揺らめき .7

 九時に風呂から出て部屋に戻った僕は、会議があるという十時までアプリゲームをして過ごした。アプリゲームの悪いところだけど、ログインボーナスみたいなやつのせいで、毎日ログインを強要されるんだ。僕なんかはまだいい方だけど、いくつもゲームを掛け持ちしている人は、ログインとかの日課だけで二時間くらい消費するらしい。馬鹿みたいな話だよね。楽しむことじゃなくて、毎日ログインすることが目的になっちゃってるんだから。


 ベッドに寝っ転がりながらだらだらしていたら時間になったので、僕はロビーに向かうことにした。


 階段を降りると、井波と僕以外のすべての人がそろっていた。心なしか、僕の方をみんなで見てくる気がする。だけど遅れて階段を軋ませながら降りてきたのだから、無理もないことだと僕は思った。それから一分もしないうちに、井波がエントランスの扉から入ってきた。どうやらお風呂に入っていたようだ。


「おや井波くん、まだ入ってたのか」


 黒沢さんが驚いたように言う。井波は気まずそうに「はい」と言うと、ちらりと僕の方を見た。その視線の意味が僕にはよくわからなかったけど、とりあえず軽く頷いておいた。


「では、全員揃いましたので、会議を始めましょうか」


 立ったままの浅田さんが言う。女子三人と相川夫妻、それから黒沢さんは座っていて、立っているのは彼のほかに、僕と井波、それから権田さんだけだった。椅子が余ってたので僕も座ろうかと思ったのだが、なんとなくタイミングを逃してしまった。電車とかでもあるだろう。前の席が空いたのに立ったままでいると、しばらくして座りたくなってもなんとなく抵抗があるんだ。誰かに見られてるわけでもないのにさ。自意識過剰なんだよ。困った話だけどさ。


「では私から」


 権田さんが手帳を開きながら言う。


「被害者の坂本さんの夜の行動を、順にさかのぼりましょう」


 反対するものは誰もいなかった。自然と進行役は権田さんになるみたいだ。


「夕食を食べた後、九時半ごろに彼女は桐原さんたち三人と喧嘩をした。間違いありませんね?」


「はい」


 僕ら全員が頷く。小倉さんは別に坂本と喧嘩をしたわけじゃなかったけど、特に訂正したりはしなかった。


「その後入浴し、米山さんと会うも言葉は交わさず」


「喧嘩したんだから当然でしょ」


 米山さんは足を組みなおして言った。あまり機嫌はよくないみたいだった。


「そうですね。そして十一時から四十五分くらいまで食堂で高津さん、井波さん、桐原さんと会話した。浅田さんがお茶をいれたそうですね?」


「ええ。喧嘩のことは私も知っていましたから、仲直りのお役に立てればと」


「その後彼女は桐原さんと現場である彼女の部屋へ行き、そこで二人で会話した。最後は喧嘩になったみたいですね」


「そうよ」


 桐原さんは金色の髪をいじりながら、つまらなさそうにそれを認めた。


「十二時半くらいのことよ。それで私は部屋から出て、自分の部屋に戻って寝た」


「だけど、それを証明できる人はいない。怒った君は、ついカッとなって彼女を殺害した。数分で部屋を出たというのは嘘で、実は一時過ぎまで喧嘩をしていたんじゃないかい?」


 会話に割り込むようにして、響さんが眉を上げながら桐原さんを見た。桐原さんはぎゅっと口元をゆがめると、ウサギみたいにダン、と床を足で叩いた。


「ふざけないでよ! 私が殺すわけないじゃない!」


「でも証拠がね……」


「まあまあ」


 喧嘩になりそうな二人を、権田さんがなだめる。


「そして、朝七時四十五分に高津さんと井波さんが死体を発見。桐原さんが部屋を出てから、彼女を見た人は誰もいない」


 さっき黒沢さんから、千代さんと坂本が会っていたことを聞いたくせに、権田さんはこの場ではそれを言わなかった。僕としては、それが不思議でならなかったんだ。だってそうだろう。できれば情報は多ければ多いほどいいわけで、そりゃあもちろん、その情報の真偽は定かではないけどさ、そんなことを言ったら、ほとんどの情報が本当かどうかなんかわからないんだから。僕たちはみんなでこの情報を共有すべきなんだ。その反応によって何か新しいことがわかるかもしれないんだからさ。


