始まるベースのメロディーに続いて、ボーカルが乗ってくるのだが、この辺り、違う曲がマッシュ・アップされているかのようではないか。

 マッシュ・アップの魅力は、二つの異なった色の紐を重ねて捻った時のような、(色の)コントラストが見えるところにあると思う。「Get Wild」には、その魅力が内在しているように思えるのだ。

 以上が、現在、ぼくが思いついた「Get Wild」の魅力だ。

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