第5話 学園の王子達

 ルーカスはいつも通り学校へ行くのに、朝早くから身支度をしていた。そして屋敷を出る前にユリアに挨拶へ向かう。


 自分の手の届く範囲にいるユリアがいることにとてつもなく興奮していた。


トントンと優しくドアをノックする

「はーい」

 眠たそうに目を擦りながらユリアがちょこちょことやってきた。

(ほんとうにやばいな無防備な寝起き姿可愛すぎる。我慢しろ俺)


よし、気を取り直して

「学校行ってきます。本当に行きたくないんだけど、早く帰ってくるから一緒に夕食を取ろう。外に出かけたいかもしれないけど、ルアーナが何してくるかわからないから今は我慢して欲しい。また今度俺がいる時に一緒に行こう。」

「わかったわ。えぇ、もちろんよ。せっかくルーカスに守ってもらってるのに自らそんな目に合いに行ったりしない!」

「そうだよな、じゃあ行ってくる」

「行ってらっしゃい」  


朝から破壊力やばいなぁこれから大丈夫か


◇◆◇


朝門を歩いているとガイアンが待っていた。

「おはよ」

「ねぇなんかあった?」

「なんにもないよ」

「ふーん、今日はやけに機嫌がいいじゃん。ユリアがいなくなってからお前すんごく荒れてたのにね。ユリアのこと忘れて、好きな女でもできたのかと思ったよ。」

「なわけないだろ、早く行くぞ」


俺としたことが、幸せすぎて顔に出てたとは。あいつらにユリアの存在がバレないように気をつけないと。


 ガイアンと他愛のない話をしながら教室へ向かっていく。入ってすぐに真剣そうな顔をしたルカとユーリがいた。


「ルカ、ユーリおはよう」

「おはよう〜、さすがにそろそろユリアに会いたいなぁ、ねぇ、いっそあの国王の首取っちゃおうか?なかなかユリアの居場所も吐かないしさ」

(今までずっとユリアに寄ってくる害虫たちをユーリと協力して裏で手を回してきたのにユリアが消えるなんて聞いてないよ。もうユリアは平民なんだし、国際問題にならないから国を潰しても関係ないよね)


「私も賛成よ。早くユリアに会いたい。攻めなくてもきつめに脅すだけでもいいと思うわ」


「ユリアがそれを望むと思うか?」とルーカスはいった。


「そ、それはさー、」

「ユリアはちゃんと元気に生活してるよ。それはお前たちもあの国王から聞いただろう。だからユリアがいつかきっと戻って来れるように確実に証拠を掴んで、色んなことに手を回そう」


「俺もそれがいいと思うよ」と今まで黙っていたガイアンが言った。


2人にそれを言われたらと、国を潰すのは"とりあえず"諦めた。













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