「言っておくけど、私は本当に十二時四十五分には部屋に戻ったわよ。その時携帯を開いたのを覚えているもの」


 桐原さんが言う。彼女としては、自分が最後の目撃者であることが不安なのだろう。何とかして疑いを晴らそうと、必死に弁明していた。そういう姿ってさ、結構心にくるものなんだよ。いじめなんかと似ているかもしれない。必死に助けを求めているのに、周りの人は聞く耳を持たない。それはきっとひどく孤独なことで、見て見ぬふりをするには、僕は膨れあがる罪悪感を押さえる術を持ち合わせてはいなかった。


「どうして隠すんですか。黒沢さん」


 気づいた時には、僕は口を開いていた。黒沢さんがピクリと眉を動かす。まるで「黙ってろ」とでも言っているみたいだ。だけど、僕の口は止まらなかった。


「昨日の夜一時頃、黒沢さんは見ているじゃないですか」


「何を?」と僕と権田さん、それから黒沢さんの三人以外の人たちが眉を顰める。千代さんと響さんは、少し警戒するような顔をしていた。どうしてか、この時ばかりは少し緊張したね。僕の発言が、事件の真相にぐっと近づくヒントになるんじゃないかと思ったからさ。


「黒沢さん。あなたはトイレに行こうと一時に降りたとき、坂本と千代さんが食堂で会話しているのを目撃したはずです」


 ざわっと空気が揺れるのを感じた。千代さんは明らか動揺したように目を見開く。


「さっき権田さんと僕には話してくれたでしょう。なのに、どうして黙っているんですか」


「嘘よ! 私は彼女と話してなんかいないわ!」


 取り乱したように、というか、もうほとんど鬼の形相で、千代さんは叫んだ。顔は醜く歪み、充血した目は今にも落ちそうなくらい見開かれている。まったく、勘弁してほしいよ。金切り声すぎて、鼓膜が破れるかと思ったね。


「そうだ! この男が嘘をついているだけかもしれないじゃないか!」


 響さんは千代さんをかばうように黒沢さんを指さした。紳士的なサンタクロース、というイメージは、すでにどこかへ消えていた。もはや小太りの、家宅侵入を繰り返す泥棒にしか見えない。一方で、歓喜したのは桐原さんだ。この情報が本当なら、彼女は本当に喧嘩した後部屋に戻ったことになるし、最後に坂本と会っていたのも自分ではなくなる。


「やっぱりね! 最初から怪しいと思ってたのよ! 噂では私たちのことを悪く言っていたみたいね。うるさいだとかなんだとか。だから私を犯人に仕立て上げようとしたんでしょ」


 鬼の首をとったように彼女は勝ち誇る。今にも赤目を見せて舌を出しそうな勢いだった。ロビーが騒然とする中で、指を向けられた黒沢さんは小さくため息をつく。


「高津くん。秘密にしておくように言ったはずだけど」


「このままじゃ桐原さんの疑いが晴れないでしょう。僕は坂本のために、本当の犯人を捕まえたいんです。冤罪じゃ彼女は報われない。これ以上隠そうとするなら、あなたを疑わざるを得なくなります」


「……確かに」


 黒沢さんは諦めたように両掌を天井に向けると、千代さんの方をじっと見た。その視線は有無を言わせないものがあった。実際、ギャーギャーと鳥のように喚き散らしていた千代さんも、思わず口を閉じた。


「まずは桐原さん、重要な情報を黙っていたことをお詫びします。そのせいで、あなたに不要な心労をかけさせてしまった」


 桐原さんは腕を組んで、ふん、と鼻を鳴らす。


「混乱するのを避けるために黙っていたのだけど、裏目に出てしまったみたいだ」


「千代は何もしていない。断じて――」


「坂本さんを殺したのは千代さんだ」


 かばおうとした響さんの言葉に被せるようにして黒沢さんが言った。千代さんは茫然としていて、何も言えないみたいだった。この様子を見るに、響さんは知っていたのだろう。それでも必死に、彼は弁明を繰り返す。


「何を言っている! 妻はそんなことはできない! 第一、彼女は虫一匹殺せないほど気の小さい人間なんだ。人なんか殺せるわけないだろう!」


 僕はまるで映画でも見ているような気分だったね。愛する人をかばう姿は、なかなかに熱くなるものがあった。だけど同時に、坂本を殺されたというこの事実が、冷たく心の奥底に存在していた。つまりだね。僕はこの瞬間、それはもうありとあらゆることに頭を巡らせていたんだ。自分が冷静なのかそうじゃないのか、それすらもわかってなかったんじゃないかな。だけどそれは一瞬のことで、心に灯った熱は続く黒沢さんの言葉に打ち消された。


