第4話 ルーカス視点

 ユリアが俺たちのことを泣くほど想ってくれいることがすごく嬉しかった。


 俺以外の他の奴らが入ってるのは少し引っかかるが、俺だけが会いにきてくれたと嬉し泣きしているユリアは俺の理性が飛びそうになる程、可愛いかった。


 勿論残りの3人も必死にユリアを探して保護しようとしているが、まぁ会わせるわけないよね。だって下手したら、誰かの王妃にでもなっちゃうかもしれないしね。


あと俺のものだし


ユリアの親友のユーリとだけでも会わせてあげようと思ったけど、ルイといとこだからすぐに情報が回ってユリアの存在がバレてしまうだろう。



◇◇◇


 ユリアが理不尽な理由で何もかも失ってしまった。そこからユリアが全て取り戻せるように証拠を王子3人とユリアの親友のユーリで探し出して行った。


 結局あの男爵令嬢のルアーナというやつがユリアを昔から敵視していて、ユリアの婚約者に色目をつかって奪ったらしい。 

 それでも、俺らや周りのやつからユリアが信頼され、気に入られていることに嫉妬し、奪うだけでは飽き足らず、嘘の罪を着せ、断罪するように仕掛けたと。そして、ユリアが断罪された理由は『貿易国の王子らと手を組んで、謀反を起こしている。しかし王子らは力を貸さなかった。』ということだ。


 まず仮にユリアが王家に謀反を起こそうとしなら、ユリアの手を汚さずに俺ら3人で普通に潰しに行くけどな、いや、『本当に潰してやろう』とユリアがいなくなって何回いや何百と考えたか。


 あぁ、ほんとバカだなぁ。ユリアのおかげでこの国が成り立ってるっていうのに。


 それにユリアの元婚約者のランル王国の王子もそれに気づかないなんて、そばに居たらユリアの優秀さに気づくだろう。


 このランル王国は緑の多く豊かな国だが、平坦な地形で鉱山資源が少なかった。そのため、経済的にはあまり発達しなかった。


 だが、ユリアが両国に利益がいくように助言していたり、自ら仲介を受け持ったりしていた。さらにユリア自身とても可愛らしい。

 それも含めてこの貿易国達の”お気に入り”ということもある。


 ユリアはとても優秀で、政治や経済についてもよく王に向かって話しているくらいだ。またそれを王は、実践して幾度も自国を発展させていっている。


 そのおかげもあって、この四カ国は急速に素晴らしい発展を遂げ、今も、いや今までは良い関係を築いていた。


 そして最近ユリアがランル王国の王子から一方的に婚約破棄をされたという情報が一瞬でこの貿易相手国の3カ国にまで届き、

『この3カ国は躍起になってユリアを手に入れようとしている。』

のではなく

『ユリアには全く非が無く、王子が釣り合わなかった。そして傷物は王子の方だ。』

ということを知らしめようとしている。


 そのくらいユリアは信頼されていたし、可愛がられていた。


 まだ、ユリアが平民落ちしたことは知られていないが、もしユリアが平民落ちしたことを知られれば、残りの3カ国は黙っていないだろう。すぐさまランル王国を攻め、ユリアを自身の国で最も高貴な地位に座らせるだろう。



 まぁそうはさせないけどね、ユリアは一生俺の隣でいてもらう。もう働かなくてもいい。何もしなくていい。ずーっと俺の隣で幸せになったらいいよね。


 妻にして見せびらかすのもいいが、屋敷に閉じ込めて俺とユリアしかいない世界をつくりたいな。


今、全てを失ったユリアにとって、頼れるのは俺しかいない。



 実際にルアーナはユリアを徹底的に潰そうとしているし、それを理由にずっとユリアをそばに置いて隠しておけばいい。


こんな絶好な機会を逃すわけがないだろ。


 だが、ルアーナがわざわざ王に『ユリア様が平民になられるのに居場所まで教えてしまっては可哀想です。ルアーナのことを思って皆様が、ユリア様に危害を加えるかもしれませんもの。』なんて言ったせいで、王に聞いても、シャルーゼ公爵に聞いても誰一人と口を開かなかった。


 だから俺は死んでもやりたくないが、ユリアを1番先に連れ戻すために、仕方なくルアーナに近いた。

 初めは警戒されていたが、俺がルアーナの味方だとわかるとすぐに警戒は解けた。


「ユリアの居場所知っていたら教えて欲しいんだけど。」

「知らないわよ。ねぇ、知ってどうするの?もしかしてあの反逆者に会いに行くつもり?」

「まぁそうなんだけど、ユリア嬢に警告したいんだ。いや、嬢なんてつけなくていいか。一応あいつとは仲が良かったが、あんなやつだとは思わなかった。本当にがっかりしたよ。しかもルアーナ嬢、あいつにいじめられてたんだろ?」


すると突然顔つきが変わり、声をうんと甘くてして答えた


「うん。実はそうだったの。ユリア様とはずっと昔からの仲だったのに。いつも学園で私を一人にしようと取り巻きの子たちに命令していたり、私は男爵家だから、ね、ユリア様には何も抵抗できないし、..........だしね。.......ひどいの。.....辛い..悲し...い」



 ほんっと気持ち悪い吐き気がする。ずっと自分がいじめられてるだとかうるさすぎて途中何言ってるのか聞いていなかった。視界にも入れなくねぇのにあいつの声も変に高くて聞いていられない。


 呆れるくらいだれにでも色目を使って、平気で嘘ついて、しかも俺のユリアを傷つけて、こいつにはそれ相応の罰を与えてやらねーとな。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る