「落ち着いてください響さん。まだ私の話は終わっていません」


「え?」


 桐原さんが怪訝な顔をする。浅田さんも井波も、それから当の千代さん本人も、よくわからないといった顔をしていた。


「坂本さんを殺したのは千代さんだ――――と、あなたはそう思っている。そうでしょう、千代さん」


「……?」


 千代さんが、目に涙を浮かべながら首をかしげる。言葉は出てこないみたいだったが、その表情は肯定を物語っていた。それを見た響さんが、代わりに尋ねる。


「どういうことだね。黒沢くん」


「そのままの意味ですよ。千代さんは坂本さんを殺したのは自分だと思っている」


「違うの?」


 イライラしたように米山さんが尋ねた。それには肯定も否定もせずに、黒沢さんは続ける。


「彼女は確かに坂本さんと食堂でお茶を飲んでいた。おそらく、十二時半にトイレに行こうとしたときに偶然彼女と桐原さんが喧嘩する声を聴いたのでしょう。それで、浅田さんがトイレを修理するまでの間、坂本さんと会話することにした。なんだかんだ他人思いのあなたのことです。ひょっとして、慰めるつもりだったんじゃないですか?」


「…………」


 千代さんは何も返さなかった。ただじっと、黒沢さんの話を聞いている。


「ですが、事件はそこで起きた。いや、事故と言ってもいい。千代さん、あなたは自分が服用している鎮痛剤を、間違えて坂本さんのカップに入れてしまった。自分のミスに気付いたのは、後になってのことでしょう。医師からその薬が非常に強力で、副作用の危険性もあることを聞かされていたあなたは、健康な坂本さんの体にその薬がどんな影響を与えるのか心配になった。朝起きて彼女が亡くなっているのを見て、やってしまったと思ったでしょう」


 誰も、何も言わなかった。ただ黒沢さんだけが、まるで独擅場のように語り続ける。


「ですがね、薬の知識がないあなたには無理のないことかもしれませんが、通常、その程度のことで人は死んだりしないんです。坂本さんのような若い体の人なら特にね。仮にそんなに危険な薬なら、医師はあなたに処方したりしません」


「では……」


「ええそうです。坂本さんを殺したのはあなたではない」


 再び、ロビーがざわめきに包まれた。千代さんは信じられないといった風にハンカチで口をふさいでいる。響さんは彼女よりもショックを受けたようで、安堵に腰を抜かしたようにへなへなと椅子に腰を下ろした。僕としては、複雑な気持ちだった。確かに、黒沢さんの話は一理あった。千代さんの反応を見るに、きっとそれは間違いではないのだろう。ではそうなると、いったい誰が坂本を殺したのか。掴みかけていた真相が、一気に遠のいたような気がした。


「では、いったい誰が……?」


 手帳にメモをしながら、権田さんが首をひねる。相変わらず、時折口にペンの先を押し付けていた。


「誰かほかに、怪しいと思う人や情報はありますか?」


「うーん……」


 ここに到着してからのことを遡って思い出す。そう聞かれると困ってしまう。何もかも怪しい気がするし、何もかも怪しくない気もする。第一ね、千代さんの件で、僕はいったん思考が終点まで行ってしまったんだよ。酔っぱらったみたいに頭が回らない。もう一度エンジンをかけるのは、簡単なことではなかった。


「あ、そういえば」


 だけどこの時の僕は一味違った。思い出したんだよ。結構自分ではナイスだと思うね。


「昨日の十二時に、浅田さんが二階に来ていたことについて、僕はやっぱりどうかと思うんです。廊下の汚れが、とか言ってましたけど、手には掃除道具なんか一つも持っていなかったし、基本的に誰かに用がない限り、客室しかない二階には来ないはずでしょう?」


「いや、本当にただのチェックですよ」


 浅田さんは、昨日ほど狼狽した様子はなく、淡々と答えた。これでは埒が明かない。そう思った僕は、一か八か、ターゲットを一人に絞った。かまをかけてみたわけだよ。今朝と同じようにね。


「本当は、米山さんに用があったんじゃないですか」


 それは、またしても当たりのようだった。大人の余裕を見せる浅田さんとは違い、突然話しかけられた彼女は明らかに動揺したようだった。ずっと怪しかったのだ。浅田さんが米山さんに向ける視線とかね。


「二人で何を企んでいたんですか」


「別に何も企んでないわよ」


「人が亡くなってるんです。本当のことを話してください」


 権田さんが加勢するように畳みかける。さすがに僕と警察じゃ言葉の重みが違うのか、浅田さんも米山さんも、苦しそうに唇をゆがめた。吐くのも時間の問題だ、と思っていたころ、またしても黒沢さんが口を開いた。


「高津くん、議論をかき乱すようなことはやめてくれないかな」


 僕は訳が分からなかった。どうしてこの流れで僕が責められるのか。不満の意を込めて彼をにらむと、黒沢さんはため息をついて言った。


「アレルギー、だったんだろう?」


 その言葉に、米山さんは驚いたように目を丸くした。


「どうしてそれを?」


「エビフライだよ。今日の夜、君の皿にだけから揚げが乗っていた」


「それが何?」


「実はね、昨日の夜のパスタにも、エビは使われてたんだ。そうだろう、浅田さん」


「ええ」観念したように、浅田さんは頷いた。


「隠し味といいますか、深みを出すために、エビの殻からとった出汁を使っています」


「昨晩キッチンでも聞いたけど、何より美味しかったからね。すぐに気づいたよ」


 黒沢さんはにっこりと笑うと、浅田さんに向かって頷いた。確かに海鮮系の味はしたけど、まさかエビだったとは気づかなかった。


「昨日の夜の風呂上り、米山さんは手首を掻いていた。ちらりと見えた手首は赤くなっていたね。どうしてだろうと思っていたんだけど、今日のエビフライで納得したよ。君は昨日、浅田さんにアレルギーのことを伝えていなかったんだ。だから浅田さんは知らずにパスタを提供した」


 不服そうに米山さんはそれを聞いている。もうすっかり、彼は探偵っぽく見えた。


「どうして浅田さんが米山さんに敵意のような視線を向けているのか。そして、それなのにどうして二人で何か隠そうとしているのか。おおよそ、君は浅田さんにクレームを入れたんじゃないかな」


「クレームなんて――」


「ええ、そうです」


 否定しようとした米山さんの言葉を、浅田さんが遮った。


「昨晩、米山さんの部屋から電話がかかってきて、部屋に来るよう言われました」


「だけど浅田さんからしたら納得できない話だ。だって、事前に伝えていなかった米山さんが悪いんだから。だけどお客さんであり、実際にアレルギー症状が出てしまっている以上、浅田さんは強くは出れなかった。そんな浅田さんに、あなたは値下げとか、その手のことを要求したんじゃないですか。だけど、彼女だけ特別に扱うのは憚られた。アレルギー症状も、スキャンダルと言えばスキャンダルです。だから、このことは二人の間で内密にすることにした」


「すごいですね」


 感嘆したように浅田さんは言った。


「なんでもお見通しなわけですか」


「ちょっとどういうこと?」


 だけど、納得していない人が一人いた。桐原さんだ。


「値下げのこととか、私たち知らされてないんだけど」


「ごめんって、恵。安くなった分、ちゃんと返すから」


「それって、今こうやって明らかになったから言ってるだけでしょ。もしあの人たちが指摘しなかったら、そのまま自分のものにするつもりだったんじゃないの」


「そんなことない。大体、アレルギーが出たのは私だし、これくらいのお金、貰ったってどうってことないでしょう」


「言ってくれれば、私だって心配して――」


「まあまあ」


 黒沢さんがそれをなだめる。それから彼は、僕の方をじっと見た。


「言っただろう、高津くん。議論を混乱させないでくれって。第一、さっきも言ったはずだよ。私はこの二人が犯人だとは思わないって」


「すみません」


 僕は謝るしかなかった。実際、正しかったのは彼の方だからね。でもさ、こんなことを言われちゃ、ろくに推論を述べることだってできやしないじゃないか。僕が疑ったおかげで浅田さんと米山さんの不正が暴かれたわけだしさ。こうやって一つ一つ真実を明らかにしていくことが大切なんじゃないかな。言い訳ってわけじゃないけどさ。


「もうそろそろ十一時だね」響さんが言った。


「権田さん、今日一日彼女の部屋にいて、何かほかにわかったことはないかい?」


「そういえば」


 権田さんは手帳をめくりながら言った。


「彼女の部屋には、どこにも何かをぶつけたような跡がありませんでした」


「ほう……」


 響さんがあごに手を当てる。だけど別に、それ以上議論が発展することはなかった。十一時は小倉さんが寝る時間ということもあって、会議はそこで終了した。部屋に戻って、井波と少し話す。


「順平はさ、誰が犯人だと思う?」


「どうだろう。あの様子だと、桐原さんも相川夫妻も、それから浅田さんと米山さんだって、怪しくはなさそうだけど」


 実際、見当もつかなかった。いっそのこと、外部犯と言われた方が納得できる。


「康介はどう思う?」


「僕は……」井波はそこでちょっとだけ言い淀んでから、「わからないね」と笑った。


「もう少し推理小説でも読んでおけばよかったよ」


 井波の言葉に、僕も笑った。それから、井波は僕の部屋から出て行った。今日は早く寝ることにしよう。そう思って、僕はベッドに横になった。

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